英語学習について

Yuichiro Nagai
10 min readDec 29, 2016

--

自分自身の2年半のアメリカ大学院生活における英語学習での試行錯誤の経験もふまえ、あらためて振り返ってみて改めて思うのは、留学中よりも帰国してからの方が英語の上達の幅が大きいということです。

思い出してみても、もちろん日々英語触れる時間数という意味では、留学中の方が圧倒的に多かったのですが、英語を使う状況や文脈の幅、会話内容の複雑さなどは、仕事で使うようになってから格段に増しました。帰国後も留学中に身体にしみこませた個人訓練法をコツコツ継続しつつ、その成果発表の場は仕事においてになる、という良いサイクルを回せる環境になりました。それが大きかったんだなと、今振り返ってみて思います。

留学せずとも上達できる

特に、費用対効果ということを考えると、たとえばアメリカの学費はずっと高騰の一途だったので、公立であっても目が飛び出るほど高くなっています。そんな中、学位も取らない語学留学などになると、これはもう、富裕層のお戯れみたいな様相を呈してきています(もちろん短期ならそこまでではありませんが)。

それに、実際のところ、現地に5年10年いても「えっ?」と言葉に窮するような英語を話す日本人たちも結構な数会ってきたので、必ずしも「英語に囲まれている」だけでは上達しないということを実感しました。

一方で、日本国内における英会話ビジネスに目を向けると、良くも悪くも旧来型の英会話スクールが今でもまだ元気にビジネスができている現状があります。最近はフィリピンやベトナムにいる現地講師とビデオチャットでつないでレッスンするようなタイプのものなど様々な形態があり、レッスン単価の低価格化もだいぶ限界まできている感じもしますが、そのおかげで日本人の英会話力が向上しているかといえば、そんなこともないような気がしています。

日本では英語を話す必要がほぼない

根本的な一因は、おそらく、今でも日本で暮らす(仕事をする)大多数の人たちにとって、英語は日常の一部ではないからなんだと思います。たとえば、英語を社内公用語をにしている某EC企業でさえも、中にいる人たちに聞くと、「日本語を話せない人が入っているミーティングだけは英語。日本人同士はほぼ常に日本語。だから社内の英会話レベルは低い」という状況だそうです。

当たり前ですが、日本人同士は日本語でコミュニケーションをとった方が効率が良いに決まってるので、仕事上はむしろそうするべきでしょう。仕事を進めるのが仕事であって、英会話を学ぶのが仕事ではないわけですから、母国語が日本語同士のものたちに英語で話せと強いてもしょうがないですし、たいして上手でもないもの同士英語で話してもそれで上達することは残念ながらありません。

自分の前職のGoogleでも実際似たような状況はありました。特に営業部署なんかは日本のマーケット・お客さんと仕事をしているので、社外的に英語を話すような必要性はゼロです。社内メールなどは全社的にほぼ英語でしたが、とはいえ英会話となると話は別で、チームメイトや上司に日本語が話せない人がいない限り、英語は特に話さなくても良い環境でした。

要するに、Googleのようなグローバル企業においてさえも、みんながみんな日々英会話を強いられているわけではないことを考えると、一般的に日本の社会人が日常生活において英語を話さなくてはいけない環境を確保するというのはそう簡単ではありません。

まあ、だからこそ、日本の社会人は仕事終わりにせっせと英会話に通ったりスカイプで話したりしているわけですが、よく考えてみてください。仮に週に3時間レッスンを受けたとしても、月に12時間。年に144時間です。1日8時間英語を話す環境にいる人にとっては、わずか18日間で達成できてしまう時間量です。1年かけてもこれですから、圧倒的に話す時間が足りないわけです。

じゃあレッスンを週7日に増やせばいいのかといえば……仮にそうしたとしても増える時間数はたかが知れていますし、現実問題仕事をしながらそんなに通える人はほぼいないと思います。じゃあどうすればいいのかという話になるわけですが、だからこそ、「ひとりで練習する」時間を確保するしかないわけです。

個人練習でどこまでやれるかが鍵

細かい練習方法に関してはまた別の機会にシェアするにしても(ちょっとだけ後述します)、極端な話「個人練習95%/ネイティブチェック5%」くらいの時間配分でやるくらいの意気込みが必要でしょう。国内にいながら英会話力を上達させるには、この個人練習の習慣化が鍵になります。

ネイティブと話しているだけで英会話が上達するという思い込みを捨てるところから始まります。ネイティブと話す時間は、どうしても個人でできないところを手伝ってもらったり、コツを教えてもらったり、答え合わせをする時間です。そこをまずはっきりさせます。英会話の上達には、「ネイティブと話す時間を増やすのではなく、個人練習の時間を増やす」のが重要です。ネイティブとの時間は、週1時間もあれば当面は事足ります。

まずはここがスタートです。

一昔前までと違って、今では「Netflix」「Amazon Prime」「Hulu」などの動画ストリーミングサービスが月額1,000円ほどの激安価格で膨大なコンテンツ(教材)を提供してくれます。その多くには丁寧に字幕まで提供されていて、返却期間も気にせず何度でも繰り返し観れるので、これを使い倒して学習していくわけです。

今さら「○○○○ラーニング」みたいな「聞き流すだけで英語がスラスラと」みたいな教材を買っている人たちは、いい加減目を覚ました方がいいでしょう。「この錠剤を飲んでるだけでどんどんカロリーが燃えてびっくりするほど痩せます」みたいなものと同じです。そんな受け身で結果を得ようとするのは虫がいいにもほどがあります。

映画・ドラマをひたすら真似て練習する

個人練習の話をすると、「シャドーイングは効果的ですか?」と聞かれることがありますが、もちろん効果的だと思います。ただ、シャドーイングはいきなりやろうとすると難易度が高いので、まずは無理にシャドーしようとしたりせず、自分のペースで発声する方が良いです。最初からハードルが高すぎることをやろうとすると、すぐに打ちひしがれて早期離脱する原因になってしまいます。

まず、ドラマや映画の中で使えそうなフレーズや表現があるシーンを短く区切って、1シーンずつ丁寧に練習していきます。選んだシーンは字幕でしっかり意味と構文を理解し、Wordやメモ帳アプリなどにセリフごと書き取っておいて後から見返しながら復習できるようにすると便利です。後でいろいろ自由に編集できるという意味でも、紙よりもPC(orスマホ)に入れておくことをオススメします。

次は、動画は止めておいて、そのシーンのセリフを自分で呟きます。セリフ見ないでも言えるようになるまで、最低50回くらいは発声してみてください。その際、細かい発音にこだわりすぎずに、どちらかといえば俳優のイントネーションや感情の入れ方(トーン)に気をつけて真似して発声してください。

それが終わったら、今度はそのシーンを再生しながら一緒に発声してみます。10–20回くらいやってみても、なかなか簡単にはいかないでしょう。それで当然です。ただ、自分は何がうまくできてないのかを認識し、その単語やフレーズなどをちゃんとメモっておいて、ネイティブチェックの時間に確認できるようにしておきます。そして、できないながらもめげずに追加で20–30回くらい発声します。ひとりで発声、再生して一緒に発声、それを繰り返します。

2–3分くらいの短いシーンでも、数日かけてトータル10時間くらいは余裕で練習に使えるでしょう。

そして重要なのは、個人練習はテレビやPCの前じゃないとやれないわけではなくて、通勤・帰宅時とかトイレとか昼休みとか風呂の中でとか、あらゆるひとりの時間にできます。そういう積み重ねが、実はすごく効いてきます。自分の場合、大学院の行き帰りでよく独り言を呟いて練習したので、携帯電話を耳に当てながら(誰かと話しているふりをして)よくやっていました。単に独り言をいっていると不審者扱いされるので(笑)、カモフラージュするために携帯電話を使ってましたね。みなさんもいろいろ工夫してみると良いと思います。

詳しくは、別途買いている英会話学習ブログもぜひご参照ください。

ちなみに、アルファベットひとつひとつの発音に関しては、丁寧にネイティブから学んだ方が良いです。できれば定期的にチェックしてもらい、ブレていく発音をその都度矯正してもらっていくと、徐々にブレにくくなっていくと思いますし、正解の音が体にしっかり染み込んでくると思います。

単語の発音のチェックなどは、ネイティブ講師がいないときでも、「weblio」の単語再生機能を使えば大丈夫です。かなり便利ですよ。(http://ejje.weblio.jp

それと、この「フォニックス教授と英語発音教室」というサイトも個人練習の強い味方になってくれそうな内容です。

日本人は真面目な人が多いので、ともすると発音記号ひとつとってああでもないこうでもないと延々と議論したり、「正しい文法」や「イギリスでは、アメリカでは」みたいなことにやけにこだわったりする傾向がありますが、そういう些細なことは置いておき、とにかく個人練習を積むということにフォーカスすべきでしょう。

これまで話してきた通り、単に英会話レッスンに通うような従来の受け身の学習ではなく、ネイティブとの1時間のチェックのために30時間個人練習するくらいの姿勢が必要です。そして、そのサイクルを淡々と回せるようになれば、否応無しに英会話スキルは伸びます。これはもう、確実です。

これからの外国語学習

と、ここまでこんな熱く語っておいて恐縮ですが、今後は外国語の習得の概念そのものが、大きく変わってくるのではないかと思っています。

Google 翻訳に代表される機械翻訳は今後さらなる発達を遂げていくはずですが、早ければ今後数年くらいの間にかなりリアルタイムにその場で通訳してくれるスマホアプリが一般化し始める可能性もあり、現在のGoogle翻訳の比ではない速さと正確さで通訳してくれる世界が近いところまで来ている気がします。

そうなると、もはや外国語という概念すらも曖昧になってくるでしょうし、これまでのように多大な苦労をしてあえて外国語を習得しようとする人もいなくなっていくでしょう。

それが現実にいつ頃から具現化されるのかはわかりませんが、その領域で日々技術開発しているエンジニアたちにはある程度目処が立っているのかもしれません。

機械翻訳や音声認識の領域はこれからさらにエキサイティングな革新を飛べて行くと思うので、ますます目が離せませんね。みなさんも日々必死で英会話スキルを鍛えつつ、それがまったくの無駄に帰す日のことを想像するのもなかなか乙なのではないかと思います(笑)

--

--

Yuichiro Nagai

とにかく肉と麺が好き。IoTスタートアップで人事やってます。