戦略経営者の副業人材採用セミナー@富山県南砺市

Fumina Nakazaki(中﨑史菜)
Matosen blog
Published in
6 min readOct 16, 2018

副業プラットフォーム「Skill Shift」を運営する株式会社grooves・富山県南砺市・南砺市商工会の3者は地域の中小企業と都市部で働く優秀な人材を副業マッチングする南砺市「副業」応援市民プロジェクトを立ち上げました。2018年9月3日には、このプロジェクト実施に係る包括連携協定が結ばれており、プロジェクトのスタートとして、9月27日に株式会社grooves鈴木秀逸氏による「戦略経営者の副業人材採用セミナー」が南砺市クリエイタープラザで行われました。

会場に集まった南砺市内の経営者の方々

講演に先立ち、南砺市役所・市民協働部南砺で暮らしません課 課長の市川氏からは「都市部で動きのある『働き方改革』によって、ノウハウを持った会社員の本業の勤務時間が短くなります。そこで、余っている時間を使って南砺で力を発揮してもらう、という流れをできるだけ早くつくりたいと思っています。」と挨拶がありました。

南砺市役所南砺で暮らしません課 市川課長

「Skill Shift」とは副業が解禁された都市部企業の「中核人材」と地方の中小企業とを繋ぐ副業マッチングサービスです。「中核人材」とは長い経験や専門知識を持つ人材(弁護士や税理士など外注できる人材ではなく、マーケティングや広報、人事などのプロフェッショナル)を指します。

中核人材とは

鈴木氏からは都市部で働く会社員の現状について指摘がありました。「働き方改革」によって副業を解禁する会社が増え、会社員の約8割が副業に興味を持つ一方、実際に副業をしているのは全体の1割程度に留まります。「法人を立ち上げるのはリスクがあるし、週末小遣い稼ぎするほど収入には困っていない・・・」という方が多く、副業をする明確な理由とその“場所”がない、というのがその理由として挙げられます。

「Skill Shift」は人材マッチングにおける課題を解決するために、次の5つの仮説を元に作られたサービスです。

株式会社grooves鈴木秀逸氏

正社員として採用しなくても良いのではないか?

人材確保に悩む中小企業からは「そもそも応募がない」「正社員として雇ってもその報酬に見合うだけの仕事は用意できない」「移住を伴う採用は難しい」といった声が多く聞かれますが、月に数日のコミットでOKな副業であれば応募数・マッチング率が上がります。

副業であれば安い報酬で人材確保できるのではないか?

Skill Shiftでマッチングするのは「月4〜5万円程度の報酬」案件が多いです。報酬が高額だとマッチングしづらくなるのは、副業に費やす時間や労力が多くなり本業に差し障りがあるのでは、という懸念が生じるためです。また、報酬が安い方が本業での生活基盤がしっかりしている優秀な人材が集まる傾向にあります。

今までなかった企業との取引が生まれるのではないか?

大手企業の内部の人を直接紹介してもらえるなど、距離を越えた繋がりが生まれる可能性があります。

圧倒的な生産性向上の可能性があるのではないか?

例えば「販路拡大」を目指す際に正社員の営業を1人雇う代わりに、広告の中核人材・マーケティングの中核人材など複数分野の中核人材を雇うことで効率的に販路拡大を達成することができます。

移住に繋がるのではないか?

地方での副業を始める理由として多いのが帰省や趣味(スキーやマリンスポーツなど)です。自然・食・子育て環境など都市部にない魅力に気づいてもらうことができれば、副業がきっかけで移住に繋がる可能性が高くなります。

2017年12月にSkill Shiftのサービスが開始されてから、富山県内でも既に成果が出ています。日の出屋製菓産業株式会社(南砺市)は海外事業拡大に伴う海外バイヤーからの英語や中国語のメールに対応しきれず悩んでいました。社内に海外事業経験者がいないためSkill Shiftで募集したところ、富山出身で海外勤務中のトリリンガル人材を副業採用することができました。

これまでの人材採用における採用担当者の一番の悩みは「応募がない」ことでした。Skill Shiftを活用してきた企業の方からは「本当に応募がある」ことに驚きと喜びの声が聞かれています。(応募申し込み率95.7%)
また、経営者や採用担当者からは「そもそもどのような人材を求めればよいかわからない」といった悩みも多く聞かれるため、講演会参加者の皆さんにはワークシートを使いながら考えていただく時間を設けました。

採用したい人材について考える参加者

南砺市は、副業解禁に伴う社会の変化に早目に対応していこうと様々な取り組みを行っています。例えば南砺市での暮らしを体験できる“体験ハウス”(1泊1,000円)という施設があり、副業をきっかけに移住やUターンも含めて検討していただけるようなフォロー体制を整えています。また、Skill Shiftの有料サービスを市内の企業は無料で活用することができます。

groovesは都内の会社のため、地元で本サービスの導入をサポートするのが“株式会社まとめる専門家”です。サービスの登録の仕方、ネット会議の方法など、親身かつ迅速なサポートを提供していきます。さらに今回の講演会ではまとめる専門家の谷内さんがグラフィックレコーディングにより講演内容を可視化していきました。終了後には参加者の方々がカメラに収める様子が見られました。

完成したグラフィックレコーディング
会場となった南砺市クリエイタープラザ
名刺交換する参加者とまとめる専門家代表取締役の松本氏(左)

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