ビジネスチャンスは“家の中の意外なところ”に? 日々の暮らしに見出す事業のヒント。
#HomeTech/IoT 7/8
2017年9月に開催された第1回「LivingTech カンファレンス」。全9セッションの中から、「暮らしの中で顧客接点・価値体験を持ち続けるには?」と題して行われたセッション(全8回)の7回目をお届けします。今回は、YKK AP 東氏、リノべる 木村氏が、ビジネスの種の見つけ方、育て方について語った模様をレポート。
登壇者情報
- 長田 英知 氏 /Airbnb Japan株式会社 執行役員 ホームシェアリング事業統括本部 統括本部長
- 月森 正憲 氏 /寺田倉庫株式会社 上席執行役員
- 東 克紀 氏 /YKK AP株式会社 経営企画室 事業開発部 部長
- 木村 大介 氏 /リノべる株式会社 Connectly事業責任者
- 福岡 裕高 氏 /アーキタイプ株式会社 取締役/パートナー(当時)/ モデレータ
家の中の意外なところにビジネスチャンスが転がっている?
福岡: はい、ここで東さん。2018年あたりに新しい協業先がいっぱい出て来るはずですよね。
東: そうですね。プロジェクトを推進していくためには、たしかに最初に発信する会社でPARTYさんに協力いただいたのですが……
福岡: かっこいい会社ですよね。
東: そうですね。高いですけどね(笑)。
福岡: (笑)。
東: 正直、いま第3弾に関しては、だんだんその血を社内に落としているので、第3弾はもう全部100%うちの会社で、だんだんと仕組みを落としてやっています。
唯一、推進するという意味での協働と、実際に商売に落としたときの協働に関しては、たしかに2018年。ちょっとうすく見えてますけど、正直うちは窓だけやっているわけではないので。もう一つの、皆さまが一日のうちに行き帰りで絶対通る場所につく商材。あの辺が結構キーポイントになってくるかなと。
今年はコンタクトポイントを重視しながらやっているのですが、人が集まったり通る場所には絶対に何か課題があって、それをハードで解決できたら商売に繋がると思っているんです。その中で、スマホのようなハードの部分をうちが提供して、そこでいろいろな世の中の課題が解決できたらなということを、これから進めていきたいと思っています。そこまでしか言えないんですけど。
福岡: どのような切り口でプレゼンすると「お、ちょっと一緒に何かできるじゃん」というふうに思っていただけるのでしょうか?
東: 例えば家の中の玄関空間でいろいろ起きていることというのは、たぶん宅配があり、例えば高齢者の徘徊など社会的な部分もあったりしますし……
福岡: 窓だけでなく「玄関」という切り口なんですよね。
東: そうですね。いろんなことがそこで起きているんですが、例えば、今日飲み会なんだけど奥さんに言ってなくて飯作って怒られるとか。ちょっとしたことも玄関を通るだけでいろいろなことが共有できたりとか、物語的には玄関でできることがいっぱいある。
スマートロックもそうですが、いろいろなことが。こういう切り口で話をすると、「あ、うちでもこういうことできるよ」というのを期待しながら。ぶっちゃけ言ってしまいましたけど。
福岡: もしご一緒できるとなると、最高のメリットは、新宿をはじめ素晴らしい環境の中で、ものを作るところまで一緒に歩めるといったところですよね。
東: そうですね。今回も実売に向けてなので、うちの会社がやっていない領域に入っていこうという部分をやっていくと。
そうすると窓がたぶん、電話機でいうと子機みたいなイメージになると思います。玄関が親機で、窓が子機。
福岡: 僕たちの生活において、玄関をどう通るか、窓をどう使うか、という顧客接点について、デジタルの力を活かしてプラスアルファで何を実現できるか?
東: そうですね。今まで普通に通っているただのドアだったものが、そこに情報やいろいろなことができてくると、もしかしたらいろいろなものが解決できるかもしれない。そういう領域を攻めていきたいなと思っています。
顧客が使い続けたいと思えるサービスを
福岡: 木村さん、この領域は協業ど真ん中ですけど、過去に10個くらいやって3つに絞ったんですよね?
木村: いや、たぶん100個以上は試しましたよね。協業という形ではないですけど。
福岡: 商売になりそうなものを3つ?
木村: 商売になりそうなものではなく、お客さんが使い続けたいと思っているかどうかですね。
福岡: 今日のテーマはそれだ。顧客接点で顧客が感動しているというのがこの3つなんですね。
木村: そうです。
福岡: 今年、例えば4つ目5つ目というと、どのようなものを。
木村: ずばり言うと、住宅のメンテナンス・修理の企業さんと協業をしたいと思っています。
背景を話すと、去年くらいまでは私自身はIoTというキーワードを使ってサービスの説明をしていたんです。IoT技術でサービスを作っている人です、というのを。でも今年から……今日たぶん初めてIoTと言ったのですが、全然使っていないんです。
その背景は、お客さんの生活の困りごとや痛みをずっと突き詰めていくと、どう考えてもIoTだけではなく、人力であったり、他のソリューションも必要だよね、というものがあまりにも多かったんですよ。
なので最近はIoTではなくて、次世代の住宅、次世代の暮らしを作る、と言っています。その中で最近、ユーザーさんの困っていることを解決できるなと思っているのが、さっき申し上げた修繕やメンテナンスなどのところです。
個人的なエピソードを言うと、このあいだ自宅のトイレが詰まったんですよ。さすがにトイレを使えないのはきついなと思って夜中にすごく調べて、どの業者さんが評判かと調べてみると、壮大な金額を請求されますとか、すごく悪いことが書いてあるんですよ。嘘か真か知りませんけど。
その中でも選んで選んで、1社に選んで来てもらったのですが、結局直らなかったんですね。ガポンガポンと圧をかけていたのですが、全然詰まりが取れなかったんですよ。
自宅は、実は「リノべる。」でリノベーションした家なのですが、リノべるの設計担当に相談したら、すぐ工務店さんが来てくれて。工務店さんに相談したら、「あ、たぶんそれ、向こうのトイレから空気が出てたんだよ」と言われて。
うちはマンションなのにトイレが2つあるんですよ。それが特殊すぎて、修理業者さんは分からなかったんじゃないかなと。
圧をかけても直らなかった原因は、詰まったトイレだけを直そうとしていて、もう一方のトイレからゴポッゴポッって空気が出ていたんですよ。でも、工務店さんが来てくれたら、もう1つのトイレの穴を塞いで、すぐに解決しました。
つまり、住宅の仕様を分かっているところがちゃんと修理をしてくれたら秒で解決するものが、その情報がなかったために1時間近く苦戦をすることになったのです。それはうちがちゃんと情報を管理して提供すべきサービスだなと思ったので、今はそういった住宅のメンテナンス・修理の企業さんと組みたいです。