城友会「働き方改革」講演会@富山県南砺市

Fumina Nakazaki(中﨑史菜)
Matosen blog
Published in
7 min readMar 10, 2019

2019年2月14日(木)、富山県南砺市城端の経営者が集う「城友会」総会が開かれました。「城友会」は北陸銀行が主催し、定期的にセミナーを開催しています。

今回は講師として株式会社まとめる専門家の松本八治さんが招かれ、人材確保に向けた最新の取り組みについてお話がありました。

「働き方改革」が叫ばれて久しいですが、漠然とした表現なだけに具体的に何をすれば良いのか、何を以って改革というのか、が明確になっていません。今回セミナーに参加された経営者の方々も、具体的にどう活動していけば良いのか悩んでいる方が多くいらっしゃいました。

厚生労働省は働き方改革を9つの分野に分けています。(参考資料)

1. 同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善

2. 賃金引き上げと労働生産性の向上

3. 時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正

4. 雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の問題

5. テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方

6. 働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備

7. 高齢者の就業促進

8. 病気の治療、そして子育て・介護と仕事の両立

9. 外国人材の受入れの問題

各企業ではサテライトオフィスの設置、時間外労働の規制、各種制度の整備など、様々な角度からの取り組みが行われています。
企業を対象に行われたアンケートによると、それらの取り組みのうち大きく効果を感じたのは「ITツールの導入」だそう。

2019年4月には法律改正が行われ、労働時間に関する制度の見直しなど法律面でも「働き方改革」が推し進められていきます。
厚生労働省が提示する「モデル就業規則」も2018年1月に改定され、原則禁止されてきた副業について「勤務時間外において他の会社等の業務に従事することができる」という表現に変更されました。

さらに、2015年に国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」において、国際目標として持続可能な世界を実現するための17のゴール(SDGs)が設定されました。
この中には「ジェンダー平等を実現しよう」「働きがいも経済成長も」などのゴールがあり、こういった世界の潮流と働き方改革を掛け合わせた活動も増えています。

講演する(株)まとめる専門家の松本八治さん

松本さんは、各企業の働き方改革対応策を分類すると下記の3つになると指摘します。

人材:労務・人事

情報:ITの導入・活用

経営:組織改革・労働環境改善

情報と経営の改革はお金と時間がかかるもの。松本さんはもっとも取り組みやすい「人材」分野にフォーカスし、まとめる専門家が実際に行なっている取り組みを交えながらお話しされました。

南砺市が副業人材採用をサポートする取り組みをしていることをご存知でしょうか?
副業採用プラットフォームのSkill Shift(スキルシフト)は、副業をしたい!という都市部企業勤務者と採用に悩む地方の中小企業をマッチングするものです。

Skill Shiftを運営する株式会社grooves富山県南砺市南砺市商工会の3者は「南砺市『副業』応援市民プロジェクト」を昨年立ち上げました。
2018年度中、南砺市内の企業は一切の手数料なしでSkill Shiftを活用することができます。

南砺市が力を入れて取り組んでいるプロジェクトですが、残念ながら会場ではそれを知っている経営者の方は一人もいませんでした。

Skill Shift(スキルシフト)公式サイトより

マーケティングや新規事業、広報など専門性が必要な仕事は、新入社員を一から育てようとしても時間がかかります。
そういった中核人材を副業採用すると、新しい風が社内に入るためイノベーションが起きやすくなります。

南砺市内での副業人材採用した事例として、「しろえびせんべい」で有名な日の出屋製菓産業株式会社や、家具メーカー石崎家具株式会社の事例が紹介されました。
「転職は考えていないけれど、自分のスキルを今の会社以外で生かしたい」「東京で働いているけれど、故郷に何らかの形で貢献したい」といった方々が続々と応募され、実際に採用に至りました。
採用された副業人材は、経営者のパートナーのような存在。経営課題の相談に乗ったり、新規事業を起こすために社員たちと協働したりしているそうです。

松本さんは「仮に応募がなくても3月末まで費用は発生しません。応募者をみて採用・不採用を選べるので『とりあえず募集してみる』から始めてみませんか」とオススメされました。

まとめる専門家はSkill Shiftの南砺市内企業の相談役としてサポート体制を整えているので、「詳しい話を聞きたい」「オンラインでの面談はどうやるの?」といった疑問・相談があればまとめる専門家まで連絡してみてください。

LOHAIサイトより

デザインや情報発信、WEB制作など専門的かつ単発の仕事を依頼したいときは、フリーランスと地方の企業をつなぐ「さすらいソノトチワーク」がオススメです。

このサービスは「地域に行きその土地でしかできない仕事をすることで、さらに深くその地域について知る」ことを目的に地域の仕事案件とフリーランスをつなぐもの。
多くの場合、宿泊場所として「移住体験施設」を紹介してもらえるので、遠方から来たフリーランスも安価に宿泊可能です。

利用するフリーランスからは、「南砺市に親戚がいるので、仕事内容よりも立地で選びました」「田舎が好きなので各地の案件に応募しています」「スノボが好きなので、仕事と併せてレジャーも楽しんでいます」という声が聞かれます。

すでに南砺市内企業の活用実績は多数。募集する側からしても、それぞれのフリーランスの過去実績を見て採用を判断できるので安心して始められます。

セミナーの運営をサポートする まとめる専門家副業社員の丸山さん

最後に、まとめる専門家で働く4人の副業社員の紹介がありました。WEBマーケティングや商品開発、福利厚生や健康増進、経営や事業継承、そして広報・ライティングの4分野を副業社員が担当しています。
(私もまとめる専門家の副業社員で、広報・ライティングを担当しています)

事務所のジム

中でも健康増進に関しては、オフィスの1室をジムに変え「筋肉先生」が愛称の林原洋二郎さんからアドバイスをもらっているそう。ユニークな取り組みですね。

今回のセミナーには副業社員の丸山祥子さんも駆けつけ、運営サポートを行いました。

「正社員採用」以外の様々な人材確保方法があることを知り、参加者の皆さんは興味を持って聞き入っていました。
さらに、実際に副業社員が働く城端の企業・まとめる専門家が身近にあることがわかり、具体的なイメージが持てたようです。

今回のセミナーをきっかけに、これまでの「当たり前」にとらわれず柔軟に人材を採用できる企業が城端に一社でも増えれば嬉しいです。

まとめる専門家・谷内さんによるグラフィックレコーディング

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