HipHop!ラッパー牧師とイエスの物語

疑念。葛藤。放蕩。それら全てを超えた神の愛を、ラップに乗せて届けたい。

Rachel
BE A FREE SPIRIT in JESUS
11 min readMar 9, 2017

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餃子の町、宇都宮。
そこに一人のラッパー牧師がいると聞き、取材にやってきた。
ネオンの輝く街に現れた、彼の名は、安食ジョイさん。

(・・・牧師???)
と、首をかしげる筆者を引き連れ、宇都宮で一番おいしいという餃子をたらふくご馳走してくださった、心優しい御仁だった。

それにしても、一体、ラッパー牧師とは何なのか?なぜ牧師がラップをしているのか?全てが明らかになった。

安食 滋良(Joey Anjiki)

1983年生まれ。牧師の息子として、高校までは窮屈感を覚えつつも教会に通う日々を送る。大学時代は、関西学院大学で神学を専攻するも、信仰に疑いが生じる。その頃、HipHopの世界に魅了され、音楽の道へ。24歳の時には、国内最大規模のMCBattleの大会である UMBにおいて神戸チャンピオンに輝くなど、その才能を発揮するが、その後、人生の転機が訪れる。現在は、ライブ出演、CDの発売など積極的な音楽活動を続けながら、宇都宮にある峰町キリスト教会にて牧師を務める。

— ジョイさん、雰囲気がすごく明るくて、話し方も軽快ですけど(最初、牧師先生だってわからなかった・・・・)子どものころからそうなんですか?


作新学院(野球の強豪校)で野球やっていたことが大きいかも。強豪校だったから、練習も超ハードだった。もしもう一度中学3年に戻ったとして、高校で野球やりますかって聞かれたら、無理ですって答えるかな(笑)あれは知らなかったからできたんだよね。でもその3年間で学んだことが自分の人生で大きな糧になってると思う。

— なるほど(笑)牧師の息子さんって聞きましたけど、小さい頃から牧師になろうと思っていたんですか?

いや、今振り返ると、幼いときに個人的に信仰を持っていたか、と言われたら持っていなかったと思う。感覚で言ったら、日本人が、別に仏教信仰してないけど自分は仏教ですっていう感覚に近いかな。知識としては十字架の愛と救いを知ってたけど、自分と関係あるものとしては捉えていなかった。むしろ、教会に行くことに窮屈さも感じてたね。別に強制されたわけじゃないけど、やっぱり牧師の息子としてのプレッシャーとかもあったと思う。だから、大学行った途端に、教会へはぱったり行かなくなった。

— 大学はどこだったんですか?

入ったのは関西学院大学の神学部。神学部って言っても、すごくリベラル。自由主義神学、といって、ヨーロッパから来てるんだけど、聖書を信仰を通して読むんじゃなくて文学として読むんだよ。だから、聖書に書いてある諸々の奇跡や、イエスキリストの復活もないっていう先生もいた。

— え!そうなんですか!ということは、礼拝はない?

礼拝、あるよ(笑)そこはちょっと矛盾しているところで、イエスが病人に対して施しをしたりとか、そういう愛の姿勢から学ぶところがあるよねっていう、道徳的なスタンスだったかな。
教会行かなくなったのは、そういうリベラルな神学を学んだ影響もあったと思う。小さい時から、イエスの十字架の復活とかは、聖書に書いてあるからそうなんだろうって、当たり前のものとして受け入れていたところがあったんだけど、大学でそういった教育を受けたことで、本当は十字架の復活や、書かれている奇跡なんてないんじゃないかって思うようになった。今まで信じてきたものが間違っていたのかなっていう疑いや葛藤が生じたことが、教会から離れる要因にもなってたと思う。

— なのにどうして牧師になろうと思ったんですか?ちなみに、今はイエスの復活とか信じてらっしゃるんですか?

もちろん(笑)じゃないと牧師できないよ(笑)
んーと、まず、その頃、HipHopを始めたってのがあると思う。当時のHipHopをやっていた環境ってあまりいい者ではなかったんだよね。酒、薬物などが身近にあったし。その中で活動していてやっぱり自分もそういう雰囲気に影響されるところがあって、このままじゃダメになるって思ってた。その時心に浮かんだのが神様だった。自分の状況を変えたいっていう思い、そして、それをできるのは神様だけなのかもっていう漠然とした想いがあったんだよね。
ちょうどその頃―大学出た後2年くらい、HipHopやりながらフリーターやってた時期に―牧師だった父親から、聖書学校行ってみないかって言われた。信仰を立て直したいっていう気持ちもあったし、まぁ、大学の神学校みたいな感じかなって軽いノリで行ってみたら、これが超ガチなところだった(笑)

— そんなガチだったんですか(笑)

もう、超ガチ(笑)みんな、牧師になる情熱に満ち溢れた人たちばっかりな上に、全寮制で、朝は5時起き完全消灯22時っていう。大変なところにきてしまったって感じだった(笑)
でも、意外と居心地が良かったんだよね。同級生に恵まれたことが大きかったかな。親が牧師で二世っていう、自分と同じ境遇のやつらがいて。2世のポンコツばっかり集まってた(笑)

— ポンコツ?!

そうそう、牧師家庭で育って、教会離れて、戻ってるのか戻ってないのかよくわからないような・・・(笑)
それも神様の恵みだったと思うんだけど、そういう同級生に恵まれたこともあって、居心地は良かったし、同じ悩みを共感できたりする中で、お互い成長する機会になったんだよね。ただ、過ごしていく中で葛藤はあったよね。ほとんどの人が牧師になろうって情熱を持って入ってきてるのに、自分はそうじゃなかったし。1年経ったら辞めるつもりだったくらいだから。

— それがどうして一体牧師に・・・ますます不思議ですね。

どうしてかというと、正直、体験的な領域だよね。礼拝の中で、神様に心を触れられるって体験をしたんだ。小さい時から十字架のこととか、知識として聞いてはいたけど・・・それが本当に自分の罪を赦すためだったんだってことが、理屈じゃなくて、もっと深いところで体験的にわかった瞬間があった。なんて説明したらいいかな・・・知識と体験が一致した感じなんだよね。ジェットコースターだって、それがどれくらいすごいものかって言葉で説明したところでわからないじゃん?乗ってみないとさ。それと一緒で、イエス様が自分の罪のために十字架にかかってくださった、そして今も生きて、存在している。そして、命を捨てるほど自分のことを愛しているってことが、体験の中で、実感として溢れてきたんだ。頭での葛藤を超えた瞬間だった。

— 今でもその瞬間のこと、覚えていますか?

はっきり覚えてる。礼拝が終わった後、個人的に祈る時だった。神様を求めてたんだよね。本当にいるなら、触れてくださいって。その時に応えてくださった。全然そんな雰囲気じゃなかったのに、いきなり俺だけ一人でボロボロ泣き始めたから、周りがびっくりしてさ(笑)ああ、イエス様が今も生きていて、自分と一緒にいてくださるんだって気づいた瞬間。その時の体験は本当に忘れることができない。

—それが、転機になったんですね。

それがなかったら今何しているか怖くて想像したくない 笑。それが人生のターニングポイントだった。そのとき自分の罪が本当に赦されて、新しい命が与えられたんだって感覚があった。で、その命を何のために使うかって考えたんだ。そしたら、もう神様のためしかない、牧師しかないと思った。だから、本当は1年でやめようと思っていたけど、そのときの経験のおかげで、2年3年って続けて学校に行けたよね。その聖書学校 は自分の人生が変えられた場所だね。。

—ラップも牧師をやる上で生かされていますか?

そうだね。実は、牧師になろうって決めた時、ラップを止めようと思ったんだ。ラップって自分がどれだけ周りよりイケてるか、っていう競争の中でやってたし、ラップを自己実現のために使ってたから。実際、2007年のMCバトルで、神戸チャンピオンになった時も、全部自分のためだった。だから、これから神様のために生きていくなら、これは誘惑になるし、もうラップはやめようって思ったわけ。でも、その時周りから「ラップできるならそれで賛美すればいいじゃん」って言われて、あ、そっか、そういう考え方もあるのかって。自分にはそういう発想なかったよね。それから教会でゴスペルラップもするようになって・・・今では、大学でラップをやっていたことも全部神様の計画の中にあったんだなって思ってる。
他にも、今ラップやMCバトルがブームになってるから、ラップやってる子たちと知り合えたりするんだよね。僕も教会の外でライブしたり、クリスチャンでない人と一緒にグループ組んでCD作ったりしてるよ。
もしかしたらクリスチャンの中には「え、牧師がラップ?!」ってなる人もいるかもしれないけど、僕は、それが自分が神様からもらった使命だと思ってる。音楽の力ってすごくて、ラップは、人と人とを繋げる一つのツールになるんだよ。

―ラップを通じて、神様の愛も伝わりますか?

そうだね。言葉だけじゃなくて、信頼関係を築いていくのが大事だと思う。彼らも、僕が牧師だってことも知ってるから、お酒飲まなくてもタバコ吸わなくても、理解してくれる。同じ事が出来なくても「だから仲間じゃない」なんて風には絶対ならない。それは、信頼関係ができてるからだと思う。他にも、ラップやってる大学生たちが、わざわざ教会に来てライブしてくれたりもする。そういう信頼に基づいた交流が大事だと思うし、そこから伝わることってあるんじゃないかな。

―なんだか、とっても素敵なお話をありがとうございます・・・ちなみに、ゴスペルラップがどんなものなのか、すごく気になるんですが・・・

CDが出ているのでぜひ聞いてみて!

ということで、そのCD!かっこいー!せっかくなので歌詞もお伝えします♪♪♪

<CD歌詞> アンジキジョイ×SAKA the GAMI

アルバム『0g』 10曲目 MYHOODより

思い出は時にほろ苦く 町を歩けば嫌な過去も思い出す

でも今はあいつのことさえも思いやる ことができる

見える景色が変わり今ここに立つ

ふとした場所で出会う友達 数年ぶりだとしてもあの頃と感覚は同じ

昨日まで会ってたみたいさ 過去の記憶たどり あのときの謎解きを

5年前に戻った地元 与えられた俺にしかできない仕事

偉そうなことは言いたくないが 誇りを持ち見いだすライフ My savior Jesus christ

命に寄り添う 70億分の1じゃ割り切れない 別れはやりきれない

だが思い出を書き足し また会いたい それは終わりじゃなく始まり

手にした家族 養い守る 「あれ」とか「それ」だけで通じる会話

与えられた命 二人の間 これ以上 求めるものなんてないさ

握りかえしてくる小さな手が 未来を見据えてる小さな目が

その景色はいい眺めか? いいかこの先どんな辛くても死んじゃだめだ

生まれ育ったこの町 多くの経験を積み重ね与えられた物差し

今日も暖かい家に帰る やがてこの町で土に帰る

RENE MARS 1stアルバム『APPROACH』7曲目

On My Own feat. アンジキジョイ & SAKA the GAMIより

子供の泣き声で目覚める朝 曇りない瞳にも映せる姿

晴れの日は続かない 助けられた最低の日からMy seiver JESUS

マイク握るのは流行病じゃない 誰か残した轍はない

今日もまた沈んでく夕日を見る ライブ前に静かに十字を切る

あふれてる偽りや勘違い 何かが今足りない

Believer故のパンチライン RUNDMCのRUNみたい

憂さを晴らすため緑ふかす より使命に命使う

この瞬間は最初で最後 暗闇に光をナイトdeライト

<アンジキジョイ×SAKA the GAMI>

アルバム『0g』から
I’m ready PV
itune販売ページ

CD購入希望はこちらまで

今回の対話は終始笑いが絶えることなく、和やかな雰囲気の中で進みました。牧師のイメージ、そしてラップのイメージが新しくなったことは間違いないです(笑)これからもラップを通じてイエス様の熱い愛が、多くの人々の心に伝わりますようにお祈りします!ありがとうございました。

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Rachel
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