1.1 ノンカストディアルウォレット
はじめに
River Financial が2023年10月にライトニングネットワークに関するレポートを発表しました。これを受け、21ページに掲載されている企業やプロジェクトを調べ、社内で報告しました。報告内容は、至って簡易的であり、気になったものは各々調べる、というスタンスです。この記事は、コミュニティメンバーとも共有することで一助になればと思い、執筆しました。なお正確な情報は、公式サイトなどの一次情報で確認することをお勧めします(英語が苦手な方はChatGPTに翻訳や要約を頼めば良さそうです)
1.1 ノンカストディアルウォレット
ビットコインの管理を他者に任せず自分で行うタイプのウォレットです。従来、このタイプのウォレットは、ライトニングネットワークを使うために、チャネルの管理というものが必要でした。しかし、最近は Lightning Service Provider (LSP) と呼ばれる、ユーザーの代わりにそれを行う技術を取り入れたウォレットが主流になってきました。なので、ユーザーが使用するハードルが低くなってきたと言えます。
Non-custodial wallets: Lightning wallets in which a user controls their funds.(P.22)
オンチェーンで入金するとライトニングに自動的に交換してくれる。決済のほかに、ライトニングゲームから稼ぐことができる機能がある。有名なTHNDRゲームとも提携している。Nayuta LSPを使用している。
2023年11月27日には、ノンカストディアルソリューションである当ウォレットとアプリ開発環境のほかに、カストディアルソリューションとして、暗号資産取引所などのライセンス企業向けに、ライトニング機能を提供する事業を開始した。
決済専用。ライトニングだけではなくオンチェーンも利用できる。2023年7月11日にSplicingという技術を導入したPhoenix 2.0を公表し話題に。利用手数料が変わった。ACINQが開発。ACINQはEclairというライトニングの実装も開発している。
ちなみに、Splicingに似た技術としてSubmarine swapsがある。ACINQのブログで少し言及している。
一言:シンプルな決済専用。以下で出てくるウォレットは、決済+αの機能が付いていることも多い。
決済のほかに、PoS(例としてはライトニング決済を受け入れたい商店などがレジとして使う)や、ポッドキャストプレーヤー(ポッドキャスターに投げ銭が出来る)、提携しているライトニングアプリの一覧(ここからリンクを飛ぶとダイレクトに決済できる)といった機能などがある。機能一覧はこちらで把握できる。Breezは、Lightning Service Provider (LSP) を、開発した企業。
決済とノードマネジメントが行える。機能一覧はこちらで把握できる。2023年12月4日に大きなアップデートがあった。”Embedded node” と呼んでいる、アプリに組み込まれたLNDノード、を使えるようになった。従来は、家やクラウドで立てるノードを、リモートで繋いで使うことしか出来なかった。また、OLYMPUSと呼んでいるLSPを導入したり(ONとOFFの切り替えが可能)、Simple Taproot Channels に対応している。その後もPoSなどを導入している。
一言:やや玄人向きのウォレット。
決済のほかに、Lightning Addressを登録できる連絡帳(登録しておくとLightning Addressの持ち主にに送金する手間が減る)、提携しているライトニングアプリの一覧(ここからリンクを飛ぶとダイレクトに決済できる)といった機能などがある。機能一覧はこちらで把握できる。Dunder と呼んでいるLSPを使用している(ONとOFFの切り替えが可能)。
決済専用。ライトニングとオンチェーンの残高が区別されずに合算で表示される。多くのウォレットが採用している12単語や24単語のパスフレーズの代わりに、独自のEmergency Kitと呼んでいるアイデアを採用している。また、独自のmempool-based estimatorを使って送金手数料を最適化している。
ライトニングウォレットのアカウントシステム。複数のウォレットを、ウェブ上のダッシュボードを使い、管理出来る。LND、Core Lightning、Eclair、Alby、OpenNodeなどに対応。取引履歴や支出をグラフで見れたりする。ノードのマネジメント機能はない。
決済専用。オンチェーンも利用できる。多くのウォレットが採用しているLNDやCore Lightning等ではなく、独自実装で動く。PC版ウォレットはこちらも参考にすると良さそう。
決済のほかに、DLCを使うことでカウンターパーティリスクを回避したトレードが出来る機能、付随してSynthetic stablecoin(シンセティック・ステーブルコイン)であるUSD-Pを使用できる。ドル建てで価値を保持できる。テンテンワンと読む。
決済のほかに追加する予定の機能は、Coinjoin、Routing Node、LSP、DLCを使ったSynthetic USD。また、2023年12月30日頃に、Fedimint対応を進めていると公表。Nostrとの連携が可能。アプリストアの制限がかからないように、アプリではなくブラウザで動く。
オンチェーンも利用できる。決済のほかに、連絡帳を作成し取引履歴と紐づけが出来る機能、取引履歴をタグで管理する機能、貯金口座へ振替ができる機能、ビットコインの価格チャートやStacker newsなどの記事を表示させるウィジェットがある。Blocktankと呼んでいるLSPを使用している。
決済のほかに、ビットコイン決済を受付ているショップなどが表示されるBTC Mapや、ライトニングで直接ビットコインを購入できる取引所が組み込まれている。予定している機能としては、電話番号でビットコインを送ることができ、ビットコインアドレスが不要となる。NFCに対応している。現在はiOS(testflight)のみ。