プログラマの3大美徳と子育て

Daisuke Maki
makisanch
Published in
7 min readDec 21, 2015

これを書いているのは12/21ですが、「子育てプログラマ・ITエンジニア・Webデザイナー Part 2 Advent Calendar 2015」でふと見たら間が抜けていたのでさっと12/9の分を埋めてみます。

私は3歳と2歳の二人の子供がいる、Web系システムのサーバー側を主に見ているプログラマです。普段の私の子育てに関しては以前書いたこちらの記事をどうぞ

俗にプログラマの3大美徳と言われるものがあります。「怠惰(laziness)」「短気(Impatience)」「傲慢(Hubris)」という一見逆説的な3種類の性質がそれぞれよりよいプログラマになるために役に立つ、というのです。

ざっくり言うと… 怠惰であれば「面倒だな」と思う事はどんどんプログラムを介してコンピューターにやらせるという方向にいくでしょう。短気であれば「良くない」と思った物に対してイライラして、改善を行おうとするでしょう。傲慢であれば自分の作ったプログラムに文句をつけられるのは嫌ですからより高いクオリティの物を生み出すようになるでしょう。… というような流れです。

… と、いきなり3大美徳で書き出して見ましたが、正直に言うと「短気」と「傲慢」は子育てにはちょっと関係ない気もします。

ですが、「怠惰」は子育てにおいてはとても重要な事だと思います!

プログラマというコンテクストでは怠惰は「自分ではなくコンピューターにタスクをさせる」ためのモチベーションとして語られますが、子育てにおいては「自分達が可能な限りがんばるんじゃなくて、可能な限り楽に子育てをできるようにしていこう」ということにつながるのではないか、そしてそれは良いことなのではないか、と最近考えていました。

ということで3大美徳改め「プログラマの3大美徳のうちの『怠惰であること』と子育て」でお送りしたいと思います。

怠惰であれ

我が家では子供が生まれる前から(比較的)完璧主義者の妻の性格も鑑みて頼れる人やサービスについては頼りまくって積極的に我々親が楽になるように(怠惰でいられるように)しよう!と話し合っていました。

これは子育てが面倒とかそう言った話ではなく、「親が余裕を持てなかったら子供の相手なんてできないし、ギリギリでやりくりしていたらいつか破綻して愛情を注げなくなるのではないか?」という事を考えたからです。子供は気ままだし我が儘だしこちらの都合なんて一切お構いなく熱を出したり、その辺にうんちをしてみたり、と基本毎日がハプニングの連続ですので、もうそこを親が全部受け止めた上で不眠不休で子供に奉仕するというのは無理だと割り切ることにしたのです。

というわけで我が家で結果的に親が怠惰でいるのをサポートしてくれているな、と感じるいくつかの施策?を書き出して見ます。

(睡眠を含めた)1日のスケジュール

我が家では1日のスケジュールは時々冗談で「軍隊みたい」と言われる事もあるくらい毎日子供達に守られせています。朝起きる時間、ご飯を食べる時間、お風呂に入る時間、本を読む時間、寝る時間… もちろん状況により多少の変更はありますが、基本のスケジュールは午前5時半〜6時に始まって、午後8時頃に就寝するところまで親も休日を含め毎日スケジュールを守っています。

一見全く「怠惰」ではないこの施策ですが、もちろん子供達に生活のリズムを定着させるという意味があります。しかし子供達の生活リズムが定まる以上に、午後8時頃に子供が自分達の部屋で寝るという結果、ほぼ毎日午後9時からは夫婦で話したり、テレビを見たり、作業をしたりという「大人の時間」を作れるのです!この時間からは毎日確実に親が怠惰でいられるのです!

このスケジュール、今となってはもう楽なものですが、最初はそれなりにバトルがありました… でもやってよかったと思います。おかげさまで夜中にコードを書いたりすることができます。

外食をする

やはり普段のご飯は子供の舌に合わせているので、たまには誰かが作ってくれた物が食べたい…! という気持ちで親のほうがいっぱいになることが頻繁にあります。それを溜めて気持ちがささくれだつのもよくないので、比較的よく外食をしにいっています。(もちろん予算の関係もありますので贅沢なご飯を食べに行っているというわけではなく、子供の食べるものもある近所のお店とかに行っているだけですが…)

ただ、外食するということは泣いたり、奇声を上げられたりという事を避けないとこちらもおちおちご飯も食べていられません。そういう状態になっては逆につかれてしまいます。

そこで気をつけていたポイントは外食をし始めるかなり前から、家で食事の時間とはご飯を食べる時間であると言うことをキチンと理解してもらうために子供の集中力が続いている間にご飯を食べてもらうようにしていたことです。

これも「外食、全然いける!」と思うところまで時間はかかりましたが、ちゃんとやってよかった事です。おかげさまで 1ヶ月のうち何回かはゆったりとは行きませんが、ちょっと気分を変えつつご飯を作らないという怠惰な親でいられます。

保育施設・シッターを使って休日を作る

子供は見ていて飽きませんし、いつまでも赤ちゃんでいてくれればいいのに、と思うときがほとんどです。ですが、それでもたまには休みは欲しいものです。

いくら可愛い子供でも憎たらしい時は本当に心底に憎たらしいです。そんな小さい事を積もらせるより、定期的に親が怠惰になれる休暇の日を作るべきだと思い我が家では長男が1歳になるちょっと前から定期的にベビーシッターを雇ったり、土曜日の日中に保育施設に預かってもらう等、サービスを駆使して1日の一部を親の休暇にあてています

以前行った美味しいレストランに行ってみたり、ちょっと映画を見てみたり、とにかくこの数時間は子供から離れます。僕ら夫婦はそれほど勤勉なタイプでもないのでこのような休暇を1ヶ月に1回くらい取る事によって本当に救われていると思います。自由な時間を堪能した後は自分でもわかるくらい子供達に対して余裕を持てています。

普段から保育園に行っている子供に少し寂しい思いをさせてるかな、とは思いつつもここもやはり割り切ってこのようにしています。

とは言え、罪悪感を感じなら迎えに行くと「また明日もここに来たい!」とか言われて拍子抜けすることもしばしばあります。気にする方もたくさんいるとは思いますが、疲れて適当な相づちを打って子供の相手をするくらいならちゃんと向き合ってくれるシッターや保育士さんのほうが良いのではないかな、と私は考えています。

力を抜いた分お返しを

…というような感じで我が家で親が楽をしつつ子育てをできるように行っているいくつかの事を書き出してみました。

ただやはり強調したいのはこれらは別に子育てが面倒くさいから、子供が面倒くさいからという理由で行っていないと言うことです。

このように手を抜けるところで積極的に手を抜くのは、その手を抜いた分だけ普段から子供に怒る時に感情的になってしまいそうなところをぐっとこらえてみたり、少しでも多く遊んであげたり、笑顔を少しでも多く見せて上げたい、少しでも子供達に愛情を注げるためにしている事なのです。

少なくとも私個人の場合は自分に余裕がないとなかなか優しくしてあげることができないと感じています。ですので、こうして自分の時間を作り、仕事をして、たまには休暇を取る、ということを積極的にすることによって最終的には子供との時間をより楽しく過ごせるようなっていると感じています。

もし子育てにちょっと疲れてしまった場合はちょっと一息つくのもきっと良いことだと思います。

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Daisuke Maki
makisanch

Go/perl hacker; author of peco; works @ Mercari; ex-mastermind of builderscon; Proud father of three boys;