ブロガーやウェブメディア運営者ならAVメーカー「BALTAN」に魅力的なタイトルの付け方を学ぼう

Kento Hasegawa
MEDIA BREAD
Published in
6 min readJun 2, 2015

本気で一度、企画会議を取材したいと思っている。

このままだと誰も触れなそうだし、個人的に大好きなので書きますが、とあるAV(アダルトビデオ)メーカーがリリースしている作品たちのタイトルが素晴らしいのです。そのメーカーはBALTAN(バルタン)」

BALTANの何がすごいかというと、作品の内容を反映しているか否かのギリギリを攻める、でも決して的外れではなさそうな独特すぎるタイトルワークです。これが実にエモーショナルで、ウェブ記事のタイトルの付け方にも生かせそうなんです。

普通のAVのタイトルって、こんな感じ

・国民的アイドル 初顔射解禁! 逢坂はるな
・脱いだらスゴかったヲタク娘 E-BODY専属デビュー はるか奏
・CA痴女性交-爆乳の濃厚な接吻と猛烈に絡み合う肉体- 森咲みお

テキトーにDMM.R18のランキングから持ってきたんですが、AVってこんな感じですよね。どれも内容をよく表していると思いますし、安定感がある。ネット記事で言うなれば「XをYするためのN個の方法」とか「【ヤバイ】XがYすぎてNがとんでもないwwww」とかでしょうか。悪いと言いたいわけではなくて、これらは「すでに流通しやすく馴染みやすいもの」だということです。だからこそ競争相手が多くて、似たり寄ったりになりがち。タイトルからメーカー名を推測することは難しい。

さて、BALTANのタイトルは、こんな感じ

・センセイは少女漫画世界まんまの恋愛観
・「甘いモノには目がない」で築く人間関係
・神奈川から来ました
・「牛乳の話」はもういいです。

上から、女教師、OL、素人、ロリ系ジャンルの作品です。一発でBALTANだとわかる、ブランディングすら感じるタイトルたち。フツーなら「イケない新任教師の恥じらい個人レッスン」なんてつけたくなるところを、BALTANは一歩踏み込んで「彼女の世界観は少女漫画なのだ(だから激しいプレイもしちゃう)」と定義してみたのでしょう。

作品のバックグラウンドにある要素から想像をふくらませて、タイトルに「ストーリーのレイヤー」を追加しているとでもいいますか。これをウェブ記事に置き換えてみると、このストーリーのレイヤーがクリックを誘引できるキーポイントの1つだと思っています。

ビジュアルと合わさると、さらに効くタイトル

ストーリーをさらにふくらませる手段として、有効なのはビジュアルです(ウェブ記事ならサムネイル)。実際、BALTANの面白さはパッケージと合わせるとさらに引き立ちます。それが感じられるように、個人的に気に入っているやつをパッケージ写真と一緒に載せてみます。(画像はすべてBALTAN公式サイトより引用)

『制服はオーバー18歳の戦闘服』

『彼氏ヅラしだす時期だね』

『意識の高い学生って言うんだよね』

『下北で1000円で買ったメガネ』

『お金ない癖に私立行かせたらこうなる見本』

『名刺抜きの関係のほうが本当の自分を分かってもらえる気がする。』

いかん……なんぼでも貼れる!

さて、BALTANのすごいところは、タイトルだけでも目を引くのに、パッケージと合わせて見ると「なんか納得できちゃう」ことじゃないかと。つまり、ウェブ記事でいうところの「魅力的なサムネイル+“釣り”にはならない程度のユニークなタイトル」を体現しているわけです(ただし、BALTANはたまにやりすぎて内容と合ってないっぽいこともある)。

これまでの「魅力的なタイトル」にもう魅力がない

ブログやウェブメディアがたくさん増え、そしてRSSやニュースアプリで記事が単体で流通するような時代にあって、タイトルだけで事実を伝え、引きを作るのは至難の業になってきているのではと感じます。そこには別の決め手が必要なのではないか。たとえば、目立つための「見たこともないタイトル」、シンプルで平凡だけど「誰が言っているかの安定感」、写真と併せて初めてわかる「膝を打たせるもの」などです。

それぞれ1つずつ、私が働いているメディアジーンのメディアから「これは!」という例をあげてみると、以下のとおり。

・見たこともないタイトル
えーと、なんだっけ、ここまで出てきてるんだけどさ…あっ! : ギズモード・ジャパン
形がユニークな電動バイクの記事。Facebookポストは大喜利状態になって大コメント祭りに。

・誰が言っているかの安定感
私が20代で学んだ、人生で最も大切な10の教訓 : ライフハッカー[日本版]
“ライフハッカーなら言いそうだし、よく載ってるから見てみるか”で引いて、記事内容でシェアしてもらえている。

・膝を打たせるもの
ヘイブラザー、今日は何聴くんだい? | roomie(ルーミー)
サングラスをかけているブルドッグの形をしたBluetoothスピーカーを紹介する記事。見れば納得。

これらを意識的にできているかが、とても大事になってくると思います。面白い記事を書くのは当たり前ですから、あとはタイトルとサムネイルでどれだけ吸引力をもたせられるか。私も試行錯誤をしているところです。

AVメーカーだろうがなんだろうが、学べるものから学ぼうというスタンスでいきたいと思います。また何かあったら共有します。

(コンテンツは、ライター/編集者・長谷川賢人のブログ「wlifer」より再編集の上、転載したものです)

--

--

Kento Hasegawa
MEDIA BREAD

長谷川賢人/86世代の編集者・ライター/日本大学芸術学部文芸学科卒/フリーランス