エンジニアからマネージャーになって変わったこと・変わらないこと

こんにちは、初めまして。CREグループの豊川といいます。

エンジニアリングマネージャーのエントリってまだまだ少ない気がするので、もっと増えるといいなと思いつつ、今日はエンジニアからマネージャーになると何が変わって、何が変わらないかについて書いてみたいと思います。

マネージャーと書いてしまっていますが、ここでのマネージャーとは役職としてのそれではなく、積極的にマネジメントに関わる人だと思ってください。

少なくとも私は、実際に自分がそうなってみるまではよくわからなかったので、将来マネジメントの道を考えているエンジニアにとって少しでも参考になればいいなと思っています。

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良いマネジメントってなんだろう?

マネージャーと言うと「マネジメントをするんでしょ」というのはなんとなくわかります。

人によっては「マネジメント」という言い方に「ちょっと仰々しいなぁ」といった軽い抵抗を感じるでしょうが(私がそうです)、他に代替となる言葉もないので「マネジメント」と言いたいと思います。

で、なぜマネジメントという言葉に仰々しさを感じるかというと、世間一般の「マネジメント」が使われる文脈においては「上から下へ向かって行うもの」という暗黙の了解を感じ取れてしまうことが多いからなんですね。

これはマネジメントの歴史を見るとおそらく正しくて、昔は「上から下へ向かって行う」上意下達型のマネジメントが「良いマネジメント」とされていたそうです。

上意下達型のマネジメントは多様性が尊重される今の時代には合わなくなってきていて、その歪みがしばしば社会問題となっているように感じます。

そういった背景があり、今の時代にあった「良いマネジメント」が模索されています。私はというと、早く自分なりのマネジメントスタイルを見つけなくてはという焦りを感じていて、ようやく「良いマネジメント」の構成要素が少し見えてきたところです。

それを説明する前に少しだけ、多様性の尊重という意味も込めて、私がこれまでどういうスタンスで生きてきたかお話しさせてください。

好きなこと以外やりたくなかった

学生時代に打ち込んだものといえばキーボード…ではなく、1番はオンラインゲームで2番はプログラミングでした(キーボードで正しい?)。

学業には本当に身が入らなくて、どのくらい身が入らなかったかというと、大学3年生のとき(高専なので正確には違いますが)必修科目を落としてしまい、4年生でも落としてしまうと卒業できないので真面目に勉強するかと思いきや、合格点ギリギリで卒業するといったほどでした。

一方で、好きだったオンラインゲームとプログラミングには寝るのを忘れて取り組みました。当時、国内ではまだプロゲーマーという言葉は一般的ではなく、とりわけ上手くもなかったということで、ゲームではなくプログラミングを仕事にしたいと思うようになりました。

人生の多くの時間を費やすのに、好きじゃないことを仕事にするなんて考えられなかったんですね。

そうして低空飛行の学生時代が終わり、ごくごく小さなスタートアップでエンジニアとしてのキャリアがスタートします。好きなことを仕事にできて幸せな社会人生活になると思っていましたが、考えが甘いとはこのことです。

もう少し続きます。

夜中3時に鳴る電話

社会人になって最初の大きな案件は、客先に常駐して開発するというものでした。SESという言葉は最近知ったのですが、システムを完成させて納品するのが目的だったという点でそれとは異なります。

開発が順調にいけばよかったのですが、納期が近づくにつれ次第に眠れない時間が増えていきました。好きなことを仕事にしたはずなのに、いつしか頬はこけ白髪が増えていました。

この頃になってようやく、好きなことだからといって寝ずにやるというような、無理のある取り組み方は長続きしないということに気付いたのでした。

人生はときどきマラソンに例えられますが、遠くへ行きたいと思ったとき、大事なのは瞬間的な速さではなく走り続けることなんですね。

ここまで得た経験則をまとめましょう。

  • 仕事には人生の多くの時間を費やすので好きなことをすべき
  • 好きなことを無理なく続けることが大事

マネジメントは親心に似ている

それからミクシィへ移ってマネジメントに関わるようになった今、身をもって得た経験則は私のマネジメントスタイルに根ざしています。

マネジメントは、評価や育成など、要素としてはいろいろあれど、その目的は仕事に「健康で」「楽しく」取り組んでもらうためのものだと思っていて、忙しすぎないかと気を揉んだり、行く末を案じたりする様はさながら子の成長を願う親心です。

親の気持ちになれば「こうした方が良いのになかなか上手く伝わらないな」というよくある場面でも、「自分もそうだったな」と思い返したり、「伝え方を変えてみよう」と思い直したり、「もう少し見守ろう」と考えることができます。

みんなに「楽しく」仕事に取り組んでもらうための工夫も大事です。私は好きなこと以外やりたくなかったので、みんなにはやりたい仕事を選んでもらっています。しかし、仕事が選べるというだけではダメで、些細なことでも相談したり改善点を指摘したりできる雰囲気づくりが大切です。

でも、この雰囲気づくりが結構難しいんですよね。

心理的安全性

仕事に関して「何をするか」と「誰と働くか」のどちらを優先すべきかという議論をときどき目にします。私はどちらも諦めたくなくて、「何をするか」については前述したように「好きなことをやりたい」ですし、「誰と働くか」については「良い人と働きたい」と思っています。

「良い人と働きたい」というのは誰しもが思うところでありますが、「良い人」とは一体どんな人でしょうか?

もし、言うべきことがなんらかの理由で言えない雰囲気だったら、それは「良い人」とは言えないし、組織としても同じでしょう。

言うべきことが安心して言い合える、つまり「この人は(組織では)指摘をしても関係性が壊れることはない」と胸を張って言えるのが「良い人」であり「良い組織」でしょう。

この状態を「心理的安全性が高い」と言って、組織の心理的安全性を高めるのがマネージャーの役割なんですね。

さて、心理的安全性という言葉を紹介したところですが、実は私たちは以前から同じ文脈で使われるもっと親しみのある言葉を知っています。

そう、信頼ですね。

顧客の信頼は仲間の信頼から

私たちCREは Customer Reliability Engineer とあるように、サービスに対する「顧客」の信頼を最大化する役割を担っています。

一方、マネジメントにおいては「顧客」よりも「仲間」であるチームメンバーの信頼向上が大切です。仲間の信頼があって初めて良い仕事ができ、結果として顧客の信頼につながるからですね。

チームメンバーと信頼関係を築くために大切なことはいくつもありますが、あえて一言で言うなら「誠実であれ」でしょうか。中でも私が特に大切にしている3つを紹介します。

  • 話を最後まで聞く
  • 否定しない
  • 人に興味を持つ

これがどういうことかは、逆を考えるとわかりやすいです。あなたの話を遮り、否定し、興味なさそうにスマホを見ている。そんな人から「なんでも話して?」と言われて話す気が起きるでしょうか。

逆説的になりますが、思ったことを話してもらうためには、普段から真摯に話を聞き培った信頼関係が必要不可欠です。言い換えると、信頼関係の構築こそがマネジメントの核心なのです。

3つ目の「人に興味を持つ」については少し補足したいと思います。みなさんはチームメンバーと仕事以外の話題で雑談できますか?

今でも得意というわけではないですが、以前の私は雑談が苦手でした。雑談って、どんな話題を取り上げればいいかわからないし、そういう人って結構多いんじゃないかと思っています。

でも実は簡単で、どんな人でも自分の興味がある話題については話せるんです。雑談がしたかったら、その人の興味がある話題について聞けばいい。そうするうちに、未知の経験談が聞けるのが楽しくて、「雑談のために人に興味を持つ」がいつしか「知りたいから雑談する」というふうに変わっていきました。

変わったこと・変わらないこと

変わったことで言えば他にもあります。

私たちが管理しているシステムで不具合があったときのことです。早急に原因を調べる必要があったので、急いでエラーログを探しにいったのですが、そのときにはすでにチームメンバーが該当ログを報告し原因を特定していたのです。あまりの早さに感嘆すると共に、世代交代の寂しさを感じたのも事実です。

エンジニアからマネージャーになるというのは、ドラクエ(私は6の世代です)の転職をイメージするとわかりやすいと思います。例えば武闘家から僧侶に転職すると、熟練度がリセットされてほとんどのステータスが下がり、僧侶として育つまでは武闘家時代に覚えた特技でなんとか戦闘を凌がなければなりません。

マネージャーになるのも同じで、今までエンジニアとして求められてきたことはいったん置いておき、僧侶が支援役を期待されるように、マネージャーとしての役割が期待されるようになります。一時的には、何年もかけて積み上げてきた熟練度をリセットするということに心細さを感じてしまいます。

一方で、変わらないこともあります。

業務の中心がマネジメントになるとはいえ、エンジニアである以上、技術的なインプットは変わらず重要です。自分で情報を取りに行く時間が減るため、若いメンバーが話してくれる技術のトレンドはとてもありがたいです。若い人から学ぶ姿勢が大事なのも変わらないですね。

最後にこのエントリで伝えたかったことをまとめて締めくくりたいと思います。

  • マネジメントの核心は信頼関係の構築である
  • マネージャーになるとそれまでとは違った役割が期待される
  • 技術的なインプットや若い人から学ぶ姿勢は変わらず重要である

新任マネージャーからは以上です。最後まで読んでくださりありがとうございました。