

人生という名のストーリー
私がこの話をするのはあなたに同情や共感してほしいからではなく、人生をストーリーに変えることができるということをあなたに証明したいからだ(もしあなたがそういった人ならの話だけど)。この3年間で私の父方の家族にたくさんの不幸が訪れた。多くのフィリピン一族のように、私の家族も大家族で、もちろん血と愛で強く結びついていて、昔話や笑い声や食べ物を共有しあう仲だった。家族全員が、次々に起こった家族を失うという事態に真摯に向き合った…一人ひとりの死が今でも生々しく、深い傷だ。
私はそれが嫌だ。
私の幸運な時代の一部は私たちの家族がお互い今より近い場所で暮らしていたことに起因していた、そして人生はもっとシンプルだった(こういう風に書くのはためらいがあるけど、でもそうだった、シンプルだったのだ)。私たちは毎週末誰かの家に集まり、そしてまた次の週は別の家に集まっていた。大人たちがトランプや麻雀をしている一方で、私はいとこ達とバカみたいにかくれんぼや缶蹴りや中国式縄跳びやおはじきをして遊んでいた。
私はそれが大好きだった。
楽しかったあの時代は終わりを迎えた。あの日々を振り返って、あたりを見回して自分の居場所を知った時や自分の家に帰ってきたと感じた時の喜びが、最近の追卓式での悲しみと恐怖を和らげてくれる。住む世界がその人間のアイデンティティーを決定することがあるように、親類達と一緒にいると私は自分が何者であるのかを再確認する。そして私はまたこのストーリーを書きはじめた理由を思い出すのだ。
アルベール・カミュはフィクションを「真実を通して語られる嘘」と言い表している。先週私は後述の場面を(ドラフト版ではあるけど)思いついた、そしてこれはその定義を、私が今までに書いたものの中で一番明確に反映している話だ。
幼少時代の私はたくさんの親類達に囲まれて生活していた。どこへ行っても親類達がいた。彼らはある一点に関してが兄弟達を凌いでいた…絶対に怒らなかった。あるいは怒ってもすぐに怒りがおさまった。寛大で優しい親類達は素早くあなたの肩に腕を回すのだ…彼らは「ボール!ボールちょうだい!ボールちょうだいってば!!」という絶え間ないあなたの甲高い声にいつもうんざりして育ったあなたの兄、またはアイスクリームやNestle Crunchのキャンディーバーなどを欲しがるあなたにうんざりしていた姉からあなたを引き離してくれる、そんな存在だった。
年の近い私たちは群れをなして歩いていて、まるで好奇心旺盛な子犬のように、隠しておいたフォトアルバムや手紙、キラキラ光るボタンや、親類の一人ローラの持っている真珠の埋め込まれた象牙の櫛のコレクションなどを我先にと探し、最後には疲れ果てて寝ていた。そんな風にして私たちはある箱を見つけた。それは地下倉庫の奥深く、階段の下に詰め込まれていた。強引にドアを開けたとたん、カビ臭い匂いに頭が痛くなった…古の秘密と暗闇に置き去りにされた宝物の匂い。
ベベト (本当の名前はロベルト)は尻餅をついて、箱を覆っている古くて茶色に変色している粘着テープを剥がし始めた。いつものように、彼は目の前の物事に集中した。私が体を押し合って狭いからどいてと彼を怒鳴りつけても、こうなってしまった彼の耳には何も入らない。何かやるときはベベトがいつも最初だった。ほとんどの冒険で彼は先頭に立ち、グループの秩序を保ち、興奮して熱くなりすぎた私たちを鎮めて危険から身を守った。20年後彼は外科医になったが、私たちにとっては別に驚くことではなかった。
私たちのせいで埃が舞い、ベベトがテープを剥がし終わらせるまで私たちは豪快にくしゃみをし続けた。くしゃみを誰かがする度に私たちは「Bless you!」と言いあった。「あなたも、あなたもね!」マリテス(本当の名前はマリア テレサ)がくしゃみとおならを同時にした瞬間、小さな部屋の中で私たちはもうおかしすぎて笑いが止まらなくなった。ヒステリックなほどに笑っていたので、マリテスは私たち全員無神経すぎると大声で馬鹿にした。その時ローラが階段の下の私たちを呼んだ「どうしたの?下で何してるの?」
「なんでもないよ、ローラ」私たちは一斉に叫んだ。「大丈夫だよ。」
丁度そのときベベトがテープを剥がすのを終えて箱がパカッと開いた。
中には鳥たちが詰まっていた。鳥が並んで詰まっていた、12羽が並んでいて、その下にまた8羽が敷かれていた。勿論死んでいた、でも生きているようだった。少しの間私たちは静まり返り、箱を置いた後に一斉に呼吸をした。その青くて黒い羽はほのかに光っていて、魔法のようであり、悪意に満ちてもいた。
「あれ、私たちを見ているのかな?」
「わからない。」
「でも生きていないよね?」
「うん。」
「なんでこんなところに?」
「わからない。」
「僕たちの考えてることわかるのかな?」
「それはないんじゃない?」
「1羽持ってみてもいい?」
「だめだよ!」
「僕たちもいつか死ぬんでしょ?」
「そうだよ。」
「でも僕たちは死ぬまで一緒だよね?」
「うん。」
「この箱の中の鳥たちみたいに?」
「うん。」
この話の中での真実は2つだけ:
- 私には親類がたくさんいる
- 私のおじいちゃんの家のガレージには鳥の死骸が入った箱があった
他のことは全て嘘。でもこれは私と親類達が当時に感じた真実、そして悲しみのなか現在感じている真実を表現するための嘘。そうして人生はストーリーへと変わる。少なくとも私にとっては。
ベロニカ モンテスはフィリピン系アメリカ人の体験をもとにしたフィクションや、様々なことに対する不満を書く作家です。このストーリーが気に入った方は是非彼女をフォローしてみてください。