国境を越えても、コミュニティの本質は変わらない?WeWorkのローカライズ戦略。

#SharingEconomy 8/9

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2017年9月に開催された第1回「LivingTech カンファレンス」。全9セッションの中から、「シェアリングエコノミー―空間を活用した新たな価値観や収益機会の創出」と題して行われたセッション(全9回)の8回目をお届けします。セッションはいよいよ終盤、質疑応答へ。会場からはWeWorkのChris氏に質問が集まります。

登壇者情報

  • Chris Hill 氏 /WeWork Japan CEO
  • 小原崇幹 氏 /and factory株式会社 代表取締役CEO
  • 山崎剛 氏 /株式会社グローバルエージェンツ 代表取締役
  • 重松大輔 氏 /株式会社スペースマーケット 代表取締役(モデレータ)

WeWorkが、新築でオフィスビルをつくる可能性は?

重松: では、会場の皆さんからぜひ質問をいただきたいと思っています。質問がありましたら、挙手でお願いします。

質問者1: 東京建物の佐世と申します。せっかくWeWorkさんがいらっしゃるので、ぜひChrisさんにお尋ねしたいと思います。

WeWorkさんは、今後日本でいろいろな物件での出店を検討されているのではないかと思うのですけれど、既存のビルでWeWorkのオフィスを開設しようとすると、いろいろな障害があるのではないかと思います。

代表的には、日本のオフィスは天井の高さが非常に低いです。このオフィスはたまたま天井が高いですが、古い家であればあるほど天井が低かったり、もしくは空調が限られていたり、そういう障害があると思います。そういう空間を使って、WeWorkのオフィスをつくっていくのは大変なのではないかと想像しています。

そうであれば、日本のデペロッパー、例えば東京建物などと、一から土地を買って新しくWeWorkに合ったオフィスをつくるということを検討されるケースもあるのではないかと思うのですが、そういう計画があれば教えていただきたいです。

Chris: まず、ご提案をいただきまして、ありがとうございます。ぜひ一緒に仕事をさせていただきたいと思います。

2018年の初めにオープンする、最初の3ヶ所のオフィスの場所を、明日の記者発表で発表させていただきます(編集部注:六本木・銀座・新橋と発表された)。3ヶ所とも一等地の素晴らしい場所になりました。ただ、そういう都心の一等地だけでなく、いろいろな場所にバランスを取った配分をしていきたいと思います。

日本の建物というのは非常に細くて背の高いビルが多く、そういうビルが私どもの仕様と必ずしも合っていないということがあります。でも、時間をかけて、日本のディレクターさんやブローカーさん(編集部注:不動産の仲介業者)のご協力をいただきまして、3ヶ月で270以上のスペースを見てまわりました。

それを見た結論として、東京は、ニューヨークやロンドンに匹敵する市場になり得るくらいの十分なスペースがある、という結論に達しました。

国によって違うもの、国が違っても変わらないこと

重松: ほかに皆さん、何かありますか? せっかくWeWorkさんいらっしゃるので。

質問者2 MyCityの石田と申します。

WeWorkはコミュニティなので、世界で共通したやり方があると思うのですが、各国によって違う部分もあると思います。WeWorkが各国でどのように見られているのか、運営の仕方、スペースの特徴、そういう国による特徴があったら教えてください。

Chris: ご質問いただき、ありがとうございます。私、この会社を始めて最初の4年間はCOOとして、世界各国で通用するシステム・仕組みづくりに取り組んできました。その後2年間で16ヶ国を周り、その仕組み、WeWorkのプレイブックを15ヶ国で立ち上げるという業務に携わってきました。

16ヶ国を旅してわかったことがあります。それは、ほとんどの人、どんな文化においても一つの共通点があるということ。どの文化においても、皆さんが未来に対してワクワクしていて、意味や意義のあることをやりたいと強く思われているということです。

東京に来たとき、最初は5人のアメリカ人で始めました。ただし、私どもの今後の意図としては、運営方式はグローバルなものを踏襲しながら、その展開は非常に日本的にやっていきたいと考えています。

したがって、日本のWeWorkの経営の執行チームは、全員日本で生まれ育った日本人の方についていただき、日本の文化、やり方、デザインに関しても、こういう方々に逐一アドバイスをいただきながら展開をしていきたいと思います。ですので、グローバルなブランドを携えながらも、実際は非常にローカルなものにしていきたいと考えています。

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