シェアエコで生まれ変わる建設業界ー職人のスキル見える化で、多重請負構造が消滅?

#SharingEconomy 2/6

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2018年11月に開催された第2回「LivingTech カンファレンス」。『POST2020』をテーマに掲げ、2020年から5年後の社会を考えるトークセッションが展開されました。人口減少、少子高齢化、過剰供給……。社会課題について交わされた13セッションの中から、「シェアリングエコノミーでどうLiving techを変えていくか」と題して行われたセッション(全6回)の2回目をお届けします。

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登壇者情報

  • 久保 裕丈氏:CLAS 代表取締役社長 バチェラー・ジャパン 初代バチェラー
  • 韓 英志氏:ユニオンテック 代表取締役社長
  • 東 克紀氏:YKK AP事業開発部 部長
  • 重松 大輔氏:スペースマーケット 代表取締役 /モデレータ

国内2番目の産業規模で、オンライン化が遅れている業界

韓英志氏(以下、韓) 皆さんこんにちは、ユニオンテックの韓と申します。

韓 英志:ユニオンテック 代表取締役社長。1979年、大阪生まれ。東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修了。2005年、株式会社リクルートに入社し、SUUMO事業部配属。営業・戦略統括を経験し、その後多くの国内新規事業を立ち上げ。2011年以降、グローバル展開に向けた2度の新組織立ち上げ、3度の投資ファンド設立(計75億円)と30社以上への投資、3社の合弁事業設立、さらにはドイツにおける飲食店予約サービス・Quandoo GmbHの買収(271億円)を実行。株式会社リクルートホールディングス エグゼクティブマネジャーとして、本社のあるベルリンに赴任し、完全子会社化したQuandoo GmbH社(従業員数380名)においてManaging Directorとして経営執行に従事。2017年6月に退職後、半年間の育休を経て、2018年1月よりユニオンテックに参画。

たぶん聞いたことない人がほとんどだと思うので説明をすると、年商30億の中小企業の建設内装会社です。117人従業員がいまして、2年前からウェブサービスを始めて、結構伸びています。さすがに内装会社でして、(自社オフィスの内装も)オシャレです。

僕のキャリアは、2005年にリクルートに入りまして、12年間ずっとリクルートにいました。2011年から6年間はずっと海外事業をやっていて、一番最後は2015年ですね。

ドイツに日本支社がある飲食店の予約サービス「Quandoo」、日本でいうトレタ(編注:レストラン・飲食店向け予約管理システムを運営)みたいな会社ですかね。

そこを買収して、2年半ベルリンに住んでて、380人の従業員と一緒に16か国展開までやっていました。去年の6月に辞めて日本に帰ってきて、ちょうど子供が生まれたのもあって、半年間どこにも所属していませんでした。

「何をしようかな?」と考えたときに一番オンライン化が遅れてる業界の建設工事業、これのオンライン化にチャレンジしようと心に決めました。

リクルート在職時に、例えば美容室の予約だったり、ASEANの旅行の予約とか、いわゆるオンライン化が遅れていた領域、国もしくは産業でオンライン化をやるということを僕はやってきました。

今回建設業にきたのも、振り切って一番遅れてる業界にチャレンジしようと思ったからです。ですが歴史的な背景で見ると、ピュアなITカンパニーであまり変えられる業界ではないんですね。

やっぱりどうしても「論理的には分かるけど情理的には分かりません」というのが結構多い業界なので、あえて18年続いている内装会社に転職した感じです。初めての転職がいきなり内装会社。

市場を見ると、割とオンライン化してる産業が多いんですけど、2番目にでかくても全然進んでません。

更にこういう言い方をすると結構悲しい話なんですけど、職人は減っていってます。なんですけど、結構みんな誇りを持ってて、「俺はこういうのを作ってるぜ」と、特に日本の職人は思ってます。

建築業界のレガシーコストを、ITでぶっ壊せ

どういうことが起こってるかというと、今ちょうど景気がいいのもあって、発注する人の90%は「(発注したくても翌月以降に動ける)職人が(他の現場にとられていて)いない」と言ってます。

一方で工事会社や職人の70%は「次の仕事がない」と言ってるんです。

これは2つ理由があるんですけど、ひとつはいわゆる情報の非対称性とよく言いますけど、コミュニケーションが電話だったり、タウンページだったり、紹介だったり、これに紐づいてること。

もうひとつが、構造自体が多重請負構造になってるので、例えば1,000万円の工事をするのに20社くらい業者が入ってきて、その結果、職人が施主までコミュニケーションをとるのに3日かかるとかが起こります。

これをぶっ壊そうと。

難易度は高いんですけど、次の10年ここに取り組んでみようということで今の会社にいます。

内装の写真をお見せしましたけど、実は今こっちをやってまして、B to Bの工事会社間、もしくは発注者と工事会社を繋ぐプラットフォーム「SUSTINA」。

これめちゃくちゃ儲かります。ビジネスモデル自体はシンプルなんですけど儲かるんですね。

「SUSTINA」は作って2年なんですけど、この業界は60万社の工事会社がいる中で、月間30万UUあって、2年目で売り上げ約1.5億、黒字化までしてるんです。というのもこれ見てもらうと60万社の業者がいる中で、売上1億円未満の会社が70%というめちゃくちゃテール構造なんです

ただし利益率を見ると右の方が儲かってて、一方で大きなゼネコンなんかは利益率がそんなに高くないという構造です。

もうひとつのこっちが今日のメインテーマですけど、「CraftBank」(クラフトバンク)を出してまして、これまだβ版で出しただけですけど、その場で職人に発注できます。

基本的には、職人はいわゆる寿司職人に近くて、5年修行したから給料いくらとか、もしくはさっきの中抜き構造がたくさんあるので、誰から仕事をもらうかで給料が違います

その中でスキルの見える化をやってまして、表の中のCraftBankの工事価格が実績で、一般価格が普通に頼んだ場合で、これがアプリを使った場合、削減率を見ると「これだけ中抜かれてます」ということが明確で、最初はテストのつもりで作ったんですけど、いよいよ本腰入れていこうとしてます。

重松 ありがとうございます。

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