セルフマネジメント成功の秘訣 : 情報をアップデートするための3つのTips【翻訳記事】

山田裕嗣 / Yuji Yamada
Maptio Japan
Published in
6 min readJul 15, 2018

セルフマネジメントでは「情報の透明性」が重要

セルフマネジメントが機能している組織は、ヒエラルキー型で統制された組織よりもいくつかの点で優れています。
例えば、マーケットや顧客の変化に合わせて早く反応することができ、エンゲージメントの高い組織を作ることで優秀な人材を獲得することもできます。

もちろん、その分難しくなることもあります。意図的に複雑性の高い組織を作っているので、新しいメンバーにとっては、組織全体を理解するまでに時間がかかります。
例えば、意思決定プロセスが複雑であり、色んな人に責任が分散しています。それぞれのイニシアチブが自律的に、各々の目指す方向に進んでいる中で、一貫性を保つための努力も求められます。

このような状況に対する解決策の一つは、組織全体で行われている取り組みのマップを作り、そこに最新の情報が反映されている状態を維持することです。これはすなわち、
・誰が何に責任があるか?
・誰が誰をサポートしているか?
・全体のビジョンはどのように具体的なアイディアに落とし込まれるか?
について可視化することを意味します。一般的には、組織図は一度作られてからはあまり振り返られることはありませんが、このマップは日々の組織の変化を動的に反映するものであることが期待されます。

Maptioはセルフマネジメントをする組織のためのマッピングツールですが、ここで述べるアドバイスは、どんなツールを使う場合にも応用できます。
次に上げる3のTipsは、様々なセルフマネジメントを実践する組織を支援してきた中で感じた、最新のマップを維持するためのヒントです。

Tip1 : 情報の透明性を担うタスクフォースを立ち上げる

Maptioのようなツールを使う意義の一つは、全員がマップの作成に関われることです。誰もが自分が取り組んでいることを書き入れることで、組織内の情報の可視化に貢献することができます。ただ、注意すべきことがあります。

情報の可視化は、確かに組織全体に貢献するのですが、それだけで全員が「自分のマップを常に最新にしておこう」と思えるとは限りません。これは“共有地の悲劇”となり、結果的にマップが古くて使い物にならなくなってしまうリスクがあります。

これを解決する一つの方法として、マップそのものに責任を持つ小さなタスクフォースを作ることは有効です。このタスクフォースは、組織内で「情報の透明性」や「イニシアチブの一貫性」に最も価値を感じる人がスポンサーを務めることが望ましいです。一般的には、創業者やCEOなどが該当することが多いです。

スポンサーは、組織のメンバーが自らの仕事の可視化に習熟できるよう、少数のメンバーに支援を仰ぐことができます。イニシアチブの情報をアップデートするように背中を押したり、一人一人の努力の成果としての最新のマップをフィードバックしたりすることなどは有効です。

Tip2 : 組織の日常的なリズムの中に組み込む

セルフマネジメント型の組織は、典型的な組織に比べて会議やレポーティングの機会はかなり少ない傾向があります。それでも、組織を前進させるための日常的なリズムが存在します。例えば、四半期に一度の「全社振り返り」によって、進捗を共有したり、重要なテンションを解消したり、次に何が起こるのかをシェアしたりします。

こういった組織の中に日常的に存在する場面は、マップを最新に更新するのに適したタイミングです。「マップの更新」を初めからアジェンダの中に入れておき、あまり時間をかけずに全員でマップに取り組むことが望ましいです。

組織の大きさや特性によって、最適なやり方は変わります。一例として、マップに責任を持つタスクフォースのメンバーが現状のマップをスクリーンに投影し、全員にマップ更新のやり方をリマインドした上で、その場でパソコンを開いて全員でアップデートする、というやり方もあります。これならば、10分もかからずに最新の地図に更新できます。

さらに、それぞれのイニシアチブの定例のミーティングの中でも、マップの更新をアジェンダに加えてもらうよう働きかけることも有効だです。

Tip3 : マップをコミュニケーションのツールと接続する

セルフマネジメント型の組織は、Slackなどのコミュニケーションツールを使っていることか多いです。このような全員に周知しやすい手段があることは、マップを最新に維持することに役立ちます。

例えばMaptioでは、Slackのchannelに最新のマップのスナップショットを投稿できる連携機能があります。会議でマップの更新が終わったあとに、「これが、新しいメンバーが組織を理解するために使うマップになります。何か古い情報があれば、ぜひいまこの瞬間に更新してみて下さい」といった共有をすることは有効です。

出典: “Self-management success: 3 tips for ensuring your org map stays up-to-date” by Tom Nixon

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また、日本における筆者の役割については、こちらの記事を御覧ください。

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山田裕嗣 / Yuji Yamada
Maptio Japan

HR系のコンサル、大手ITのHRを経て、ITベンチャーの経営に参画。 2017年12月にEnFlow株式会社を設立。Teal/ホラクラシー/自然経営など、新しい時代の組織への変容を支援。 https://en-flow.com/