レガシーな不動産業界、真のテック化はいかにして成し得るのか？
#CrowdFunding 5/9
2017年9月に開催された第1回「LivingTech カンファレンス」。全9セッションの中から、「テクノロジーで生まれる新しい不動産業の在り方」と題して行われたセッション（全9回）の5回目をお届けします。今回は、不動産業界のIT化によって予想される業界内の動きをご紹介。
登壇者情報
- 鬼頭武嗣 氏 /株式会社クラウドリアルティ 代表取締役
- 松園勝喜 氏 /株式会社インベスターズクラウド CTO, 株式会社Robot Home 取締役
- 東明宏 氏 /株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ プリンシパル
- 伊藤嘉盛 氏 /イタンジ株式会社 代表取締役CEO（モデレータ）
レガシー業界におけるIT化の成功事例
東： もっと聞いてもいいですか？
インベスターズクラウドさんは、どちらかというとずっと不動産投資がメインで、いわゆる不動産業というカテゴリから直近で上場もされています。そこからIT領域にも積極的に取り組まれるようになってると思うんですが、その移行はどういう感じで進んでいるのか。現場での対立というか、考え方の違いなどで、組織的にいろいろ課題がありながら進んでいってるのか。それともわりとスムーズにきちゃったのか。
松園： もともとWeb集客によるビジネス展開をしていたので、IT化のハードルは低かったと思いますが、とはいえやはり、従来からいる不動産のメンバーはコアな人たちなので、不動産の情報を聞くためのヒアリングを頻繁にやっていました。
東： じゃあ、不動産業を長年やってらっしゃった方の知見を、IT側から入って来た人が一旦お預かりをして、どうやれるかを考えてきたと。
松園： はい。
東： それは何年くらいかかって？
松園： それはもう2年ぐらいですけど、一気に加速したのは1年半前からですね。
東： 何かあったんですか、1年半前。
松園： 今後の展望を。こうなっていくんじゃないかなと。
伊藤： ベンチマークしている企業はあるんですか？海外でも。こういう会社の新しいバージョンになりたいとか、超えたいんだとか。
松園： それがですね。あまりないんです。
特にここを目標にしているとかではなくて、普通だったら不動産で家賃推定とかそういうのを提案したり、不動産のReTechのなかでは付加価値の提案であったり、業務効率化や透明性の推進とか、そういうのは当たり前だから、それとは全く違うLPWAに挑戦したり、データエクスチェンジマーケットに挑戦したり。
最近の社内のキーワードは「ピュアIT企業を目指すです。
「おうちダイレクト」のこれからに期待
伊藤： 東さんはどうですか。注目している企業とか。
東： お名前出たあたりは気になるんですけど、特に1つ気になっているのは、Yahoo!不動産さんとソニー不動産さんがやっていらっしゃる「おうちダイレクト」です。
先般発表された数字でみると、20億くらいの売上があると発表されていました。気になっているのは、やっぱり日本のマーケットは不動産筋の皆さんが非常にお強いマーケットだということですね。
ずっと不動産業をやっていらっしゃった方々の知見というのはやっぱり素晴らしくて、私はもともとITなんですけど、IT側から見た時とはやっぱり違う知見があるなと思っていて。
そこが結構強いなと思ったんですけど、Yahoo!不動産は皆さんご承知の通り、こういうところに対してヤフオク的な発想で入っていかれていったように思います。当初は物件も全然載っていないし、これは本当に機能するんだろうかというのを私もユーザーとして思っていたんです。
でも、いざ箱を開けてみると、まだまだ不動産業としては20億くらいかもしれないんですけど、結構な規模でユーザーを積み上げてきてるなという気がしていて。ピュアなITセクターの人が果敢に取り組んだ結果として、すごく気になっています。これまでの知見をベースにしたイノベーションと、それとはちょっと違う角度から入ってきた人たちのイノベーションがあって、これがどう交わっていくのか。競争するのかもしれないし、協業するのかもしれないですけど、それがちょっと気になっています。
伊藤： リアルとテクノロジーの絶妙なポイントを突いていますよね。マネタイズのポイントは仲介業ということで、既存の仲介ビジネスのマージンなんですけど、新しい価値も出しているというところですね。
東： 「おうちダイレクト」さんがやってらっしゃるモデルは、アメリカのRedfin的なモデルを忠実にやろうとされています。エンジンをしっかり作って、その上で仲介をやります、という。僕はベンチャーをずっとサポートしているんですけど、理想は分かっても愚直にやるのはなかなか難しいんですが、Yahoo!さんとソニー不動産さんが一緒にやってどういう成果が出るんだろうかと。その途中経過を先般聞いたときに、何か起こりそうだなと。
伊藤： すごいですね。20億。月商が2億ぐらいですからね。
ツール系のサービスだと、月商1億の壁とか、結構厚かったりするんですよね。
