LayerX Newsletter for Biz (2019/05/20–05/26)

Takahiro Hatajima
May 28 · 16 min read

はじめに: 今週の注目トピック

0–1 @th_sat より

今週の注目トピックは、AT&TによるBitcoin決済を受け入れです。携帯料金支払いなどの請求書決済をBitcoinで出来るようになるとのことですが、先週のStarbucksなど米大手企業による発表に続く、大手企業による暗号通貨決済受け入れのニュースになりました。

今週も、韓国Samsung Payやスイスの時計メーカーなどが暗号通貨ウォレットの搭載を発表しており、にわかに暗号通貨ペイメントへの注目が集まってきています。FacebookのGlobal Coinの報道も出たことは、対面の現地決済とは異なる非対面のリモート決済のようなシーンにおいて、暗号通貨決済との親和性が高いように思います。

Facebookのようなグローバルプラットフォーム企業によるデジタル通貨の普及が、暗号通貨やブロックチェーンの目指していたものと親和性があるかは議論があると思いますがスマホ・時計・ブラウザひいては自動車などに当たり前のように暗号通貨ウォレットが搭載され、サービスやプラットフォーム利用の際にトークンやデジタルアセットがやりとりされるようになると、暗号通貨・ブロックチェーンをめぐるビジネスの風景に大きなインパクトが出てくる可能性があります。

世界で初めてBitcoinで取引(2枚のピザを10000BTCで購入)が行われた2010年5月のBItcoin Pizza Dayから9年を経て、徐々に社会普及の兆しが高まってきており、デジタルアセット流通をめぐる変化に引き続き注目していきます。

0–2 Eisuke Tamotoより

ST分野における今週の注目トピックは「スイス証券取引所、スイスフランベースのステーブルコイン開発へ」です。また同様の動きとして「ロシア中央銀行が金バックのステーブルコイン開発へ言及」というニュースもありました。

以前のニュースレターで先行STプラットフォームがUSDCやGUSD等ブロックチェーン企業が提供するステーブルコインの採用が進んでいることを紹介しましたが、別の流れとして証券取引所が独自のステーブルコイン開発を進める動きも進んでいるようです。特にスイス証券取引所は独自STプラットフォーム開発も進めており、今回のステーブルコイン開発は将来的にはSTプラットフォームでのDvP決済等への活用を目的として行われている、とも言及されています。

一方、担保となるスイスフランは日本と同様に現在マイナス金利ともなっており、その通貨を担保としてステーブルコイン事業を行うには難しいかじ取りが迫られるようにも思えます。今後スイス証券取引所がどのような戦略でSTプラットフォームとステーブルコイン事業とを進めていくのか、注目して追っていきたいところです。

Section1: Business

1–1 Regulation : 規制動向

資金決済法・金融商品取引法の改正案が衆院通過日経報道

  • 仮想通貨の呼び名を「暗号資産」に変え、顧客資産流出時の弁済に備える資産の確保などを義務づけるほか、元手で多額を売買できる証拠金取引の規制対象に加える
  • 15項目の要望を付加した付帯決議の主な内容として、「本法により整備される各種規定の運用に際しては、民間部門が過度に萎縮することがないよう法解釈の周知徹底に努める」「本法の運用にあたっては、こうした多様性に配慮して、暗号資産の利用目的や利用対象者の関係で過度な規制とならないよう注視し、必要に応じ適切に対応する」などが挙げられている

イスラエル、ビットコインは通貨でなく資産であると判決

  • 暗号資産の売却によって得られた利益をキャピタルゲインとして、税金をかけることが法的に認められた形

欧州当局、Bitcoinトランザクションミキサーを差し押さえ

米コロラド州、ブロックチェーンアーキテクト設置

1–2 Crypto Adaptation: 暗号通貨の普及・応用

AT&T、BitPay用いた暗号通貨ペイメント受け入れへ日本語記事

  • 利用者は請求書への支払いをBitPayを介してBitcoinなどの仮想通貨で行い、Bitpayが法定通貨に換金した上でAT&Tへ引き渡す。これまで米国の一部の州で税金支払いをBitcoinで行うことが認められる例はあったが、大手通信会社が請求書支払いに仮想通貨の受け入れを認めたことのインパクトは大きい
  • 先日のConsensus2019では、StarbucksやWholefoodsなど大手15社が仮想通貨決済受け入れを発表したばかり

Facebook、Global Coinを2020年導入とBBC報道日本語記事

  • 2020年第一四半期に12カ国でGlobalCoinを用いた決済サービスを導入。Project Libraというコードネームで一部報道が出ていたもの。スマホやブラウザへの暗号通貨ウォレット搭載が進められている中、FacebookのようなITサービス企業が決済サービスに乗り出すことによって、暗号通貨をめぐるビジネス展開にインパクトある可能性

米FINRA、GrayscaleによるEthereum投信を認可日本語記事

  • 一般投資家が、現物を保管することなしに、通常の投信同様の方法でETHに投資することが可能になる

bitFlyer Holdings、新設子会社株式会社bitFlyer Blockchainを発表(加納取締役によるnote記事はこちら

  • 現bitFlyer取締役の加納裕三氏は、新規ビジネス・ブロックチェーン事業に集中するためbitFlyer Holdingsの取締役を退任し、新設子会社株式会社bitFlyer Blockchainの代表取締役に就任

Coinbaseのプロセシングサービス、CircleのStablecoin「USDC」の受付開始日本語記事

Coinbase、USDCに続いてDaiの取引サポートを開始日本語記事

Samsung Pay、暗号通貨ウォレットを組み込み検討

高級時計メーカーFRANCK MULLER、ウォレット内蔵時計Encryptoを発表日本語記事

Binance、マージン取引を開始へむけて準備中

Ethereum上に構築された証券取引所SprinkleXchange、6月に上場開始へむけバーレーン中銀のレギュラトリーサンドボックス内で運営日本語記事

1–3 Decentralized Finance : DEXやトークンなど

Compound、V2をリリース(Compoundの日本語解説記事はこちら

分散レンディング四種の概観(Maker/Compound/Dharma/dYdX)

DeFiプロダクトマップ(プロダクトリストはこちら

1–4 Security Token : 証券トークン関連

iSTOXがMASのサンドボックス制度の承認を受ける

  • シンガポール証券取引所が株主となっているST総合プラットフォームのiSTOXがシンガポール政府からサンドボックス制度対象企業として承認を受ける
  • 2019の4Qには、発行と取引とを実行できるPFをローンチ予定
  • 2020年にはサンドボックス制度を卒業し正式サービスをローンチ予定
  • 複数の弁護士事務所と連携して独自リーガル知0む、iSTOX Legal Panelを設立

Pixelmatixがbitcoinベースで$16MのSTOを実施

  • Pixelmatixがゲーム開発のために、BlockstreamのPFを使ってSTOを実施すると発表
  • 先日発表されたLiquidベースのSTプラットフォーム一号案件となる模様
  • 一方で、ゲーム用のユーティリティトークンも発行し、dual-tokenのスキームを目指す

bithumbが韓国とUSを視野にSTプラットフォーム開発へ

  • STプラットフォームをめざすCodeboxと提携を発表
  • CodeboxはST専用チェーンのCodechainを開発してSTプラットフォーム事業を拡大中
  • 韓国国内でのSTを実行するための要件を整備
  • USでATSライセンスをもつseriesOneとも協力体制を築いており、韓国を拠点にSTをローンチした後にUSにも展開を広げるのも視野に入れている

世銀のブロックチェーン債のセカンダリ流通が解禁へ

  • 昨年夏に発行された世界銀行ブロックチェーン債のセカンダリー取引をDLT上での譲渡を実行
  • 具体的にどういったチェーンを利用しているか、等詳細情報は未だ公開されておらず
  • 専用サイトがオープン

ロシア国家決済機関が独自STチェーンを開発へ日本語記事

  • National Settlement Depository(NSD)がST専用ブロックチェーンを来月ローンチすると発表。チェーン自体はD3ledgerとして2017年より開発。6月のローンチにおいて、Hyperledger Irohaを用いて構築したD3ledgerがアセットの所有権をトラッキング
  • Geminiなどのステーブルコインを導入してDVPを実現していく予定。法規制などの観点から準拠国はスイスにする模様
  • なお、ロシアNSDの他、独Deutsche Börseも、スイスをトークン化の試行環境として、通信大手SwisscomやMetaco・Sygnum・Dauraと協業している(Custodigitグループを形成)ほか、一方でスイス証取SIXも証券トークン向けプラットフォームSDXを構築中

ロシア中央銀行が国際送金用の金バックのステーブルコイン開発へ言及

BlockportのSTOが失敗に終わる

  • Blockportがローンチした自社STプロジェクトがソフトキャップに達せず失敗に終わる
  • ソフトキャップの€1Mに達しなかった模様
  • 今後プラットフォーム事業は事業縮小、オフライン化して一旦オフラインで開発を進め、事業戦略もいったん白紙へ

ハリウッドプロデューサーが$100MのSTOを成功

  • ハリウッドプロデューサーRyanが主催するProxima Mediaが$100MのSTOを成功させた
  • Step Ventures, Central Wealth Investment Fundなどのファンドがが主な投資主

仮想通貨交換所のKrakenが$10MのSTOを実施

  • 仮想通貨取引所のKrakenがBnk to the Futureを通じて10M規模のSTを実施すると発表
  • Bnk to the Future自身はケイマンのライセンスしか持っていない
  • 参加のGB Capital MarketがUSのBDライセンスを有しておりUS国民はこちら経由で参加する模様
  • 現状既に$8.5M程調達

論考系
CircleがSECの動きを分析

  • 昨年夏ごろからのSECのCrypto Assetに対する法規制方針についての分析を実施
  • 法規制が定まってきているようで昨年夏からの方針転換が進むなど不信感も露わに
  • 特に、昨年夏では「分散型トークン」は基本的に証券該当性から排除されるという方針だった一方先月のガイドラインではその方針が変化されている点が注目される
  • 分散型であったとしても「Active Participant(AP)」が存在する場合は証券に当たる可能性があると説明。
  • このAPのスコープ次第でEthereum等も証券該当する恐れがあるとされている

1–5 Financial Institutions : 金融機関による応用ケース

スイス証取、スイスフランペグのStablecoin開発へ日本語記事

  • スイス証券取引所(SIX)がフランベースの独自ステーブルコイン開発へ動いている、と発言。SIXが開発するSTプラットフォームにおけるDvP決済実現のために活用するためであるとも明言。どういったチェーンで開発を進めているのかは不明
  • ステーブルコインを発行することで、既存のシステムでは難しかったネットワーク参加者内での取引処理の自動化や、スマートコントラクトを活用し新たな金融機能を追加しやすくする狙い

インドネシアPT Bank Central Asia Tbk、Hyperledger Iroha活用し本人認証プラットフォーム開発

  • 最初の1回のみ通常の本人確認手続きを実行し本人確認済みであることを証明する検証用トークンをブロックチェーンに登録することにより、以降の金融機関などへの口座開設や申し込みは簡単な操作で実行できるようにする

バーレーン、eKYC分野へブロックチェーン活用

  • 金融機関は顧客アイデンティティを生体認証で検証したあと、ルールエンジンに基づき顧客デューデリジェンスに必要なKYC/AMLデータ・書類を特定。顧客確認が完了すると証明書をブロックチェーンへ記録し、国内金融機関による再利用にあてる。マニュアル操作を排除することにより、コスト低減・効率向上・顧客経験改善をはかるもの

米信用組合、Corda用いてクロスボーダー決済日本語記事

ドイツ州立銀行、4行で協力しブロックチェーンベースの約束手形発行に成功日本語記事

1–6 Enterprise/Government : 非金融分野の応用ケース

トヨタとTRENDE、東京大学と個人間電力取引の実証実験へ

  • 各家庭や事業所から電力取引所に集約された買い注文・売り注文を一定のアルゴリズムでマッチングさせ、電力の個人間売買を実施
  • 太陽光パネルや蓄電池に加えて、PHVを分散型電源として組み合わせた個人間電力売買の実証実験を行うことを通じて、電力消費者とプロシューマーが、市場取引を通じて電力を売買することの経済性を検証するとともに、距離別託送料金のシミュレーションや航続距離に応じて電力消費量が変化する電動車の電力需要予測アルゴリズムの検証を行う

ホンダとGM、電気自動車活用したスマートグリッド共同開発へ日本語記事

Volkswagen Financial Services、EV充電プロジェクトでShare & Chargeと提携

Alibaba、中小企業の知財保護への適用を検討日本語記事

ソウル市、住民カードへのブロックチェーン実装を検討日本語記事

EY、ワインのトレーサビリティプラットフォーム発表

1–7 Startup : 個別プレイヤー・アプリケーション

特になし

Section2: Articles & Papers

2–1 論考

Swisscomとカストディなどを手掛けるMetacoによるデジタルアセットが必要となる背景についての論考

  • 価値あるアセットへのアクセス・多様なポートフォリオ形成をより容易にする手段としてデジタルアセット(トークン化)を捉えている
  • マーケットの外にあり投資家がアクセスできない価値あるアセット(不動産・証券・情報・契約ほか)、或いはマーケットはあるものの仲介や時差などのため売り手・買い手がいつでも繋がることができない
  • こうした資本市場の可能性を個人が価値あるアセットへいつでもどこでも信用できるスムーズな方法で可能とするのが、デジタルアセット(トークン化)。権利をトレード可能なデジタルアセットとすることで、多様なポートフォリオを持てるようにできる、としている

EEAによる不動産分野ユースケースレポート

財務省広報誌「暗号資産(仮想通貨)研究への誘い―先物、不正・規制、ICOを中心に」(解説記事はこちら

Section3: Future Events

Consensus 2019(5/13–5/15 at NYC)の動画リンク

  • メインステージ24本、Construct 51本、ビジネス29本、マーケット28本、スポンサード15本

Token Summit (5/16 at NYC)の動画リンク

Malta AI & Blockchain Summit (5/23–5/24 at Malta)

SEC FinTech Forum(5/31)

Crypto Valley Conference(6/24–6/26 at Zug, Switzerland)

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