国交省、金融庁…不動産業界は、いかにして行政のサポートを得ていくべきか?
#CrowdFunding 9/9
2017年9月に開催された第1回「LivingTech カンファレンス」。全9セッションの中から、「テクノロジーで生まれる新しい不動産業の在り方」と題して行われたセッション(全9回)の9回目をお届けします。シリーズ最終稿となる今回は、質疑応答から国土交通省をはじめとする行政機関との付き合い方についての議論の模様をレポートします。
登壇者情報
- 鬼頭武嗣 氏 /株式会社クラウドリアルティ 代表取締役
- 松園勝喜 氏 /株式会社インベスターズクラウド CTO, 株式会社Robot Home 取締役
- 東明宏 氏 /株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ プリンシパル
- 伊藤嘉盛 氏 /イタンジ株式会社 代表取締役CEO(モデレータ)
クラウドリアルティ流 行政との向き合い方
伊藤: 2点目の質問(編集部注:国交省や行政のサポート状況について)に関して、鬼頭さんは相当苦しまれたのではと思うのですが、そのあたりのエピソードをお聞かせいただけますか。
鬼頭: うちはいろんな領域が被るので、国交省、金融庁、関東財務局、このへんとやり取りしてきました。フラットに言って、動きは金融庁のほうが早いですし、目線もグローバルを向いているなという気はします。国土交通省は国土なんで、金融庁と比べるとやはりグローバル色は弱いかなと。
伊藤: なぜそうなっているのでしょうか。どういう力学があるのか、なぜ省庁ごとに変わってしまうのか。
鬼頭: なんででしょうね。完全に縦割りで……さっきちょうど不特法絡みのところで話をしたんですけど、不動産の証券化も、国交省管轄の部分と金融庁管轄の部分があります。欲を言えば一つに統一して欲しいんですけど。それをさせない、縦割りの何かが裏では働いているのは感じますね。
伊藤: 本当に困った、大変だったという具体的なエピソードみたいなのはありますか。
鬼頭: 弊社のスキームは不特法を使わない金商法ベースなんですけれども、それを確認するにあたって、お互い言質を取らせたがらないというか(笑)。
伊藤: 具体的に明言してくれない?
鬼頭: 明言してくれないし、金融庁や関東財務局からは「国土交通省さんに確認してくださいね」と言われて聞きに行くんですけど、最初はフワッとした答えしか返ってこない。そこを行ったり来たりして、最終的にまあ実際に合意……合意というか、やれるなという感触を掴んだ感じです。
伊藤: 鬼頭さんのところのスキームが変わっていて、不特法に触れるか触れないか、ギリギリのラインを攻めていらっしゃる。乗り越えるための、秘訣やコツみたいなのはあるんですか。
鬼頭: もうネゴシエーションですかね(笑)。法律の意図するところをきちんとロジカルに読み取って、それに従って丁寧に説明・交渉していく。そこなのかな。
多分これは不動産証券化に限らず、すべてのレギュレーション絡みのところに共通すると思っています。法律だったり、いろんなプラクティスが世の中にありますけど、全てそれなりの背景があってできているものです。それを過去の背景・経緯を理解しながら、説明していくところかなと。
質問者4: 国交省の担当窓口は支局?
鬼頭: 証券化に対する担当窓口ですかね。不特法をまさに扱っているチームです。
伊藤: 松園さんのところは行政とかのやり取りはありますか。
松園: ファンディングの分野ではそっちのチームでやっているんですけど、データのフォーマット化があるとありがたいなと思いますね。。
オープンデータ化が、市場全体を盛り上げる
伊藤: では、残り5分ということでまとめに入ろうと思います。不動産業界とテクノロジーとの融合というところで、課題も大きいんですけど、ぜひこういう世界を作ってどういう問題や負を解決したいんだとか、こういう世界を作ってこう幸せにしたいんだという思いを最後にお聞かせください。じゃあ、鬼頭さんから。
鬼頭: 僕は一貫してるんですけど、P2Pの、ディセントラライズドされた、個人を主体に、金融であり不動産でありというところの取引のマーケットですね。言うなれば、ピュアなマーケットを作っていこうということに尽きますね。
伊藤: 会場の皆さんに向けて、こういうパートナーを探していますとか、こういう協業をしましょうみたいなことがあれば。
鬼頭: 我々はプラットフォーマーとしてやっていますので、投資家であり、不動産屋であり、いろんな形でマーケットに入っていただける方を積極的に募集しています。
伊藤: ありがとうございます。松園さん、お願いします。
松園: 何度も言っているようにオープンデータ化することで、市場全体の活気が出てくると思うので、今はそこに夢がありますね。オープンデータそのものが何をデータにするのかという話から、環境センサのデータだったり物件の取引価格だったり。あとは賃貸もそうですけど、賃貸情報ですらオープン化して、透明性を増やして市場を活況にしたいと思います。
伊藤: ありがとうございます。東さん、お願いします。
東: 家の流通のところもありますし、さっき仰っていましたけど、家をプロダクトとして見たときに可能性は本当に無限大というか、全然やれることだらけだというのを改めて感じました。そこに対して、なかなかまだ盛り上がりきっていないところ、今日をきっかけにジョイントが進んで、いろんなプロジェクトの進行が早まるといいなと思ったセッションでした。私は投資家なので、お金を出しながらサポートをする感じなんですけれども、皆さんと一緒に仕事ができて日本の住まい・暮らしが、より良くなるといいなと思ってます。
伊藤: ありがとうございます。このセッションの中でも、データの使い方とか本当に具体的に動けそうな感じがして。僕もカンファレンスのひとつの成果としてジョイントのプロジェクトが生まれるというのを次回、第2回で報告できたらと思います。
ということで、「テクノロジーで生まれる新しい不動産業の在り方」のセッションは終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
(終わり)