予測不能も正義。前例のないチャレンジのために『CASH』は何を捨てたか。

#FinTech 6/8

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2017年9月に開催された第1回「LivingTech カンファレンス」。全9セッションの中から、「FinTechが変える暮らしと新たなビジネス」と題して行われたセッションの模様を、全8回に渡ってお届けしていきます。バンク代表の光本氏が『CASH』に対する賛否両論をいかに受け止めたかを語った前回に引き続き、第6回は、マネタイズの方法について語られます。

登壇者情報

  • 光本 勇介 氏 /株式会社バンク 代表取締役兼CEO
  • 大野 紗和子 氏 /AnyPay株式会社 取締役COO
  • 榊原 一弥 氏 /株式会社じぶん銀行 執行役員 決済・商品開発ユニット長
  • 一村 明博 /株式会社ZUU 取締役 ビジネスソリューション事業部統括 兼 FinTech推進支援室長(モデレータ)

予測不能だったのは、世の中にまだないサービスだから

光本: 一番ご指摘いただいていたのは、瞬間的にキャッシュに替えて、私たちはすぐにお金をお振込みするんですけれども、基本的には物を送っていただくと。ただ、ご返金いただける導線も用意していたんですね。

ご返金をいただくときに、15%の手数料をいただきます。この15%というのは、キャンセル手数料としてです。取引を1回決めているのにも関わらず、返金を選ばれているので。

しかしこの15%というのはキャンセル手数料ではなくて、貸金的な部分に当たるのではないかとか、金利換算したら高くなってしまうので、ここはまずいんじゃないかといったご指摘をいただいていました。

そもそも、私たちは物を送っていただいたとして、私たちはそこをまたキャッシュ化し、買い取った金額と私たちがキャッシュ化した金額の差分がビジネスになるように設計しておりました。

一村: サービスを展開していってデータがたまってくると、そのへんの計算はできると思うのですが、展開する前にどのぐらい勝算があったのか。

光本: 何も考えないでビジネスしたんですよね(笑)。何も考えないというのは、似たようなサービスが、日本ならず私たちが知る限り、世の中になかったのです。

結果的に物を送る方と、お金を返す方の割合がどのぐらいかというのも、全く想像つかない。

30分で1,000万円の供給が証明した、少額資金ニーズ

一村: いろいろ聞きたいことがあるのですが、いわゆるキャッシュフローですね。これだけ話題にもなって、少しやってみようかなという人もたくさんいらっしゃると思うんです。そういうときに、キャッシュフロー、このへんの安全性というかどういう担保があるのか、お聞きしておきたいなと。

光本: 1番最初にリリースをしたときは、キャッシュフローが間に合わないと思って止めました。1日に3,6億円ぐらいにのぼってしまったので、単純に30日計算すると、同じスピードで続いたら100億円ぐらい必要になってしまいますので、これはもう絶対に足りないなと。

今回(編集部注:再開時)に関しては、先ほども申し上げたように、1日キャッシュ化の枠というのを作っており、今でいうと1日1,000万円ですので、これも単純計算で30日掛けるとだいたい3億円ぐらいになっています。

私たちから出ていくお金が3億円という計算になりますので、こういった意味では、再開の時からはちゃんと計算してサービス展開できるようになりました。この枠はどんどん増やしていきたいと思っています。

一村: いろいろな方向に進めるかなと思うんですよね。リユースの分野もそうですし、ロジスティクスのところでも、ひょっとすると今いちばん破壊力があるのかなと思っていて。今後の展開を図っていく上で、IPOなのか未上場の段階でのユニコーンなのか、そのへんの思いえがく絵みたいなのがあれば、最後に。

光本: ビジネスとしてのゴールですよね。

一村: そうです。

光本: どんな答えを期待していただいているか分からないんですけれども、正直、今のタイミングでは深く考えていないです。サービスを展開してみて日々感じるのは、私たちがチャレンジさせていただいている領域の需要というのは、ものすごくあるなと。毎日のように感じております。

これは先ほど申し上げた、少額の資金ニーズという部分ですね。思っている以上にものすごくあります。サービスリリースを再開し3週間ぐらいなのですが、今は少し落ち着いていますけれども、リリースした当初は1,000万円の枠がだいたい30分くらいでなくなってしまったんですよね。

キャッシュ化したい、キャッシュをすぐに手にしたいという需要はものすごくあるなと思っていますし、この領域は今までも潜在的にあったにも関わらず、ちゃんと表面化、浮き出ていなかった。

これをいま私たちが対応し、その領域でビジネスさせていただいておりますので、ゴールというのはまだ明確には決めていないのですが、こんなに需要があるのであれば、この少額の資金ニーズというマーケットを自分たちの手でしっかりと作っていきたいなというところに、一番興味があり、注力しています。

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