効率的で現実的で情熱的?ミレニアルズの恋愛とマッチングサービス

Kishu Irie
MILLENNIALSTIMES
Published in
11 min readDec 20, 2017

「合コンって大変じゃないですか、2時間は拘束されるし、どんな相手が来るのか分からない上に、男性側は料金も多めに出してあげないといけない。」

「料金面からみても、時間面からみても、忙しい現代人には合っていると思います。」

2017年3月、2人のミレニアル世代の男性に「マッチングアプリってどう思う?」というようなインタビューをした。上記は、インタビュー中の2人の言葉だ。

確かに私含めミレニアル世代にとって、『効率』というワードは非常に大切だし、マッチングサービスの広がりもあいまって恋愛も効率的になってきていると思う。

合コンなら出会えるのはせいぜい2時間で3~4人。マッチングアプリだったら、好きな場所で好きなときに、10人に出会うのに1分とかからない。

しかしながら、次々出てくる異性の写真や、それをスワイプして好みかどうか選定することに、どこかで飽き飽きしてはないだろうか。

どこかで自分の胸に火がつくような、眠れない夜をすごすような、試着室で思い出すような、そんな恋をしたいと願うミレニアルズもいるのではないだろうか。

『方法』は効率化しても、『恋愛』そのものは、効率化したくない。ミレニアルズのホンネってそうじゃないのか。

今回は、ミレニアルズの恋愛のホンネを探るべく、

“女性ファースト”視点でマッチング業界に一石を投じた『Torte』を運営する、(株)トルテ代表取締役の飯島氏と、250万人の会員数を誇る『タップル誕生』のプロデューサーをつとめる、(株)マッチングエージェントの永友氏に話を聞いた。

(株)トルテ代表取締役の飯島氏(左)と、(株)マッチングエージェントの永友氏(右)

恋愛したいのは上の世代と同じ。だったら手段は何でもアリでしょ?というのがミレニアルズ

―『タップル誕生』のユーザーは10代後半~20代前半の若い世代が多いようですが、どうしてだと思いますか?

永友さん「20代前後の人って、SNSでつながることが当たり前の時代に生まれているので、ネットに対して悪いイメージがそもそも無いのかなと思います。

例えばコンサートに行って、好きなアーティストのグッズを交換したいから、Twitterでその場で人を探すとか。私の周りでも、Twitterで付き合う人もいます。

ただ上の世代の方は、『ネットでの出会い』と聞くと援助交際なども連想されて、ネガティブなイメージを持ちやすいのかもしれません。かつ小さい頃からネットで繋がるのが当たり前だったわけでもないので、抵抗があるというか、20代とのギャップがあるのかなと思います。」

株式会社マッチングエージェント調べ

―『タップル誕生』をユーザーがどのように使っているかによって、ユーザーの恋愛観も見えてくるのではと思うのですが、いかがでしょうか。

永友さん「この前、20代の女性のユーザーさんにお会いしたのですが、すごく可愛らしくて家庭的な方なのに、一度も彼氏がいたことがないらしくて。女子高出身で保育士さんとして働いているから出会いもなく、『タップル誕生』を始めたらしいんですね。

丁度お会いしたその日の夜が、『タップル誕生』で出会った人とのデートの日だったそうで、『東京タワー行って、周りを歩いて…とか、初めて男性と一緒に歩くんです…』なんて、すごく楽しそうに話してくれたんです。

それがやっぱり私たちの醍醐味ですね。

『タップル誕生』のユーザーさんは『早く結婚したい!』という強い思いがある方って意外と少なくて、ただ恋人が欲しいとか、一緒にデートしたいとか、一緒に観覧車に乗りたいとか、純粋に恋愛をしたくて憧れている人が多いですね。」

―お手軽な出会いのために、というよりも、相手との恋愛を期待しているユーザーさんが多いんですね。『Torte』は女性ファーストのマッチングサービスという特徴をもっていますが、ユーザーさんにも特徴はありますか。

飯島さん「『Torte』の特徴で言うと、女性がとにかくアクティブ。マッチング後に、女性からしかメッセージを送れないようになっているので、他のサービスと比べて結構まどろっこしいとは思います (笑) 。 でも、ほとんどの女性がマッチング後にメッセージをしています。

他のサービスでは、女性がメッセージを送る率はそこまで高くないですが、『Torte』を選んで使っている女性だからこそかも、と思うことはあります。

もしかしたら、マッチングサービスによって、どんな人が集まる、のように一種のコミュニティとして最適化・細分化していくかもしれませんね。」

―ミレニアルズにとって幸せな恋愛って何だと思いますか。マッチングサービスでの出会いは、それに繋がるでしょうか。

飯島さん「結局幸せかどうかは、自分がどんな人と合うか?が重要なので、マッチングアプリは、ベストな相手を見つけるための一つの手段だと思っています。たまたまTwitter、たまたまマッチングアプリだった、というだけで、じゃあ出会いの質が違うのかというと、良い意味で同じだと思います。

ただマッチングサービスは出会うために作っているサービスなので、手段として確度は高いかもしれませんね。Twitterだと、その人のことをいいと思っても、お互い恋愛対象になるかどうかは別の話ですよね。

マッチングサービスは、恋愛対象として見る前提でマッチングしているので、ステップアップは早いかもしれません。

合コンですら、分からないですもんね。脈があるかどうかって。」

『出会い』はこれから、マッチングサービスから、逆にリアルに拡張していくかもしれない

―ずばり、マッチングサービスの必勝パターンってありますか。相手と付き合うための。

飯島さん「ファーストステップは取っ掛かりをつくること。セカンドステップはウソをつかないことですね。

最初はどうメッセージを送ればいいのか分からないので、プロフィールに少し変わった写真を入れてあげるとか、初めの取っ掛かりを作ってあげることが大切だと思います。

あとはウソをつかないこと。これは関係を深めるときに下手に自分を大きく見せないようにする、等身大の自分を見せるということです。それもリアルな恋愛と変わらないかなと思いますね。」

永友さん「取っ掛かりでいうと、マッチングサービス各社、マッチングしやすい工夫をしていますけど、その後のメッセージが続くかという部分はこれからの課題ですね。

海外のマッチングサービスでは、動画を取り入れるなどしていますけど、個人的にはそれも限界があるなと思っていて…。例えば、会ったときにもっと趣味が深掘れるようなデートチケットをこちらで用意してあげて、マッチングした2人の仲が深まるようにしたり、イベントを用意してそこで出会った2人の距離がぐっと近づくとか…。マッチングサービスだけで完結するのではなく、新しい出会いの形を作りたいと思っています。

実際イベントもやっていますが、10組中7組がカップル成立するなど、確率が高いです。」

飯島さん「『Torte』では女性ユーザーがマッチングした男性ユーザーの感想をクチコミする機能があるのですが、アプリのなかだけでなく、女性ユーザー同士が励ましあえるような場を作っていきたいですね。

普段女性って、恋愛について『この人どう思う?』とか友達に相談したりすると思いますが、マッチングアプリだと共通の友人が中々いないので、口クチコミ機能を付けたんです。

実際にTwitterでも『@婚活』をつけた婚活アカウントが流行っていますが、それを見ていると、自分がしてきた恋愛だったり、どんな人が合うとかだったり、ログみたいなものが吐き出されているんですね。頑張りましょうね、と同じ女性同士で励ましあっていることもあって。

主体的に恋愛を頑張りたいという女性が、支えあったり元気をもらえたりする仲間がいる、『Torte』はそんな場を作りたいです。」

『出会い』の手段は確実に効率化していく。ただ、『恋愛』そのものは変わらない。

―マッチングサービスを、これからどう変えていきたいと思いますか。

飯島さん「男女問わず、インスタグラムやフェイスブックを日常的に見ているので、プロフィール写真に写りこんだちょっとしたモノや部分で、その人がどういう人か直感的に判断できるようになっていくのではと思います。

フォトジェニックが流行ってますよね。本当はリッチじゃなくても、リッチな生活をしている風に撮ったりとか。撮る側のテクニックも上がってきているけど、それに伴って見る側の目も肥えてきていますよね。」

―なるほど、直感によって効率よく相手を選定できるようになるかもしれないですね。

永友さん「今よりも、マッチングして会うこと自体は気軽になっていくと思いますが、さくっと身体の関係だけで良いっていう人って本当一部だけだとも思うんです。リアルな恋愛の追求、人の温かさや人間味のようなところは大切にしていきたいですね。

例えば、ステータスもなくて、顔もタイプじゃないし、優しくないし、背も低いし、理想とは何か違うんだけど、好き!みたいな。本来、恋愛ってそういうものだと思うんです。

テクノロジーが人間の機能を置換していくだろうし、技術は日々進化しているけど、AIや機械でよりいい人とマッチングするような世界ではなくて、人間らしい恋愛に立ち戻りたいと考えています。」

お見合いが合コンになり、合コンが街コンになり…と効率化を繰り返してきた『出会い』の手段。そして今、ミレニアルズの『出会い』の手段として確立され始めたマッチングサービス。

簡単に出会える、という点から健全でないイメージを抱く人もいるかもしれない。もちろん、一夜限りの関係を求める人も中にはいるだろう。しかしそれはマッチングサービスに限った話ではない。出会いの場にはいつだってそういう人がいるものだ。

今見るべきは、マッチングサービスを利用しているミレニアルズが大勢いるということだ。

簡単に出会えるから、使われている。それは本当だと思う。でも求めているのは、手っ取り早く出会える相手ではない。一緒にいるだけで幸せと思える、そんなたった一人の相手だ。

表には出さずとも、どこかにそんな人がいるかもしれないと、淡い期待を抱いてスワイプを続けるミレニアルズは、案外ロマンチストかもしれない。

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Torte(トルテ)

“女性からはじまる”がコンセプトのマッチングアプリ。恋人探しに向けて踏み出すための一つの手段として、まだマッチングアプリを利用したことのない女性でも安心してサービスを利用できるよう、コミュニケーションは全て女性からのメッセージで恋がはじまる仕組みになっているのが特徴。また、女性から安心して男性に対して一歩踏みだせるよう、「どんな男性か?」を他の女性視点でのぞける“クチコミ” や、相手の人柄が分かるアルバム機能も特徴的。

タップル誕生

“趣味でつながる”がコンセプトのカジュアルなマッチングサービス。 映画・音楽・お料理など、自分の好きなことから、新しい出会いを探すことができる。 「いいかも」「イマイチ」の二択で直感的に異性を選択出来る気軽さも人気。 20代前半中心に約250万人の方が利用し、累計マッチング数は約5,500万組を突破。国内最大規模の恋活サービス。

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Kishu Irie
MILLENNIALSTIMES

1992年生まれ。営業でもあり、ライターでもあり、広報担当でもあり、色々やります。女子大在学中には126回の合コンを経験。祖父の介護をきっかけにジェロントロジー(加齢学)を学び「高齢社会エキスパート」の認定取得。