大学受験に失敗して、毎日に何もなくなった僕が出逢ったのは

わらびに出逢ったのは、大学受験に惨敗して、日課が愛犬のまろの散歩だけになっている残暑の頃だった。高校時代、友達だった奴らは大学やアルバイトで毎日を満喫している。僕には何もない。浪人生になるのもだるかった。何もしたくなかった。もうじき十九だというのに自立のメドも立てられず、焦りながらも虚しくて──家族の負担になっている自分が大嫌いになっているとき、僕は、そのやんちゃなビーグルに出逢った。
「麻矢は?」
時刻は十七時が近かった。九月中旬の夕暮れ時、帰宅中のからすが鳴いている。やっとふとんを起き出して、一階に降りた僕は、キッチンに顔を出してかあさんの背中に尋ねた。
「また寝てたの?」
「……まあ。それより──」…


