PVを重視する広告代理店とのビジネスは中小ウェブメディアと相性が悪い?:WordCamp Tokyo 2016トークセッションより

Kento Hasegawa
MEDIA BREAD
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4 min readSep 17, 2016

2016年9月17日、ベルサール新宿グランデ 5F コンファレンスセンターで行われた「WordCamp Tokyo 2016」をのぞいてきました。

数あるセッションの中で、「WordPressで運営する大手メディア 座談会」と題された回では、サッカーキングの山本衆平さん、ログミーの川原崎晋裕さん、KAI-YOUの米村智水さん、美BEAUTEの北野優矢さんらが登壇。

聞き書きでメモしたところで、メディアビジネスに関する部分を一部まとめました。ログミーの川原崎さんの発言に「おおー」となる箇所が。

PVに頼らない稼ぎ方を、複数持てるか。

米村:ログミーさん(のビジネスモデル)めっちゃ気になりますね。いろんな媒体と提携とかしてるじゃないですか。

川原崎:いや、ログミーは記事広告ってことにはなりますよ。アウトプットが記事なので。イベントだと多くても100人や200人くらいしか接点がもてないものを1万人に接点持たせましょうと言って。イベントは打ち上げ花火だから。

米村:KAIーYOUも基本的に記事広告なのですが、物販も始めています。メディアの思想をプロダクトに落とし込んで自社ECで販売する。あとは大手のポータルメディアからの配信料。最近は記事本数と信頼度が上がっていて、入れるようになってきました。

山本:サッカーキングは、メディア単体だけの広告モデルだけで編集部員と営業を食わしていけないのじゃないか、メディアだけでやっていけるのか……と、サッカーキングショップというECサイトをもっています。あとは、フットサルコートの運営、サッカーキングアカデミーというスポーツ記者やカメラマンの養成講座。他のビジネスへの波及効果が大きいですね。

北野:美BEAUTEも物販を検討しましたが、そこよりもまずはコンテンツ提供が先にあり、現状ではやっていないのが正直なところ。(NTT)ドコモの中にショッピングサイトがあるので、そことの連携をやっていこうかと思っています。多くのメディアは「メディア内」で完結しますが、美BEAUTEはdメニューとしての全体的な視野に立った盛り上がりを意識しているので、美BEAUTE単体の売り上げより、そこを経由してドコモのサービスに触れてもらえばよいので。

── 課金型についてはどう考えていますか?

川原崎:やる。ビジネスモデルの話でいうと、「PVじゃない」といわれてもう8年経っているけれど、去年から今年にかけてはそれが大きい。カスみたいなPV集めても事業に寄与していない。編集メディアはコンテンツで課金しようとしているが、あれはすごく難しく、クックパッドは機能に課金している。ログミーはコアバリューが面白いコンテンツでなく、行かなくてもイベントの中身が見られるといった機能がコアバリューなので、課金しやすいかなと思っています。

米村:いやぁ、コンテンツ課金は自信ないっすよね……(笑)。 コンテンツの対価で求めるとしてはハードルもあるし、クローズドでやってしまうのはインターネット的ではないので、感覚的にはちょっとなぁ、と。「続きを読むには…」ってうまくいってるんですかね?

川原崎:ブランド持っているところだけでしょうね。日経新聞みたいな。電子版とかのインフラ整っていないかぎりはうまくいかないと思う。

──メディアビジネスの未来は?

川原崎:いかにPVにしないか。クライアントの担当者が目にしている、よく見ているのが大事。CMを打ってたくさん露出して「みんなに見られる」あるサービスがあっても、それをたまたまマーケティング担当者が知らなければ受注にはつながらない事例も出てきている。小さくてもいいからターゲットユーザーにしっかり見られていることが大事。ログミーは想定PVを教えていないし、全体PVも非公開です。広告代理店はPVを重視するので一緒にやることは少なく、PRとインバウンドがほとんど。(PVでない部分でのメリットを)こちらからお願いするのは難しいので、担当者側に理解してもらい、取り組めるか。

米村:ブランドを高めるっていうのは、そういうことなんだと思う。

川原崎:中小規模のメディアが上がっていくには、ブランドしかないでしょうね。

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Kento Hasegawa
MEDIA BREAD

長谷川賢人/86世代の編集者・ライター/日本大学芸術学部文芸学科卒/フリーランス