ツクルバの活用事例にみる、VR導入によるコミュニケーション最速化の手法。

#VirtualReality 2/9

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2017年9月に開催された第1回「LivingTech カンファレンス」。全9セッションの中から、「空間の作り手とユーザーのギャップを埋めるVRの可能性」と題して行われたセッション(全9回)の2回目をお届けします。前回では、ツクルバがVR導入を進めるに至った、業界に共通する悩みが紹介されました。本稿では、VRの導入事例が具体的に紹介されます。ツクルバの中村氏がモデレーター、InstaVRの芳賀氏とDVERSEの沼倉氏をパネラーに迎えて語られた、VRの現在地と未来。

登壇者情報

  • 芳賀洋行 氏 /InstaVR株式会社 代表取締役社長
  • 沼倉正吾 氏 /DVERSE Inc. CEO Founder
  • 中村真広 氏 /株式会社ツクルバ 代表取締役 CCO(モデレータ)

疑似空間体験によって、顧客と共通の認識を

中村: ツクルバがVRに活路を見出した理由をお話させていただきました。次にVRの活用事例をご紹介します。

ご存知の方いらっしゃるかもしれませんけども、「TECH::CAMP」というエンジニアのスクールがありまして、その中のTECH::EXPERTという施設の空間デザインを我々がやらせてもらったときの話です。

規模が大きかったんですが、これを3ヶ月というベンチャー的なスピードでつくりたいと言われ、なかなかタイトだなと思いながらお話を受けました。意思決定をクイックに進めていかないと、短納期なので完工できませんということをお伝えしまして。手戻りなく進めていくために3DCADで設計をし、随時ビジュアルイメージを共有をていくということをやりました。

今日は動画では描き出せなかったんですが、あとでご紹介があると思いますけれども『SYMMETRY alpha(シンメトリーアルファ)』というDVERSEさんのツールを使わせていただいて、立体の中にウォークスルーで入っていく体験も設計プロセスに入れていきました。

社内の確認用としてもとても重宝しましたね。座ったり立ったり、身体感覚と連動するのがとても新鮮でした。そして、3DCADで設計をしていって、これがパースと実際の完成写真です。

お客さんは「本当にそのままできましたね」と喜んでくれて。過程においても意思決定がとてもスムーズでした。ほぼクライアントが想定していたように完成していきました。

VR×スマホで、遠隔での意思決定を加速

2つ目として、今度はInstaVRさんの『InstaVR』を活用させていただいた事例です。

調布で、もともと企業社宅として使用していた建物を、一棟丸ごとリノベーションマンションにしましょうというという企画をやっています。

その中で、我々は「パッケージリノベーション」と呼んでいるんですけれども、ある程度、型ができたリノベーションのタイプを選んでいただいて、「空いてる区画をどのリノベーションパッケージでリノベして住みますか」というのをお客さんに選んでもらうといった仕組みをやっております。

課題としてあるのが、5種類のパッケージリノベーションをどうやって伝えるか。しかも現地にご案内するのではなく、オンラインでなんとかして体験してもらいたいと思ったんです。そのときにInstaVRさんを活用して、360度カメラとVRで表現したのがこんな感じです。

完成した物件をカメラで撮って、InstaVRで編集して書き出したものです。こんな感じで、5種類の部屋を遠隔地で体感できるようになります。最終的には現地へ行かないと分からないと思いますけれども、5つのパッケージってどんなものなのかを、スマホを使って遠隔でも簡単に確認できるのが特徴ですね。

実物が渋谷とか都心にあれば「ちょっと案内しますよ」とできるかもしれないですけども、この物件は調布ですのでなかなか行きづらい。こういう場所には最適なんじゃないかなと思います。反応も上々で、うまく進んでいます。

「しゃがむと目線もついてくる」、不動産とVRの相性

という感じで、我々もまだまだ活用し始めたところで、「このようなときにはこのサービスを使ってみよう」「このようなときにはこのサービスを」と、まだトライアルをしている最中です。しかしながら、VRの可能性みたいなものには徐々に気づき始めています。お客さんの反応もいいですし、やはり体感してみると全然違います。

さっきのSYMMETRY alphaを活用させていただいたケースだと、しゃがむと目線もついてくるんですよ。本当に実際の空間体験をしているような感覚で、設計プロセスを進めていけます。

instaVRの活用事例のほうでも、現地は遠隔で行けないが体験してみたいというお客さんに、簡単なスマホVRを使ってもらうだけでも反応が良いです。建築・不動産業界には、VR活用がかなりの有効なのではないかなと思っています。

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