【ハイパーリンクチャレンジ2015】今年、僕がいちばんシビれた記事/長谷川賢人 #HyperlinkChallenge2015 #孫まで届け

今こそ、ウェブコンテンツにアワードを。

ちょっと前置きを語りますから、すっ飛ばしてくださっても構いません。

功罪はさておき、小説における芥川賞と直木賞の良さは「その年ごとに継続して続けていること」だと思っています。良作ぞろいでも、たとえ不作でも、選考委員たちが話し合って「2015年上半期は又吉直樹と羽田圭介に芥川賞をあげよう」と決めることで、作品を「2015年上半期」に価値を与えた上で留め置けるのです。

時代に作品を留め置くことの価値は「振り返り」にあります。小説愛読者や新規のファンが手がかりにしたり、創作論評したい人が参考のひとつにできたりと、さまざまな目的と時間軸からアクセスしやすくなります。

片や、時代と結びつきやすいのに全く留め置かれていないのがウェブコンテンツではないでしょうか。邦画なら日本アカデミー賞、言葉には流行語大賞があるように、ウェブコンテンツにも何かしらのアワードがあれば、メディアや制作チームの刺激になるのはもちろん、読み手にとっても新しい出会いをつくれるのでは?

そして、「リンクすれば誰でもアクセスできることの価値」を高められるのも、ハイパーテキストにおけるアワードの役割ではないかと思うのです。

そんなふうに、「サイボウズ式」の藤村能光さん、「隠居系男子」の鳥井弘文さん、「メディアの輪郭」の佐藤慶一さんと居酒屋で飲んでいる時に盛り上がって生まれた企画が「ハイパーリンクチャレンジ2015」。概要を下記に紹介します。

ハイパーリンクチャレンジ2015 開催概要

【開催趣旨】
現状ではウェブメディアに対するアワードがない。しかし、作り手は日々葛藤しながら多くのコンテンツを作り出している。それらが時代の流れに乗って刹那的に消費されるだけではなく、その年ごとの記録を残すことで、資料的価値を持たせる(映画の「日本アカデミー賞」、ユーキャンの「流行語大賞」、書店員が決める「本屋大賞」をあわせもったイメージ)。
アワード形式にすることで、担当編集者・ライターを表彰することも目標のひとつ。

【概要】
・その年(前年12月〜本年11月)までに公開されたウェブコンテンツから印象に残った記事を2本だけピックアップする。1本は自らが執筆・制作に関わった記事、もう1本は他媒体で公開された記事とする。
・参加者はそれぞれの記事を選んだ理由を、ブログやSNS等にまとめて発表する。選考した理由もあることが望ましい。また、次にチャレンジを受けてもらいたい人物、印象に残った記事を聞いてみたい人物も2人〜3人程度指名する。なお、指名がなくとも、開催趣旨への理解があれば自発的な参加も歓迎する。
・記事制作後、次のハッシュタグを付けてTwitterにて報告ポストを投稿する → #HyperlinkChallenge2015 #孫まで届け
・なお、「孫まで届け」には、いずれ日本のソーシャルヒーロー孫正義さんまで参加してくれたら嬉しい、孫の代まで読まれていきたい、参加していただいた方に“ソン”はさせない、という気持ちが込められている。
・投票は、12月20日を持って集計〆切とする。

【評議会】
本年は(言い出しっぺの)下記4名により評議会を開催。有効得票数による部門別アワード(※予定)と、印象に残ったコメントをピックアップして(何らかの形で)報告する。

・藤村能光
・鳥井弘文
・佐藤慶一
・長谷川賢人

※早速、鳥井さんと、鳥井さんからバトンを受けた紫原明子さんが書いてくださっています!

今年、僕がいちばんシビれた記事

ウェブメディアで働き始めて、「今日起きたことを、今日のうちに届けて読んでもらえる!」という喜びを感じました。キャリアの浅い僕でも、同じく取材に来ていた紙やテレビなどの他メディアを出しぬいて、速く、濃く、面白く伝えられる喜びです。ウェブメディアの変わらぬ良さであるし、これからも変わらないことでしょう。

一方で、速さを取るばかりに大味になったり、埋もれないようにキャッチを刺激的にしすぎたりするのも悩みどころです。「速いのはいい。ただし粗雑になってはいけない」と教わった僕にとって、あらゆるポイントを網羅した上で、ウェブならではの「速く、濃く、面白い」コンテンツだなぁと、今年いちばん感銘を受けた記事はこちらです。

サッカーライターの清水英斗さんが試合の2日後に発表したスポーツコラムです。クリックしたくなるタイトル、読ませる文体、鋭い論考と、すべてのバランスが整った良記事だと感じました。

僕はこの試合を観ていないのですが、読んでいるだけで選手たちの動きが頭に浮かんでくる。途中まで「本田のプレーの遅さと俊敏性の不足には、少なからず不満が残った。」と、おそらく試合の視聴者が感じたであろうモヤモヤをすくい取って共感させながら、終盤にかけて価値を巻き替えしていく様は爽快ですらあります。

書き手としても嫉妬する一本ですし、「物事を事実ベースで伝えるのではなく、切り口を持って表現すれば、速報から一歩遅れてもコンテンツは強くなる」という点でも、多くのウェブメディアやライターにとって参考になるのではないかなと思います。(もっとも、清水さんの記事は試合の2日後ですからじゅうぶん速いのですけれど。)

そして、この切り口こそが「メディアコンセプト」や「ライターの武器」とも言い換えられるのだろうと感じます。

携わって、いちばん印象に残っている記事

清水さんの記事からウェブらしい良さを感じる一方で、僕個人としては「時代を超越できる強さを持った記事」も作れないかという想いは常にあります。

むかし、とある人に「ウェブの記事なんかで人生は変えられない」と言われたことに、ずっと抵抗したい気持ちがあるんですね。その気持ちを込めつつ、全力で作った記事として、こちらを紹介します。

伸童舎株式会社に所属するデザイナーであるシイバミツヲ、シイバケンヂさんにインタビューした記事です。この記事が出るまで、お二人はGoogle検索してもたしか2ページほどしか情報がなく、それも断片的なクレジットがほとんど。だからこそ、できるだけより良い形で残したいと考えました。

話を聞けば出てくる、超人的スピードで多作を続けられるコツと、作り手としての突き抜けっぷり。たくさんの素材から、ライフハッカー[日本版]が持つコンセプト「読んだことが消費ではなく、投資になる」に当てはめつつ、狙っている20〜30代のビジネスパーソンに届けたい。「ライトノベルの装丁デザイナー」という読者から少し離れた存在を、コンセプトと構成で少しでも近づけて、面白くて役に立つものを作りたい……!

幸い、多くの方に読んでいただけ、直接会った何人にも「あの記事、良かった!」と言ってもらえました。編集長の米田智彦さんから褒めていただいたのも印象に残っているポイントです。

2015年は、僕を拾い、育ててくれた株式会社メディアジーン、そしてライフハッカー[日本版]から離れることを決意した節目の一年でした。得てきたものの総決算ともいえる記事をつくれて、僕自身もインタビュー記事にひとつの強みを見いだせたことでも、やっぱり印象に残っている一本です。(その節はみなさま、ありがとうございました!)

今年印象に残った記事を聞いてみたい3人

まずは、PR・Web編集者の塩谷舞さん。PARTNERに掲載の「もうバズらせることに疲れたよ」は実に痛快、そしてシビれた一本でした。

こういうことをちゃんと書ける(そして読ませる!)のは刺激されますし、めちゃくちゃ影響も受けています。インターネット大好きで、だからこそさまざまに戦っている塩谷さんは、どんな記事が印象に残っているのかをぜひ教えてもらえたら嬉しいです。

次に、現在はBuzzFeed Japanの嘉島唯さん。メディアや個人のnoteで見せる鋭い分析眼と論考はいつもうならされます。

メディアビジネスへの熱いハートもあり、お互いにメディアジーン時代に夜な夜なオフィスであーでもないこーでもないと話していたのもあって、勝手に戦友感を抱いています。日頃のどんな記事が多感な彼女に刺さっているのかを聞いてみたいところ。

最後に、「届いたらいいな!」という気持ちを込めて、デイリーポータルZ編集長の林雄司さん。説明は不要で「天才」のひと言に尽きると思うのですが、そもそも普段からウェブコンテンツの記事をお読みになるのか、そして林さんの記憶にどんなコンテンツが残っているのかを伺えたら万歳だなと。

お三方、突然のフリで申し訳ありません。もし興味があれば、ご自身のブログなどで執筆いただけたら嬉しいです(僕みたいな長文でなくても、もちろん構いません)。ぜひご検討くださいませ!

それから、この企画は自主的な参加も大歓迎です。ブロガーのみなさまであれば日々の記事更新のネタとして、編集者・ライターの方なら一年を振り返るきっかけとして、乗っかってくださったらと思います。

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