AIに対する期待と現実のすり合わせ

takkii
Music and Technology
4 min readJan 14, 2017

下記の、リクルート人工知能研究所推進室室長の石山洸さんのお話を拝読し。

AIというワードは強烈だ。artificial intelligenceという言葉が生まれたのは1950年代、その後、映画「2001年宇宙の旅」(1968年)をはじめとして、多くのSF作品でAIは描かれてきた。それらを見て育ってきた私たちはAIという言葉に対し、未来、とか夢、のようなイメージを持っているように思う。

2012年からの5年間で、深層学習をはじめとする技術や分析基盤は大きく発展してきた。AI実現までの距離は縮まったのは確かだが、手がとどくところまで来ているようにさえ思えてしまう。

上の記事では「AI」という言葉について、下記のように紹介している。

“人にインスパイアされた科学やコンピューター技術”くらいでいいと思います。かなりざっくり要約すれば、ですが。

そして私たちのイメージどおりの「AI」がすでに完成しているわけではなく、まだ発展途中の「AI」があるのだと説明している。

それくらいのAIはきっと、レベル1〜4まである中のレベル1なんですけど、こうやって1・2・3……と連続的に登っていくことが重要だと思っています。どのみち、アルゴリズムやUIがどんなに進化したとしても、AIの知能のもとになるデータはどんどん拡充しなければいけない。データの取得とアルゴリズム・UIの進化を並行させながら、IoTなどにより取れるデータをさらに広げて、進化の速度を上げていく。ここで、レベル4ばかりを追い求めて、レベル1のデータを取るのを疎かにすると、進化のスピードが上がらない。これも段階的に進化させるべき理由ですね。

AIサービス提供社のすべきこと

このような説明をリクルートさんがしてくださるのは大変ありがたいと思う。リクルートさんは、AIを活用したサービスを作り、今後そのサービスをAIと言うキーワードとともに売り出していくと思うが、そのようなサービス提供者側が言葉について説明するのはとても真摯に思う。

一方で、現在世間を賑わしている「AI」サービス提供者はどうだろうか。「AI」という言葉を使うばかりで、その言葉の意味すること、レベル感について説明せずにいる企業が多いように感じる。「AI」という言葉の持つ光で目をくらませだけではないだろうか。

AIサービス受給社のすべきこと

また、このような言葉に翻弄されてしまうAIサービスの利用者側にも問題があるように思う。これまでもビッグデータ、データ分析、機械学習と言ったワードが飛び交い、それらに手をつけてきた。これらに着手し、成功した企業もあれば、もちろん失敗した企業もいるだろう。これらのトレンドに「ひとまず乗る」ことも一方では必要だと思うが、果たしてどの程度の企業がその振り返りをしてるだろうか。トレンドのつかみ方、トレンドへの乗り方を改善できているだろうか。それらの振り返りがないままにいれば、この「AI」トレンドの波でも同じ轍を踏んでしまうのではと危惧している。

上の記事でも、AIはすべての産業で導入されていくものとし、第4次産業革命としてGDPの上昇に大きく貢献するとしている。

これは私の持論ですが、2020年のGDP目標値600兆円のうち、(第四次産業革命の効果で積み上げようとしている)30兆円は5%でしかない。ならば、各産業セクター・各企業の既存のビジネスにAI的なものを導入して5%の付加価値を創出し、レバレッジできればそれでもう達成できるんですよ。逆に、AIが同時にすべての産業セクター・企業に浸透していかなければ、この目標はクリアできません。

だからこそ、導入の仕方をミスった時の影響も大きい。AIサービス提供社、受給社双方が「AI」についての認識をすり合わせ、経済発展を推し進められることを願う。

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