ビジネス英語はフレームワークで効率的に学べる!〜「木曜日のミレニアルズ」講演レポ

Tomoya Yoshida
MILLENNIALSTIMES
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8 min readApr 6, 2018

2018年3月8日(木)、隔週で McCANN MILLENNIALS が実施しているイベント「木曜日のミレニアルズ」にて、マッキャンジャパン プランニング本部長の松浦良高さんによる、英語学習とそのキャリアを考える講演会が開催されました。

マッキャンは世界第3位のIPGグループに属する、広告代理店です。海外のクライアントとの打ち合わせや広告賞の審査などで英語を使う機会の多い、マッキャンの戦略広告プランナーのトップは、いかに英語を身につけていったのでしょうか。その秘密を伺いましたので、ダイジェストでお送りします。

この外資系企業の中堅を担うミレニアル世代にとって、自分自身の死活問題である“英語”というテーマは非常に注目を集め、社内外から約50名が集まりました。

非ネイティブは、Confident Speakerになるべし。

松浦さんは大学院で米国に留学していたとはいえ、ビジネス英語に関しては新卒で入社した博報堂入社後にも苦労していたと言います。特にネイティブと会話をする際にはなおさら。

しかし、「ネイティブ・スピーカーではない英語話者と会話をする際には双方があまり上手ではない英語を話しても案外通じることはありませんか?」といわれて、共感している人は多かった様子。

その解決策とは、ずばり「伝えたいことを明確化し、堂々と伝えようとすること。世界の標準的な英語は、BAD ENGLISHなのだから。」と松浦さんは主張します。

ビジネス英語を上達させたいなら、ネイティブスピーカーになろうとするのではなく、Confident Speaker(英語話者として自信を持つ)になることが大事なのです。

Confident Speakerとは

では、Confident Speakerとはどのようなことなのでしょうか。ビジネス英語のレベルを次の9段階に分けて説明しました。

どのレベルを目指すかによりますが、すべてのビジネス英語で共通していえることがあると松浦さんは考えています。

それは、「一番言いたいことを伝える」つまりMAJOR MEANINGを伝えられることが最重要だ、と言うことです。

当たり前のようなことですが、「伝え方がレベルごとに違うだけだ」ということだ、と割り切ることが大事なのでしょう。

マーケティングフレームでビジネス英語をおさえる

マーケティングのフレームワークとして、3Cや4Pは有名です。英語でものごとを説明しようとした時、ひとことで答えてしまって、なかなか説明する言葉が出てこない、といった体験はないでしょうか。

英語でリッチに説明しようとしたとき、このような3Cや4Pのフレームワークを意識しながら、トーキングポイントを組み立てる、という手法です。

松浦さんのこのマーケッターならでは視点は、英語学習者にとってユニークな切り口ではないかと思います。

例えば、「清涼飲料水のお茶について説明して」といきなり言われたときでも、以下のような視点で、3Cのフレームワークで順に、Customer(顧客視点)、Competitor(競合分析)、Company(自社分析)のように説明すれば、慌てふためくことなく説明できます。

Competitor(競合分析)については、以下のように考えます(以下のスライドは英語講座で実際に使われているものである関係上、ひとつだけ紹介します)。

フレームワークを借りれば、落ち着いて自信あるスピーチができる

自由英作文や小論文、レポートなどで、思いつくままに説明を組み立てて、大失敗した、という経験はありませんか。フレームワークの力を借りれば、相当にロジカルな印象をもってプレゼンテーションできるのです。

一方で、英語に限りませんが、ロジカルな説明をすることばかりを意識しすぎると、ごく当たり前のつまらないとも思われてしまう可能性がありますが、ごく簡単でもフレームワークの順に追って説明することで、様々な角度から落ち着いて自信のある論を展開できるようになるよ、ということでしょう。

本書ではマーケッターに必須の基本フレーズが盛りだくさん

ミレニアル世代の方へのメッセージ〜外資系におけるキャリアについて

松浦さんは最後に、ミレニアル世代を中心とした参加者に対してキャリアについてメッセージを行いました。

1、ひとつひとつクリアしていく

仕事は誰か、「人」からお願いされるものだから、その人から頼まれた一つ一つの機会で好評を得ていくことが大切です。
今の時代は、「レファレンス社会」なので、一つ一つの評価が自分の社会的な評価として蓄積していくものです。

2、好きなことをやればいい

今の時代は転職が当たり前。昔に比べたら労働市場も流動性が高まってきているので、好きなことをどんどんやっていけばいいと思います。
ただ、そのことと、目の前の仕事をしっかりやらないのは別物です。

3、自分のWHYを考える

好きなことを考えるのにも、自分が一体何が好きで、何をしていると楽しくて、何が得意で、どんなゴールイメージを持っていて、世の中にどのように貢献したいのかを徹底的に考えると良いと思います。
自分を突き動かす自分のWHY(なんのために働いているのか)を見出して、その個人ミッションが明文化できている人はぶれないし、強いのです。

4、全然違うことをやってみても、いい

転職が当たり前の時代だからこそ、自分のキャリアに独自性を出すと良いと思います。キャリアの幅を出すには、違うキャリアの組み合わせが効果的ではないでしょうか。
「5年間マーケティングをやってきて、その後5年間は会計士をやっています」というと、興味を持たれるようになっていると、私は感じています。

5、人口減でも競争は激化

若者は少なくなっていくとはいえ、さらに若い世代も成長しているのと、AI技術の普及、さらには、アジア各国の同世代との激しい競争の時代になることが予想されます。
自分のスキルを高めることに貪欲に生きることをおすすめします。

6、実力を高めて、雲の上に出る

うわべのスタイルに目を奪われずに、本質を大事にしてください。
ワークライフバランスとか「働き方」はもちろん大事ですが、自分の「実力」を高めることも大事です。
新人だったら、入社3年以内に雲の上に出て、「あいついいよね」という定評をつくってください。
一回雲の上に出たら、ずっと雲の上の存在になるのです。

このように、ご自身のキャリアを振り返って、50%はキャリアアップを図って手に入れてきたもの、あとの50%は偶然性によっていまのポジションにたどり着いた、と語っていたことが印象的でした。

英語中上級〜マーケッターへのアドバイス満載の本が出版

ビジネス英語をどのように身につけたらいいのかと悩んでいる方、マーケッターとして身につける英語とは何かを概観したい方、英語は中級だけどなかなか上達しないなあと思っている方など、松浦さんの今回の講演内容は本書をベースとしていますので、「マーケティング英語の教科書」(宣伝会議 2018/3発売)をぜひ手にとっていただけたらと思います。

講師紹介

松浦良高
マッキャンエリクソンジャパン プランニング本部 本部長 エグゼクティブプランニングディレクター

【経歴】
2014年から現職。博報堂、上海博報堂、TBWA博報堂を通じて、ストラテジックプランニングを経験し、博報堂時代には、研究開発局、生活総合研究所にも複属。ジョージ・ワシントン大学院国際関係学部修士。
これまでに、100ブランド以上のブランディング業務に携わる。カンヌ国際広告祭など海外の広告祭にも多数参加し、海外の最新広告手法や国際広告賞に詳しい。2016~2018年APAC EFFIE審査員。
著書訳書に、「マーケティング英語の教科書」(宣伝会議)、「ファシリテーター完全教本」(日経)など。

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Tomoya Yoshida
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Editor, MRM//McCAANN, デジタルマーケティングに関する取材、編集、PRを主な業務としています。宇宙開発、霞ヶ関の役所を経て書籍編集者、今に至っており、サイエンスとテクノロジーからデザインとスタートアップに興味がうつっています。