少子高齢化、地方の過疎化…不動産業界はどんな未来を描けるか?

#CrowdFunding 8/9

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2017年9月に開催された第1回「LivingTech カンファレンス」。全9セッションの中から、「テクノロジーで生まれる新しい不動産業の在り方」と題して行われたセッション(全9回)の8回目をお届けします。今回は、質疑応答の模様をレポート。国内不動産業界の将来について、それぞれの見解が語られました。

登壇者情報

  • 鬼頭武嗣 氏 /株式会社クラウドリアルティ 代表取締役
  • 松園勝喜 氏 /株式会社インベスターズクラウド CTO, 株式会社Robot Home 取締役
  • 東明宏 氏 /株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ プリンシパル
  • 伊藤嘉盛 氏 /イタンジ株式会社 代表取締役CEO(モデレータ)

レジデンスの需要減少をどう見るか

伊藤: あと15分くらいなんですけど、質問を引き続き。

質問者4: 基本的なことを2点聞かせてください。少子高齢化で、地方は過疎化して、東京だけが過密するという中での不動産業界の将来性について。もうひとつは先ほどちょっとお話があったんですけど、FinTechは金融庁がやられるんですが、不動産業界に対する国交省でのサポートの状況について教えてください。

伊藤: じゃあ、まず1点目についてはそれぞれにお聞きしましょう。日本が少子高齢化していくなかでマーケットをどう捉えているかということが1点目。2点目は国交省や行政がどういう風に対応しているのか。このあたりのことをイメージしながら、鬼頭さんにお伺いしたいと思います。鬼頭さんどうぞ。

鬼頭: 我々はすでに子会社をエストニアに作っているので、サービス自体もグローバルに展開していくということで考えています。

その中の日本という観点でいくと、基本的に金融のビジネスにわりと寄った立場ですので、その方向から。金融も同じでバブルがあって金融危機があって、と上下を繰り返していますけれども、下がった時であってもビジネスができる環境にあるので、そういった中でもやれるようなサービスをと考えています。特に金融危機だったりで、不動産価格が下落していく中で生まれる課題というのは、それはそれで増えると思いますので、その課題を一つひとつ、金融の立場から解決していくように取り組んでいければと思います。

伊藤: ちなみに、インバウンドと、内需というかレジデンスの需要みたいなところでいうと……つまり、これからレジデンス需要が減っていって、インバウンド需要が増えていくと思いますけど、そのあたりのマーケットをどう予測しているのか。

鬼頭: 実はそこは、我々としてはあまり意思がないというか。例えば京都の町家の話でいくと、京都のインバウンドに張っていかれる方に対しての金融サポートをしていくというのもありますし、当然その過程でマーケットが成立するかどうかというのはデューデリジェンスのなかで見てはいくんですけれども。あくまでそこは中立的な立場だと思うんですね。

伊藤: じゃあ、真ん中の媒介者として、いろんなマーケットの変化にも柔軟に対応しながら、そのときにあったものを提供していく。

鬼頭: そうです。リスクあるものに対しては開示をして、「こういうリスクがありそうです」というのを開示して。後は実行される方の判断で。

住宅需要は減少しても「欲しいところにはまだ欲しい」

伊藤: ありがとうございます。松園さんはどうですか。まさにど真ん中にいらっしゃると思うんですけど。

松園: インベスターズクラウドグループとしてどうかというお話は控えさせていただきたいのですが、個人的な見解でいくと、例えば全体的に考えて過疎化が進むのは避けられないので、地方創生として地方にIoTを導入しようとか自治体でやっていたりするかと思います。ですが、地方の空室が増えていくし過疎化はやまない、人口減少もやまない。ですので、個人的なアイデアとしては、思い切って農業にしちゃう。部屋自体を。

というようなことでもしないと、雇用を生まないし、そもそも雇用を生み出す機会すらなくなるわけですから。オートメーションによってどんどん雇用する人数が減るんですけど、それでもそこで潤った資金によって、地方は観光誘導ができるであろうと思うので、そういった個人的なアイデアはありますね。そこに対してクラウドファンディングするとか。

伊藤: 結構、インベスターズさんは地方の物件というか、郊外の部分も。

松園: ありますね。14都市でやっていますので。ただ14都市あっても、土地の仕入れの段階から結構シビアにみてるんですよね。周辺の駅の乗降客数と周辺に住む人の属性。離婚率が高いとか、女性は何人住んでいるのかという属性をみて、分析した結果のなかで土地を買ってそこにアパートを建てるので、当社の空室率は低いです。

伊藤: これだけ空家がたくさんある中で、新築マンション・アパートはかなり供給過剰であると言われています。そこに対して反対意見はありますか?

松園: 供給過多になることは目に見えているんですけど、ただ、欲しい場所にはまだ欲しいんですよね。賃貸住宅が必要な場所はものすごくあって、それを分析しているので、僕らにとっては今は不安がない状況です。

伊藤: その辺りはデータで見てるんですか。

松園: データでみてます。

伊藤: どういったデータを。

松園: 先ほど言ったような属性情報というのは経産省から出ているようなデータと、あとはオープンデータ。経産省と国土交通省の情報は基礎データとしてあって、あとは自社のプライベートデータとして、これまでの家賃と補修にかかった費用、近隣住民の苦情件数とか。

まあ一般的な情報としては駅の乗降客数がやっぱり大事です。あとは国道ですね。国道からどれだけ近いか、雑音がどれくらいあるのかというのが、いまは目視で、仕入のチームが足を運んでやるんですけど、これは必ずオートメーション化できるので、どんどん進んでいくと思います。

伊藤: 土地の仕入担当者は、人口動態や入居者の人数などを把握したうえで。

松園: そうですね。家賃まで。

伊藤: そうなんですね。ありがとうございます。でも、鬼頭さんもそのようなデータがあったら使いたいですよね。

鬼頭: そうですね。それは本当に。

伊藤: 仕入れは特に、購入者に対する説明とか、いろんな活用方法があると思います。

鬼頭: 投資家に対しての説明責任というところが非常に重要なところかなと思いますね。

伊藤: ぜひ、ここから。

東: 人口減少など環境変化で仕方がないところはあるんですけど、こういうところで新しいビジネスが立ち上がるというのは、僕の見地からいくと非常に嬉しいので、ぜひお願いします。

伊藤: やっぱり、供給するべきところに供給すべきものを供給していくってことが、日本の国力を高めるというか……いいですよね。

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