暗号通貨市場のHerfindahl-Hirschman指数(Dec/24/2017版)

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minecc, the cryptomarkets
5 min readDec 25, 2017

市場の動きが激しすぎて分析が面倒な今日この頃、みなさん生き残ってますか?私はNiceHashが蘇ったので一安心しています。ただ、返済されるとは言っても「2018年内」とは限らないのでまだ油断できません。

先日の記事から1週間で興味深い動きがありました。そろそろ読者諸氏も見慣れてきたHerfindahl-Hirschman指数(HHI)を軸に市場を眺めてみましょう。繰り返しますが、HHIは市場の「寡占度」を測る指数です。「各企業の市場占有率の2乗を加算して算出する(by 野村證券)」ものです。データセットは12/24日本時間夜時点。

上図は2017年の動きをグラフ化したものです。12/17以降に生じた顕著な動きといえば、まずは時価総額和の急落が一つでしょう。11/20頃から急増を見せた第2次オルトバブルも一旦調整といった感じですね。5月の第1次オルトバブルも1ヶ月くらいで調整がかかり、その後回復していますが、今回は年末年始休暇に加えて税金確保の動きもあるので戻りは鈍いかも知れません。

私が注目している今週の動きは時価総額和の下げではありません。17日以降に生じたHHIの急落です。11月以降部分を拡大したグラフで細かく状況を振り返りましょう。

時価総額和が急増し始めた頃、HHIはしばらく底となっていた3200ライン上をウロウロしていました。12/6まで時価総額和が急増しても上がることはなく、均等に資金が注入され続けていたようです。状況が動き始めたのは12/7。突如HHIが上がりました。BTCUSDの値動き(下図)を見ると、12/6からBTCUSDが急騰を始めています。この結果、BTCに資金が集まり、HHIが上昇したものと考えられます。その後、BTCUSDは12/17まで上昇を続けますが、HHIは13日頃には3200ライン近くまで戻しています。おそらく、一旦の大きな調整を受けてBTCからオルトに資金が動いたのでしょう。その後17日まではBTCUSDの上昇を横目にHHIは3200をヨコヨコしていました。

そして12/18、BTCの天井感に市場が不安を感じていた頃、HHIは下を目指し始めます。19日には「遂にバブル崩壊か!」というチューリップ大好き勢が喜びそうな下落を始め、よく訓練されたTwitterの民もザワつきましたね。しかし、BTCの動きだけで「暗号通貨はおしまいや!」という時代ではなくなってきているのです。BTCが大きく下落してもオルトは元気一杯であることを多くのマスコミは見逃しています

時価総額とその順位でプロットしたグラフから市場の様子を具体的にみてみましょう。Rank、すなわち順位は当該日時点の値です。

青線が第2次オルトブーム前の11/16のカーブ。オレンジの12/9時点には全体的に大きく上げていますね。しかもカーブの傾きがかなりフラット化してきています。つまり低時価総額通貨勢が頑張っているということです。

12/9はHHIが約4000となっている時期で、確かにRank1のBTCは時価総額がグイっと高くなっています。17日(緑線)にHHIは約3200に戻っていますが、これは先述の通り、単にBTCが下げたわけではなく、オルト全体の時価総額が大きく引き上げられたことが原因であった事も分かります。おそらく古参勢がBTCマネーをオルトに振り分けていったのでしょう。Coindays destroyedも高い時期が続いていましたしね。

そしてその後24日(赤線)までの1週間、時価総額和は急落を見せます。ここで市場全体が下げた、もうアカン、と思ったそこの貴方、分析不足です。緑線と赤線を見比べて下さい。大きく下げたのはトップ(BTC)と時価総額$1000万以下程度の通貨であって、上位あるいは中堅オルトはほとんど下げていません。むしろ増えているものも多く、これがHHIの急低下が示している状況なのです。HHIの2000という過去最低値は、過去最大級のオルト分散の結果なのです。

結言

今回の大きなBTC下げに不安を感じていらっしゃる新規参入者の方も多いでしょう。残念ながら大きな損失を出された方も少なくないと思います。しかし、今回のBTC&HHI下げは市場構造の大きな転換だと見ています。暗号通貨市場が力を失いはじめている、バブルの崩壊だと判断するのは時期尚早。BTCで脚光を浴びた暗号通貨市場、オルトの隆盛はまだこれからなのではないでしょうか?

2018年も良い年になると良いですね。ではHappy Holidays!

LTC:LUEW2E6BFeyC8tmHznC93Jek4RihCfmBgm

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