VRに使われるか?それとも使いこなすか?押さえるべき本質とは。

#VirtualReality 8/9

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2017年9月に開催された第1回「LivingTech カンファレンス」。全9セッションの中から、「空間の作り手とユーザーのギャップを埋めるVRの可能性」と題して行われたセッション(全9回)の8回目をお届けします。VRとリアルの境目、VRビジネスのマネタイズについて語られました。ツクルバの中村氏がモデレーター、InstaVRの芳賀氏とDVERSEの沼倉氏をパネラーに迎えて語られた、VRの現在地と未来。

登壇者情報

  • 芳賀洋行 氏 /InstaVR株式会社 代表取締役社長
  • 沼倉正吾 氏 /DVERSE Inc. CEO Founder
  • 中村真広 氏 /株式会社ツクルバ 代表取締役 CCO(モデレータ)

VR体験とリアル体験、住み分けはどこに?

沼倉: どうしてもメディアだと、VR元年、VR時代紹介もされたりするのですけど、ハードとしてはまだ本当に黎明期ですね。

昔のパソコンが大きかったり、テレビが大きかったのと同じように、まだ全然そんなに使い勝手がいいとは、つくっている僕らもやはり思っていないです(笑)。ここは時間が解決していく問題かなと思っています。

中村: 肩掛け式の携帯電話のような感じですよね。

沼倉: あれを新幹線でよく持ってましたよね。ヘッドマウントみたいなの担いで。

中村: そこから、スマホになるまで20年、15年。

分かりました。ほかに質問ある方いらっしゃいますか。ぜひ後ろのほうの方も、はい、よろしくお願いします。

質問者3: 小僧.comの平松と申します。別々の質問になってしまうんですけれども、いま私がお話を聞いていて、前者のInstaVRさんは、既にある世界のものを写真のように撮ってVR化させていくというところで、そうするとVRをつくるためのコンテンツの制作コストが軽減できるのかなと。

後者のDVERSEさんで言うと、対象がCADデータとかなので、既にあるものではなくて想像の中の空間であったりとか、コンテンツというものを形にしていって、それをVRにして。今まで平面でCADとかを見ていたものを、立体感を持って見れるのかなというような、同じVRのサービスでも少し違う立ち位置なのかなというふうに感じました。

しかし、CADなどであのような空間ができたとしても、お話にあったような触った感覚があるとはいえ、おそらく「素材感」というのは必要になってくるのではないかなと思うんですよね。

建築家さんと施主さんが話すときに、素材感というところ。それって、おそらく今後、建材メーカーのデータベースなどと連動していくとできるようになっていくと思うのですけども……質問としては、実際にそういうことを想定されて、今マイルストーンを組まれているのかということ。

もしそれが想定されているのであれば、いつごろに? 例えばLIXILさんのDBと繋がっていって、具体的にVR化していきますというところを質問させていただきたいと思っています。

沼倉: やはり、皆さん求められる要望というのはいろいろあって、最終的にはその素材感をいかにリアルに伝えるのか。これはグラフィックをどれだけきれいにできるのか、といった問題になると思うんですね。

我々ももちろんグラフィックの質を上げていくというのはロードマップにも入っているのですが、逆に前線でやっている人間からすると、全てをVRの中でやる必要は今のところはないと思っていて。

むしろ素材感に関しては、実際にそういったショールームで見ていただいたりですとか、あくまでVRは全てを置き換えるものというよりも、ひとつのツールであると。こういったものも使いながら実際の素材を見つつ、写真ですとかパースだとか、ああいったものもなくなるわけではなくて、見せ方がそれぞれ違うんです。

今いきなり全てがVRに収束するというよりは、今までとはまた違った体験としてVRの見せ方をしながら、お客さんとコミュニケーションをするという、コミュニケ―ションをさらに豊かにするためのツール、というのが今の段階かなと思っています。

当然そういったリアルなグラフィックを動かすというのは、GPUのスピードであったりとかいろんな技術的な問題というのがあります。

これは我々だけで解決できる問題ではないので、こういったものが発達すると、最近の映画が、昔はプラモデルで動かしていたのを全部CGでやるのと同じように、VRの中でもああいったフォトリアルなグラフィックを見せることは徐々に可能にはなっていくと思います。

VRで広がる、未来のマネタイズモデル

質問者3: ありがとうございます。あと、InstaVRさんで言うと、旅行業なども含めていろいろな転用ができると思うのですが、例えばそこでマネタイズのモデルをどう考えていくか。

今はそのVRのコンテンツをつくるというショット課金になると思うんですが、例えばGoogleのようなところが世界の観光地のVRコンテンツをデータベース化させていって、そこでサブスクリプションモデルをつくっていったりとか、ビジネスモデルが変わってくるのではないかと。

そういった観点で、御社のサービスを使ってどのような未来の新しいビジネスモデルができるのか、お考えを教えていただければと思います。

芳賀: ありがとうございます。マネタイズですよね。まず建築というか、建物に関係することですと、VR空間でみんな何をやっているんだと言うと、エンタメの領域ではみんなVRの中で、広い部屋でNetflxを観ているんですよね。あるいはHuluや普通の映画を観ていたりします。

そのときに背景の場所が超高級ホテルだったり、眺めのいい部屋だったりというところで……いま皆さんのお持ちの物件の写真で、いわゆるテンプレートというかテーマとして、例えば300円で加工するといったビジネスモデルなんかもできます。

今まで体験というものを、ほかのところに持って行ってやるというわけには行かなかったんですね。この部屋入るのに300円だけちょうだいよ、というわけにはいかなかった。しかしこれが、映画を2時間観るんだったら「せっかくだからリッツ・カールトンのスウィートルームで観たいよ」という方もいるんです。

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