雑誌表紙の進化過程

この100年間でわたしたちがどのように変化してきたかを見てみましょう。

10 min readSep 6, 2015

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コスモポリタン

すごい迫力。

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コスモポリタンの表紙はコンサバな女性で始まりました。それからその女性は少しづつ肌を露出させるようになります。少しずつ少しずつ。そして最終的に女性はセクシーなポーズを取るようになりました。

この何十年もの間で女性の権利が認められるようになり、同時に女性は好きな服を着られるようになったということではないでしょうか。いや、もしかするとセクシーなほうが売れるってだけかもしれません。

セブンティーン

ビキニを着た十代のモデルはいません。まだまだ健全です。

セブンティーンのロゴに変化はありませんが、それ以外のデザインはほぼ全て変化しています。気持ちのいいくらいシンプルだった時期もありましたが、時と共にどんどんゴチャゴチャになっていきました。

雑誌の表紙の役割は、販売部数を伸ばすことです。売れるということは雑誌にあふれるの棚の中で、他よりも目立たなければいけないということです。そのため、表紙のデザインの主張は必然的に強く強くなっていきます。

この記事を書くためのリサーチ中、セブンティーンの表紙をしばらく眺めていると頭が痛くなってきました。グーグルの画像検索で「セブンティーン 表紙」と検索してみてください。その理由がわかります:

ほら、、目が。

ヴォーグ

わたしたちの新しいロールモデルです。

ああ、キム・カーダシアン一家。あなたが好きであろうと嫌悪してしようと、彼らは有名であることを利用してお金を得るのが信じられないほど上手ですよね。

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ヴォーグはこれまでとても素敵な表紙をいくつも産んできました。ほかの雑誌のように、年を追うにつれて表紙に書かれる文字の量は増えましたが、セブンティーンのようにゴチャゴチャはさせずに、うまいことデザインを上品に保ってきました。

もう少し科学的な見方に興味があれば、ロボットが読むヴォーグ(英語)を見てみてください。平均化されたヴォーグの表紙を集めたものです。(レディットユーザーのothfilmsより)

Robots Reading Vogue is a joint project by Lindsay King (Haas Arts Library) and Peter Leonard (Digital Humanities Lab)

タイム誌

タイム誌の表紙で歴史をさかのぼってみましょう:

Left to right: Charlie Chaplin, Franklin D. Roosevelt, Adolf Hitler, Grace Kelly, Martin Luther King, John Travolta, Michael Jackson, Ellen Degeneres, Barack Obama, Mark Zuckerberg

タイム誌は赤の枠線を使ってそのブランドをうまく確立しました。70年代と80年代のロゴ改変(すぐに間違いだったと気づいたようです)以外、デザインはほぼ一定に保たれています。

タイム誌は、ポップスターから大統領まで、そのときアメリカを象徴する人を表紙に起用してきました。これからの100年では、だれがその象徴になるのでしょうか?

ナショナル・ジオグラフィック

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驚くことに、ナショナル・ジオグラフィックの表紙は、長い間ほとんどのスペースを文字が埋めていました。ナショナル・ジオグラフィックは今日こそページいっぱいに配置された美しい写真で知られていますが、1960年代までこのデザインは採用されていませんでした。反対に、ヴォーグやコスモポリタンのような雑誌は1900年代には既にページいっぱいに配置されたイラストを配置していたことを考えると、それらが当時どれだけ先進的だったかが分かります。

タイム誌と同様に、ナショナル・ジオグラフィックも黄色い枠を用いて強いブランドを確立しています。

GQ

「ビキニの女の人を起用したほうが雑誌が売れるよ! 」

- GQのマーケティング戦略室

長い間、GQの表紙はほぼ変わらずにきました。スーツを着た白人男性です。彼らが1990年代に入ってからやっと女性を表紙に起用したほうが雑誌が売れるということに気づいたというのは驚きです。

GQは間違いなく淫らになりました。でもそれだけでなく、クリエイティブになったとも言えます。

悔しいけど、これはよくあるトップレス撮影とは違いますね。

実際にこのエイミー・シューマーとスター・ウォーズのキャラクターのセクシー写真はちょっとしたトラブルとなりました。ディズニーの許可は得ておらず(間違いなく承認されることはなかったでしょうが)、多くのスター・ウォーズのファンは侮辱されたと感じました。だたしエイミー・シューマーは楽しんだようで、またやりたいと言っています。

ニューヨーカー

信じがたいことに、ニューヨーカーは少しも変わっていません。

右の表紙は創刊90周年記念の表紙で、左の第一回目の表紙を素晴らしい形でリメイクしています。

十年ずつ表紙を比べてみましょう:

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適当にひとつ表紙を選んでみても、どの年代に作られたものかぱっと分からないのではないでしょうか。これだけ色々なものが変化した中で、ニューヨーカーだけはずっと変化していません。

ロゴは90年も変わっていませんし、手書きのイラストでずっと私たちを楽しませてくれています。また、他の雑誌のように「文字を入れなければいけない」というプレッシャーを感じていないようです。

多くの雑誌は時間をかけて色々なデザインで、なにが売れるのかを試してきました。そしてほとんどの雑誌 — コスモポリタン、セブンティーン、ヴォーグ、タイム誌、GQ — は同じようなデザインに落ち着いています。たいていは美人な女性の顔と体を強調した写真に、中身を読みたくなるような見出しをいくつも並べたデザインです。これが売れる雑誌のお決まりです。

資本主義の生存戦略です。

ニューヨーカーだけはそれに当てはまりません。みんなが右を向いているときに、左に向くのには強い意思が必要とされます。

ニューヨーカー、あなたはとても強いです。

ヴァニティ・フェア

100年の進歩はこのような感じです:

Vanity Fair was out of print from 1936–1983

ケイトリンが飾る表紙はそのテーマだけではなく、そのスタイルも特別です。ケイトリン・ジェナーの表紙を2015年に出版されたほかの刊と比較してみましょう:

他の表紙はスペースというスペースに文字が散らかっています。この表紙だけが違いますね。

「ケイトリンと呼んでください。」”Call Me Caitlyn”の3つの単語のみです。

この刊は彼女のことが全てで、他のストーリを売る必要はなかったのです。ヴァニティ・フェアは大当たりでした。

ケイトリン、素晴らしいよ!

このように、雑誌の表紙からも歴史を垣間見ることができます。確実に私たちは、より性を強調するようになりました。より外見を重視するようになりました。読む量は減りました。以前よりも注意力が落ちました。

同時に、以前よりも寛容になりました。一歩ずつ、社会的に容認されるラインを押し広げてきました。

そんなに遠くない 過去、黒人には選挙権がありませんでした。今日でも変わらず厳しい差別を受けることもありますが、雑誌の表紙で象徴的に扱われるようにもなりました。何年もかけて女性は権利を獲得し、自身の性をコントロールして使うようになりました。そして、今年のヴァニティ・フェアを代表する表紙は、それまで「男性」として生きてきた人が飾っています。

この100年で、わたしたちは大きな進歩を遂げたといえるでしょう。

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製作

カレン X チュン

カレンはスタートアップのためにバイラルムービーやプロモ動画を制作しています。フォローはこちら:MediumFacebookInstagram

ジェリー・ギャブラ

ジェリーはサンフランシスコのプロダクトデザインのコンサルタントです。ポートフォリオはこちら

メディアの皆さんへ

この記事の写真や言葉は自由に引用していただいて構いません。ただし、引用元としてカレンXチュンジェリー・ギャブラへのリンクを載せてください。雑誌の表紙はそれぞれの出版元が著作権を保有しています。比較画像はカレンXチュンとジェリー・ギャブラの2人によって作成されました。なにか不明点があれば、karenxcheng (at) gmail (dot) comへメールをください。(英語のみ)

お礼

リサーチを手伝ってくれたOrion Hombrebuenoに感謝します。この記事の草稿に助言をくれたAdam Lee, Oliver Emberton, Ketan Anjaria, Sam Brewczynski, Lynn Tao, Brooks HassigRachman Blakeに感謝します。

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Erika Ito

Product Designer at VMware Tanzu Labs (former Pivotal Labs) in Tokyo. Ex Medium Japan translator. | デザインに関すること、祖父の戦争体験記、個人的なことなど幅広く書いています😊