テクノロジーが生む“もう一つ”の価値―アナログな“体験”の魅力をどうデザインしていくか?

#PremiumAnalog 1/6

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2018年11月に開催された第2回「LivingTech カンファレンス」。『POST2020』をテーマに掲げ、2020年から5年後の社会を考えるトークセッションが展開されました。人口減少、少子高齢化、過剰供給……。社会課題について交わされた13セッションの中から、「 テクノロジー時代における『Premium Analog』な体験デザイン」と題して行われたセッション(全6回)の1回目をお届けします。

登壇者情報

  • 内山 博文氏:u.company 代表取締役, Japan.asset management 代表取締役
  • 松田 正臣氏:アルティコ 代表取締役 PERFECT DAY 編集長
  • 中村 真広氏:ツクルバ 代表取締役 CCO エグゼクティブ・プロデューサー / モデレータ

Premium Analogとは何か?

中村真広(以下、中村) 皆さんこんにちは。ランチタイムですね。僕らもお腹空きましたが、皆さん、来ていただいてありがとうございます。

中村 真広:ツクルバ 代表取締役 CCO 。1984年生まれ。東京工業大学大学院建築学専攻修了。不動産ディベロッパー、ミュージアムデザイン事務所、環境系NPOを経て、2011年、実空間と情報空間を横断した場づくりを実践する、場の発明カンパニー「株式会社ツクルバ」を共同創業。デザイン・ビジネス・テクノロジーを掛け合わせた場のデザインを行っている。著書に「場のデザインを仕事にする」(学芸出版社/2017)他。

僕らのセッション、この3人で進めていきたいんですけども、会場の皆さんにも話してもらう会にします。

それで、チェックインをやってみようと思うんですね。

初めに、自分で声を出してみないと、なかなかこの場に参加する感覚になっていかないので、チェックインをやってもらうことが多いです。

このセッションに参加するときの自由な今な気持ちを、周りの皆さんと話してもらって、その上でこの場に臨みたいなと思っています。

テーブルで座っている方たちは前後の人や左右の人で、3人ぐらいのグループを作っていただいて、今の率直な気持ちや、このセッションに参加するにあたり気になっていること、そのへんを簡単に、5分弱話していただければなと思っています。

では5分弱、よろしくお願いします。

中村 だいぶ盛り上がっていただいたと思うんですけど、この場にいる皆さんなので、それぞれ事業やられたりとか、この業界に近い方々も多いと思うので、ぜひ今日はそういう横のつながりも作れたらなと思っております。

改めて、このセッションは「Premium Analogな体験デザイン」というテーマでやらせてもらいます。

内山さんと松田さんと、私、中村で、皆さんとも雑談しながら進めていければなと思っているんですけれども、全体のタイムラインとしてはこのようなかたちです。

まず初め、チェックインを今やって、この後、このテーマでなぜこの会が組まれているのか、というイントロの説明を私でして、そのあと3人ともスライドトークを用意しています。

約10分間ずつ、簡単ではありますけれども、自己紹介がてらに活動紹介をさせていただいて、そのあとに時間があれば皆さんでまた感想シェアの時間を作らせてもらいます。

その上で、最後のほうではキーワードセッションで、いくつかキーワードで用意して持ってきているものがあるんですけど、それに限らず皆さんから聞きたい内容というか今悩まれているテーマ。

それに向けて、われわれも一緒に悩んで考えていきたいと思っています。

では、改めて、テーマはこちらです。

「テクノロジー時代におけるPremium Analogな体験のデザイン」

そもそもこのテーマはどこからきたのかなんですけども、このLivingTechカンファレンス、去年から始まっていまして、去年、内山さんともセッションした最終回ですね。

1日の終わりの最終セッションで、今日どうでした? みたいな。

去年のまとめのセッションをやったとき、去年もLivingTechという名前の通り、今年もかなりジャンルが広がって、不動産建築に限らずいろいろな方々が今日もゲストトークでいっぱい参加されていますけれども、去年もいろいろな領域で、テクノロジーと暮らしを掛け算した方々がいらして。

その中で、テクノロジーがどんどん進化していくと、様々な体験がどんどん滑らかになっていくんだけれども、その一方で、逆にアナログというか、今ここでしか体験できないような、Premium Analog、プレミアム感があるアナログ体験が光を帯びていくよねという話になったんですね。

そこのPremium Analogというキーワードをうまいこと拾っていただいて。今回はPremium Analogをテーマに掲げてセッションをしてください、というお題があったので、(LivingTechカンファレンス実行委員会メンバーの)内山さんと話していたとき、「このテーマで話してみたい人、誰かいない?」と言われたんですね。

それで「実はすごく気になっている方がいるんですけど、僕ぜんぜん面識なくて」という話をしてたのが(今回登壇いただく)松田さんです。

情報の相対価値が下がり、Analogの価値が浮き彫りに

松田さんがそのちょっと前ぐらいに、この「PERFECT DAY」という雑誌のエディターズノートで書かれていた内容が、まさにこのテーマにばっちりだなと思ったんですね。

そのとき、僕は松田さんとは全然知り合いではなかったんですけど、共通の知人がこのエディターズノートはすごく感動したと言っていて、シェアしてくれたんですね。それで(松田さんを)発見しましたと。

今スライドで出しても、文字小さいのでわかりづらいんですけど、全部はもちろん読み上げませんが、この赤いところ、皆さん目で追っていただければなと思います。

すごく共感すると思うんですよね。

例えばネットワーク。

SNSなどいろんな情報発信の手段が増えていくと、情報の価値が相対的に低下して、デブリになってしまっているよねと。

その中で、Amazonプライムもそうですし、Netflixとかいろんなもので、エンターテイメント含めアートやカルチャーの部分が、王道のカルチャーと言われていたものが、ネットの消費側に、情報低下側に回っちゃっていて、王道に夢を描くことがなかなか難しくなってきていると。

そのときに、若者で音楽に夢見ていた人とか、ファッションに夢を見た人は今どこに行ったのかというところで、松田さんは「食なんじゃないか」ということで、食をテーマにしたこの雑誌の特集を組まれていたんですね。

「進化する食の現在」という題名なんですけども。

なぜ食かというと、オンラインではなかなか情報が流れ得ないような、その場所でしか体験できない、その空間でしか体験できない食に、かつて王道のカルチャーに夢を描いていた若者たちが今テンションが上がってるんじゃないかというところを、このエディターズノートで語られていて。

まさにこれはPremium Analogだなと思ったんですね。

特に、テクノロジーが進化していけばいくほど、逆に昇華されていくこのPremium Analog感というか。

それをまさにテーマとして、今回このセッションでは皆さんと一緒に考えていきたいなと思っていたときのエディターズノートだったので思わず、全然(松田さんとは)知り合いじゃないですけど、共通の知人に紹介してくださいとアプローチして、松田さんに会って快諾をいただきました。ありがとうございます。

あとでちゃんと自己紹介もいただくので、このぐらいにしておきます。

今日は、このタイトルの中で、つまりPremium Analogな体験ってどんな体験なの?というところをぜひ話していきたいです。

あと、それはどういうふうにデザインできるんだろうか、ということや、テクノロジーは別にPremium Analogな体験にとって敵ではないので、そことうまく共犯関係を結んでいくためにはどういう関係性の編集をしたらいいのか、というところをお話できればなと思っております。

これを踏まえて、まずスライドトークで、皆さん知っている方もいらっしゃると思いますけども、知らない活動内容もあると思いますので、内山さん、松田さん、私の順番で自己紹介、活動紹介をできればなと思っております。

いったんここからは内山さんにバトンをパスしたいと思います。

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