「挑戦しない言い訳ができない会社を」LIFULL好調の要因とは? #TeamBuilding 3/9

--

2017年9月に開催された第1回「LivingTech カンファレンス」。全9セッションの中から、「事業開発のための組織・人材開発 〜いかに社内の壁を乗り越えるか〜 」と題して行われたセッション(全9回)の3回目をお届けします。前回の三井不動産 光村氏のスピーチをふまえ、マイクはLIFULL 羽田氏に。新規事業も好調な同社、既存事業の一部門としてではなく最初から子会社化することが前提だという、その真意とは?

登壇者情報

  • 羽田 幸広 氏 /株式会社LIFULL 執行役員 人事本部長
  • 光村 圭一郎 氏 /三井不動産株式会社 ベンチャー共創事業部 事業グループ 主事
  • 曽山 晢人 氏 /株式会社サイバーエージェント 取締役 人事管轄
  • 山下 智弘 氏 /リノベる株式会社 代表取締役(モデレータ)

“働きやすい会社”ではなく“働きたい会社”をつくるために

山下: 次、羽田さんにお伺いしたいと思います。『日本一働きたい会社のつくり方』、読みました。

曽山: バカ売れしているんですよね。

羽田: ありがとうございます(笑)。

山下: タイトルを、“働きやすい”ではなく、“働きたい”会社とされていますね。そのあたりもお話ししていただければなと思います。

羽田: 2005年に私が当時のネクストに入社したとき、人事の経験は全くありませんでした。実は、過去の会社であまりよくない思いもしていました。「働く人は不幸になるのか?」と考えていた頃です。

「社会をよくするために会社はあるのに、社会の一部である社員を不幸にするというのはあってはならない」という思いから、社員に対してもいい会社をつくれないか、と。未経験だったのでふわっとですが、そんなことを思っていました。

たまたま最終面接で社長の井上と話したときに、彼が「うちはビジョンを実現するために事業をやっている会社だ」と言っていました。「HOME’S(現LIFULL HOME’S)で日本の不動産業界をよくしていきたいし、海外にも展開したい」とも。

また、現在の社名であるLIFULLは、LIFE(人生・暮らし)とFULL(満たす)を併せた造語です。「世界中のあらゆる人生や生活を満たしていくために、不動産に限らず暮らし全般の事業をやっていきたい」という話は当時からしていました。

一方で「社員に対しても日本一の会社にしたいよね」という話になり、入社を決意しました。

そこから人事周りををいろいろやってきました。私たちはビジョンを実現するために人が集まっている会社なので、社員のことは同志と呼んでいます。同志の人たちにとって働きやすく、働きがいのある会社が大事だと。

働きやすさには、ライフステージが変わっていく過程でいろんなサポートをしていくという意味もあります。働きがいは、その人がやりたいことを実現できる会社ということです。 なので、不動産領域だけではなく、たとえば教育や介護などいろいろな新規事業をやりたいという新卒を積極的に採用しています。そういう人たちの「やりたいことを実現するチャンスを提供できる会社」をつくっていこう、「挑戦しない言い訳ができない会社」をつくっていこう、といろいろな制度や企業文化をつくってきました。

新規事業提案者を社長に。ベンチャー立ち上げをまるっと経験させる

山下: 会社名も変えて、時価総額がグッと伸びているのがリアルですね。いろいろな新規事業を推進しているかと思いますが、それはやりたいと思うコトが先ですか?それとも、それができるヒトが先ですか?

羽田: 「できる」ではなく「やりたい」という意志を持っているヒトですね。新規事業の提案制度で、大体年間130〜150件ぐらい社員から出てきて、そのうち年間数件を事業化するのですが、社長になるのは提案者です。

なので、3年目の営業マンやWEBデザイナーなどを、いきなり社長にしちゃいます。新規事業責任者ではなくて、社長として子会社をつくってしまいますね。

山下: そのときは100パーセントの子会社としてですか?

羽田: そうです。100パーセントで、例えば法人登記から、印鑑を揃えてというところから全部自分でやらせます。

山下: 本当にベンチャーの体験をさせるんですね。

羽田: オフィスなんかも基本的に全く手伝いません。人事としても社労士は紹介しますが、自分で給与計算してもいいし、社労士に出してもいいし、うちに外注してもいいです。うちに出す場合は、業務委託契約をして支援するという形をとっています。なるべく井上が会社をつくったときの状況を再現するのが狙いです。

新規事業責任者はどうしても事業の成長だけを気にしがちです。しかし、社長にすると「社員の雇用やコストをどう担保するか?」とか「コピー代は?」とか、そういうことにも意識がいきます。そうすることにより、潜在能力が開花させられるという意味で、一定の成果を得られていると感じています。

山下: 逆に外とのアライアンスは、どんなアプローチですか?

羽田: 案件をいただく場合とこちらからお声がけする場合もありますが、共通しているのは「こういうことがやりたい」という、泥臭く青臭い部分から組んでいくという形ですね。

山下: 社内の責任者も立てるわけですよね。光村さんの話にあったような、そのあたりの調整はどうしているんですか?

羽田: 社内で開示できるものは、基本的に公募をします。あとは、以前新規事業で失敗した人を次の新しい案件にあてるケースもあります。

--

--