データジャーナリズム先進国
New York Times — TheUpshotの事例に学ぶ
最近データジャーナリズムという言葉をたまに耳にするようになった。Wikipediaによれば、データジャーナリズムの定義は次の通りだ:
データジャーナリズム(英: Data journalism)は、調査報道の手法の1つである。大規模なデータの集合体をフィルタリングし解析することで、新たな解釈を作り出すことを目的としており、データ駆動型ジャーナリズム(英:Data driven journalism)とも言われる。
要するに昨今のビッグデータブームの一環として、収集・分析が可能となったソーシャルデータ、政府系オープンデータをはじめとする各種大規模データから得られる知見を報道の分野にも活かそう、ということである。そして、報道という文脈において必要になるのは、データ解析だけに止まらず、それによって得られた解釈を人々にわかりやすい形でメディア上に具現化することだろう。その手段としてたいへん有用なものが文章に加えてチャートやインフォグラフィックスといった視覚的コンテンツである。
日本のメディアでもちらほらインフォグラフィックスを見かけるようになったが、やっぱり伝統権威メディアのNew York Timesは凄かった。というか一歩先を行っている印象だ。メディア環境が「紙からデジタルへ」と激変する中で強い危機感を抱いているだけに、先進的な取組みが多く見られる。
New York Times — TheUpshotは本家サイト内でデータジャーナリズムに立脚した記事を扱っている。
例えばこちらのHow the Recession Reshaped the Economy, in 255 Chartsという記事は、米国の景気後退期における各セクターの就業者数の変化をインタラクティブに可視化したものだ。なかなかよく出来ているように思う。
先日、総務省が次世代統計利用システムと称して国勢調査などの統計データが誰でもAPI経由で取得できるサービスを公開した。オープンデータの整備は着実に進んでいるので、それらをうまく分析・消化し、質とビジュアルデザインの双方に優れたコンテンツが増えるとニュースを読むのがいっそう楽しくなりそうだ。
参考)
先日リークされたNYTの社内レポートからもメディア企業としての自己変革への覚悟が表れている:
http://www.scribd.com/doc/224608514/The-Full-New-York-Times-Innovation-Report