
昨年12月にはパラグアイで草の根プロジェクトのマネージャーの研修があったのを利用してコロネル・オビエドという地方の町で自立生活運動について70人ほどの前で話をする経験をしました。ぼくら自立生活センターの健常者職員は、まず障害者の人がいてそれをサポートするというのがだいたい主な役割なので、こうして一人で出かけていって話をしたり介助者研修をやったりするのに、いつも不安や違和感を感じながらやっていたのですが、昨年パラグアイで半ば仕事としてやる場面に出会って、こちらで働いているかぎりこれからもこうした機会はあるだろうし、どうせならもう少しちゃんと話せるようになりたいなと思うようになりました。
8月22日アナさんの団体「Asociación Todo tuyo Maria(すべてはあなたマリアのもの)」の会員の人たちの前で話すことになっていたのでその前日ホテル近くの事務所で打ち合わせているとき、「今年の協会の予算はもう明日のセミナーに全部つぎ込んだからね」とか言われながらネルバさんに脅されてドキドキしながらも、どこかちょっと面白そうだなと思っている自分がいました。ホテルに帰り、いつもは用意したパワポなど資料がいくつかあるので、それを組み合わせたりしながら話すのですが、それなりに責任も感じ、打ち合わせを元にして伝えないといけないことを明確にし直してパワポを一から作って久しぶりに朝方まで眠れないという経験もしました。
セミナーは泊まっているホテルの階上のサロンでありました。9時なのでその少し前に行くともうほとんど揃って待っている状態でした。アナさんたちは自分はドイツ人の教師に教育されたから書類の管理から全部きっちりやっているというのが嘘ではなかったのがよくわかりました。参加者は頚椎損傷の人が多くパナマは交通事故と拳銃など武器などで障害者になるひとが多いというのがうなずけました。
9時から午後1時までたっぷり時間をくれていたので、自分のこと、コスタリカのこと、自立生活生活運動がアメリカから発祥して日本に伝わりそれがさらに世界中に広がっていることなどを、ビデオもゆっくり見てもらいながらたっぷり話すことができました。それでも時間を持て余すくらいだったので、参加した障害者の人たちが途中今パナマという国や彼らの団体が抱えている問題を議論するような場面にもなり、文字で読んで知るのではなく実感として彼らの置かれている状況を知れる貴重な機会ともなりました。
終了後、アナさんとネルバさんはホテルから事務所に戻り、さらにその反対側にある大きな私立の病院にミーティングルームを借りていて、参加した人の中で太平洋岸にあるパナマシティとは逆のカリブ海側にあるコロンに近いコスタアバホという町で障害者のグループを作っているメンバーと会議があるというのでそちらへ移動。ぼくは一仕事終わったのでホテルで少し休もうかなと思ったところを、お前も来いということで連れていかれました。
アナさんの団体は、パナマシティの本部の下に各都市に支部がぶら下がっていくような形態にしており、全体で数百人の会員を抱えています。コスタアバホのグループはその支部形成の過程にあり、どうやら会員の一部が別の名前を使って資金集めをし、Whatsappでも別のグループでやり取りを始めてアナさんらに情報も入らないという、やや不穏な動きをしていたので、アナさんの怒りに触れたようでした。最初はかなり険悪なムードで始まって、おれいいのか?こんなところにいて?と思いながらも側で聞いていたら最後は彼女がうまくまとめて全員気分よくバンに乗り込んで帰って行きました。
乗り込みを手伝って、最後にぼくが車椅子を乗せてドアを閉めたらアナさんが近くに来て、「あんたが閉めたねー!」って言ってくれました。たまたまなんですが彼女にはそれが嬉しかったようで、ぼくもいきなりきてその国の障害者運動のど真ん中にこうして迎えられるという、幸せでこんな面白い仕事は他にないだろうなとあらためて感じていたパナマ訪問でした。



