暗号通貨市場のHerfindahl-Hirschman指数(Jan/7/2018版)

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minecc, the cryptomarkets
5 min readJan 8, 2018

何だか動きの荒い日々が続きますね。動きすぎ&草が人気すぎてもう追えません。ちなみにこれまで違和感を抱かれていた方もいらっしゃると思いますが、タイトルの日付が前日になっているのはデータセットが前日のものだからです。

今回は時価総額分布からさらっていきましょう。過去記事はこちら。(酒を飲みながら書いているので、誤りがあれば後日訂正します)

図1:11/16/2017および1/8/2018間の暗号通貨時価総額分布(当時$10K以上)

前回1/2時点のカーブ(緑線)と1/7時点のカーブ(黒線)を比べてみると、時価総額100万ドルを切ると時価総額が急減するようになりましたね。100万ドル以上の通貨は上げているので、100万ドルは資金の入りやすさを決める(心理的?)閾値の一つなのかも知れません。100万ドル以上のランクではコンスタントに時価総額を増やしており、メジャーから草まで活況であることがうかがえます。

図2:暗号通貨市場全体の時価総額(上段)、HHI(中段)、HHIの逆数(下段)

次に図2上段の時価総額和を見てみましょう。12月下旬に一旦下げていましたが、1月に入り数字を戻してきました。戻した後の動きを見ていて興味深い点に気付きました。この1年間、一見乱雑に推移しているように見える時価総額和が、実は一定のトレンドに従って推移しています。黒破線はAexp(Bt)の関数で与えられているトレンドラインなのですが、定数Bを一定とし、定数Aのみを変えることで緑のトレンドラインが得られます。通貨の市場供給量増加関数が指数関数で表現できるとは考えにくい為、この増加トレンドは暗号通貨市場への資金流入トレンドを読み解く鍵であると思います。詳しいことはより多くのデータから多角的に判断しなければいけませんが、この「傾斜」から大きく外れて動くときが大きな資金流入・流出のタイミングなのだと思います。

HHIは1700辺りでウロウロしています。HHIの逆数をとり10000倍すると約5.9になります(10000倍するのはHHIがパーセンテージで計算されているため)。つまり、現在の暗号通貨市場は対称な6社が市場を独占している状況に等しく、寡占化の解消が進み続けています。これは図1に示した時価総額分布の結果を見れば明らかですけどね。

図3 1/7/18ならびに12/9/17時点のUSD価格と市場流通量(~現発行量)の関係

今回は趣向を変えて流通量と価格の関係も見てみましょう(両対数である点に注意)。流通量というのは市場に供給されている量(circulating supply)で、およそ発行量と見做せるものです。一瞥すると単価$10以下の通貨が全体的に持ち上がっていますね。安価な通貨が買われていることがうかがえます。あまり供給量を意識していなかった方は、なぜ価格が極端に異なるのか、図3を見て頂ければその理由の一つがご理解頂けると思います。

図4 1/7/18時点のUSD価格と市場流通量(~現発行量)の関係(時価総額上位100銘柄)

最後に1/7時点の時価総額上位100銘柄のみ抽出してみましょう。トレンドが幾らかわかりやすくなったと思います。BTC、BCH、ETH、XRPは頭一つ群から抜けていますね。供給量によって「底値」のようなものが定められそうでなかなか興味深いですが、その辺は各自の想像に任せます。

結言

時価総額100万ドル以下の通貨は弱さを見せてきているものの、市場の時価総額和は再び増加し、増加トレンドの「レンジ」上限をなぞるように動いています。HHIは低下傾向を維持し、オルトへの分散化は衰えていません。

市場全体のトレンドもまだまだ上向きであり、Twitterを見ている限り、「草」と呼ばれる低位通貨の勢いも衰えないでしょう。しかし、大きな利益を狙えるということは大きな損失を被る可能性もあるということです。ノーリスクハイリターンはあり得ないので、ご注意下さい。

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