1.2 カストディアルウォレット

はじめに
River Financial が2023年10月にライトニングネットワークに関するレポートを発表しました。これを受け、21ページに掲載されている企業やプロジェクトを調べ、社内で報告しました。報告内容は、至って簡易的であり、気になったものは各々調べる、というスタンスです。この記事は、コミュニティメンバーとも共有することで一助になればと思い、執筆しました。なお正確な情報は、公式サイトなどの一次情報で確認することをお勧めします(英語が苦手な方はChatGPTに翻訳や要約を頼めば良さそうです)

1.2 カストディアルウォレット

ビットコインの管理を他者に任せるタイプのウォレットです。ノンカストディアルウォレットに比べ、使いやすいことが多いですが、自分のビットコインを持ち逃げや倒産で失うリスクや、各国の規制に影響を受けるリスクが高いです(下記のWoSが最近の例です)。

Custodial wallets: Lightning wallets in which the provider controls user funds.(P.22)

https://walletofsatoshi.com/

決済専用。オンチェーンも使える。オンチェーンの入金は、即座に入金の確認が出来たあと、10分後に使用可能の状態になる。ライトニングの入金は、Lightning Address (….@walletofsatoshi.com という形式をとり、インボイスを毎回発行する手間が省ける)宛てにも可能。決済のほかに、ビットコイン決済を受け付けるショップなどを地図化したBTCmap、PoSがある。2023年11月29日頃には、PoSのみのアプリを公表し、店舗などのマーチャント側がビットコイン決済を受け入れる幅を広げた。

2023年11月24日頃には、USAで利用が不可になった。中国と北朝鮮に次ぐく3か国目。オーストラリアの会社が開発している。

https://www.blink.sv/

決済には、ライトニング、オンチェーン、Stablesatsが使える。Stablesatsを選択すると、1. USDアカウントが作られ 2. ライトニングかオンチェーンで入金すると 3. ドル建てで残高をキープできる。また、ビットコインとStablsatsはいつでも変換できる。ビットコインの価格変動を回避する策で、デリバティブ扱い。

ライトニングの入金の選択肢として、Lightning Address (….@blink.sv) 宛て、PoS、LNURLを使った静的インボイス、がある。決済のほかに、教育コンテンツを読むとsatsが稼げる機能、ビットコインの売買(エルサルバドルのみ)、インナーサークルをつくる機能、BTCmapがある。政府発行のIDと自撮りを登録すれば、アップグレードができ、取引の上限をなくしたり、特定の国の銀行口座に振込ができたりする。ビットコインを法定通貨にしたエルサルバドルの、ビットコイン経済圏のまちEl Zonteで生まれた元Bitcoin Beach Wallet。

一言:生まれによるものか、経済圏やコミュニティ、教育といった観点がやや強いように感じた。

https://wallet.cashu.me/

Cashu.me。Cashuと呼んでいるプロトコルのウェブウォレット。

Cashu自体は、カストディアル型のビットコインアプリケーション向けに設計された新しいE-Cashプロトコル。通常カストディアル型では、プライバシーが低くなりがちだが、それを高度に提供する。

Cashu.me内では、任意のCashuのミントと接続して、E-cashトークンを使う。このトークンを使った取引は、追跡不可能、即時決済、手数料ゼロ。トークンは端末にローカルに保存される。ミントがライトニングノードを持つため、トークンとビットコインのスワップが可能。

E-Cash(Chaumian E-cash)自体は、1980年代に考案された仮想通貨。

Chaumian Mintは、運営母体のサーバー(Mint) がデジタル署名したトークンを付与し、ユーザーは移転の際にサーバーにそのトークンの所有権移転を請求するという構造になっています。基本的にこれらのトークンには、運営母体に預けられた裏付け資産が存在します。(現金を預けてトークン化してもらうなど)

この際、サーバーのデジタル署名はブラインド署名といってユーザー側が秘匿したデータに対して署名するため、ユーザーはサーバー側に対して追跡困難性と匿名性を獲得するという構造になっています。この構造こそがChaumian Mintの一番の特徴と言えそうです。

- https://coinkeninfo.com/federated-chaumian-mints/

一言:プライバシーと利便性のバランスという観点から、併せてFedimintもチェックしておきたい。

Google 画像検索にかけたが出てこなかった。

https://8333.mobi/

決済専用。アフリカの8か国で使える。ライトニングおよびオンチェーンの入金は、オンラインまたは、インターネット接続のない人はローカルショップでAzteco Vouchers を購入することで可能。送受金は、ユーザー登録をすれば、電話番号か、Lightning Address(….@8333.mobi)宛てに行える。Clanと呼んでいる、複数人がグループとしてビットコインを送受金できる仕組みも提供している。

https://coinos.io/

決済専用。アプリではなくブラウザで動く。ライトニングでの受金が、立ち上げ後すぐに可能。coinosウォレット同士だと、手数料が無料。店舗などのマーチャント向き。Liquidも使用できる。

一言:シンプルで使いやすそう

https://amber.app/

Lightning Address (….@amber.app) 宛てに送受金が行える。決済のほかに、IDを登録するとビットコインを売買できる機能があり、アップグレードをしたら手数料無料になるなどの機能が追加される。設定すると自動で〇〇を行ってくれる機能が豊富。

一言:純粋な決済専用というよりは、売買したい人向けかな。2024年になってもう一度確認したかったのだが、アプリがどうしても起動できない。

https://vipsats.app/

決済専用。ライトニングの入金は、Lightning Address(….@vipsats.app)宛てにも出来る。決済のほかには、Voucher を作成しウォレットを持たない相手へもビットコインが渡せる機能、外部のサービスへのリンクや、100sats未満でいち質問できるAI BOTが、組み込まれている。エルサルバドルのまちSan Salvadorで開発されている。

https://app.getcurrent.io/

ウォレットが内蔵されているNostr(分散型ソーシャルネットワーク)のクライアント。

一言:手持ちのAndroid 2台にインストールしたが固まって試せなかった。秘密鍵などを入れる方は、念のため注意してほしい。

https://lifpay.me/en/

決済専用。ライトニングとオンチェーンの残高が区別されずに合算で表示される。ライトニングの入金の選択肢として、Lightning Address (….@lifpay.me) 宛て、LNURLを使った静的インボイス、がある。複数のアカウントが作成可能であり、用途別に使い分けることが出来る。ブラウザでダッシュボードも提供しているため、アプリと連携させたりと、まとめて管理が出来る。BTC Mapが組み込まれている。

https://sparkwallet.io/

2023年8月1日以降、ウォレットサービスをやめている。リワードを提供しているのみ。ライトニングでギフトカードを購入すると、Sparkという単位のリワードが5%バックで貰える。アメリカのみ。

https://www.walletano.com/main/

ライトニングの決済専用。ウォレットのタイプは、カストディアル、ノンカストディアル、パートナーカストディアル(予定)から選択できる。現在はウェブだが、今後アプリで提供する予定。カストディアルは、ライトニングの入金が、Lightning Address(….@walletano.com)宛てにも行える。

GitHubで、Walletano-Email-to-Lightningと呼んでいる、任意のメールアドレスに対して、Lightning Addressを作成する試みも行っている。これを使えば、会社の独自のメールアドレス(例:….@nayuta.co)宛てに、ライトニングを給与として送れる、といった例が挙げれるそうだ。

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