El Salvador 訪問記 (El Zonte編)

2021年6月 Miami Bitcoin Conference で、El SalvadorがBitcoinを法定通貨にするという発表がありました(大統領が法案を議会に出すということを以下のプレゼン中にビデオで話ししています)。

突然の発表でその時は非常に驚きました。Bitcoinのコアなコミュニティでも意見は割れていました。法定通貨というのは強制通用力があり、支払いにおいて法定通貨を使われた時に受け取り側は拒否ができません。否定的な人は個人の自由を最大限に重要視するBitcoinと強制通用力は合わないという意見でした。自分はBitcoinとはPermissionlessな性質を持つということを共有理念として開発に関わってきていたので、El Salvadorの人達がBitcoinを法定通貨にしたいのであれば、それも自由というのがBitcoinだという意見です。(これで発生するリスクを超えれないならばそこまで。)

この発表から10ヶ月経って、El Salvadorを訪問する機会があり10日間(El Zonte 8泊、San Salvador 2泊)行ってきました。ここでは自分が体験したことを書いて行きたいと思います。El Zonteは別名Bitcoin Beachとも呼ばれます。El Salvadorが国としてBitcoinを法定通貨にする前からBitcoinを使える街にしようと地元のコミュニティが活動して色々なところで使えるようにしていました。これがEl Salvador政府の耳に入り最終的に法定通貨になりました。そういう意味ではEl ZonteはBitcoin法定通貨化の発祥の地みたいな場所です。

3月17日、L.A.からの飛行機でエルサルバドル国際空港に着陸しました。知らない国に降り立つのはいつもドキドキします。無事、ゲートを出たところで前もって紹介されていたドライバーと出会えました。着陸した直後、飛行機の中ではスマホはインターネットに接続できたのですが、空港に出るとつながらなくなりました。ドライバーさんは英語が分からず、 google翻訳を使ってコミュニケーションを取りますがなかなか通じず、南国の人っぽく「大丈夫!大丈夫!とりあえず行こう!」って感じで出発です。今回の旅ではgoogle翻訳を使ってコミュニケーションを取るというのを多用しました。しばらくしてから英語の通じる弟さんと電話が通じてSIMカードが必要だということが伝わりました。

そして途中で小さなショップが集まっている場所を通り、SIMカード購入しました。ここではネットがまだつながっていませんでしたが、おなじみのBitcoin Acceptedが貼ってあり、期待が高まります

El Salvador Airportから El Zonteまでは主に海岸線沿いを1時間ぐらい車で走ります。途中はあまり何もないのですが、ところどころ街となっている場所が出てきます。そういう場所は工事中の部分が多いです。Surf Cityというのを宣伝言葉にしているようで、Surfinに向いた場所が観光地として発展している最中であることが伝わってきます。

最終的に El Zonteに到着しました。El Zonteがどのような街か一言で説明するのは難しいのですが、元々ローカルな漁村に、良い波が来るということで観光客用のホテルやレストランが作られていっている最中の街という感じです。エルサルバドルの田舎の雰囲気もあるし、場所によっては高級なリゾートの雰囲気もあります。今回、全く知らない国、知らない街ですごすということで到着するまで雰囲気が分からなかったので最初の2泊はおすすめされたEl Zonteでも良いホテルを予約しました。到着したところから見える景色はこんな感じ。プールもあり、プールサイドのバーもあり、ホテルの中にいると高級リゾートと変わりありません。

こういうホテルにいると英語が使えるコンシェルジェみたいな人がいるので色々情報を聞くことができます。ホテルの周りはかなり安全ですよという話だったので、ゆっくり疲れをとった後、ホテルの周りをうろうろしてみました。

ホテルのすぐ近くにあるローカル色の強いカフェ。Bitcoin Accept のポスターが見える。ここには入らず、ローカル色の強いコンビニというか雑貨屋みたいなところに入りドリンクを買ってみました。水を買おうと思ってgoogle翻訳使ってコミュニケーションした後に Bitcoin? と聞くとここではノーと言われました。Bitcoin Beachと呼ばれるEl Zonteであってもノーと言われるところは結構あります。

牛が放し飼いされています。写真では遠目に取っていますが、初めてホテルから外に出た時は普通に狭い道路をウロウロしていてちょっと驚きました。

2泊した後は、booking.comで見つけた値段は安いけど評価が高い宿へ移動。良く分からず予約したのですが、こちらは地元の方が自分の家の横で3家族だけ泊まれる場所を作って宿泊させている民宿みたいなところでした。英語分かる人がいなくてgoogle翻訳でしかコミュニケーションができず色々大変だったのですが、長く泊まっていると愛着も湧きました。El Salvadorの人達は基本的にニコニコしていて目が合うと手でサイン出してくれるような優しいタイプの人が多いです。

こちらでは毎朝このEl Salvadorの郷土料理をとりました。庭は結構手入れされていてBarがあり、朝食と晩飯は基本ここで取ることが多かったです。(El Zonteの一番端にあり、日が落ちてから歩いて移動はちょっと不安があったので基本的には日が落ちる前に戻ってました。)

夜のメニューはガッツリ食べるには基本BBQになっていて、一人で泊まっているので流石にBBQする気は起きず、毎晩ププサと呼ばれる郷土料理とコロナビールを呑んでました。結局El Salvador滞在中に何枚ププサ食べたか覚えていないぐらい食べました。結構日本人にも合う味だと思います。他の家族も良く同じ場所で夕食取っていましたが、皆スペイン語で話しているのでまるで会話には入っていけません。それでも皆笑顔で気持ち良く過ごせました。

こちらは食事場所から見えるSunset。朝の日の出、夕方の日の入り、本当に素晴らしい雰囲気でぼーっと見ているだけでもHappyな気分に浸れます。

ちょうど同じ時期に友人の練木さん(Nayutaの株主であるFulgur Venturesに今年からジョインされた)が隣町のEl Tuncoに泊まっているということで昼食にお呼ばれして行ってみたりもしました。

El TuncoはEl Zonteと違って、大きな資本が入りかなり大々的に開発されている場所でした。ローカルの人達や日本から来てエルサルバドルに住んでいる人達と15人ぐらい大勢で昼食を取り、色んなことを聞きました。海外協力隊としてやってきてそのまま住んだ方、政府関連の仕事をされている方、感染症の研究で日本の大学から来られている方。エルサルバドルの実際に良いところと良くないところ両方を教えてもらいました(色々書けないことがあります)。

一つ書いておくと、自分は実際にEl Salvadorに降り立つまで治安が悪い治安が悪いと聞いていたので、El Salvadorの人達が皆ニコニコしていて優しい方ばかりで驚いているという話をしたところ、ギャングがいて本当に危ないので近づかないようにと強く言われました。日が暮れてから一人で歩かない方が良いと。一般的なEl Salvadorの方はノーと言えないような優しい人達が多いという話です。逆に言うとギャングは本当に怖いのだろうなと想像します。

それからBitcoinを法定通貨にするという発表があった日はやはり大騒ぎだったようです。自分たちの給料もBitcoinで払われるの?と。最終的には銀行団が給料はUSDで払いますと新聞に広告を出して騒ぎは収まったそうです。やはりどの国であっても通貨は人々の無意識を支えていて急激な変化には恐れを生み出すもののようです。

そして、El Zonte滞在のメインイベントとしてHope Houseに行ってきました。最初に書いたように、El ZonteがBitcoin Beachとして発展してくるようになったコミュニティのリーダーのRomanと会って話を聞いてきました。

Hope Houseとは文字通り”希望の家”です。RomanはBitcoinと関係なく相当前(10年前?)から、地域の子供への教育や社会活動参加支援をしていたそうです。両親がUSに出稼ぎに行って、一緒に生活できない子供とかも沢山いたらしい。

2年前ぐらいにビットコインを知り、これはインターネットと同じで世界を変える、誰かが利益を抱え込まずに関連する全ての人がHappyになっていけるオープンな世界を作れると感じてビットコインの普及を進めてきたそうです。

突然、法定通貨になって事態は急変している。色んな国の人がやってきてる。日本、ドイツ、U.S…. 来てみて、「まだこれぐらいなのか」という人達もいるけど、少し前はもっとひどかったんだよ。この状態でだいぶ進んでいて大きく花開く準備ができてる。どこの国の人とも瞬時にBitcoinのやり取りができる。良い仕事が無いから国を出ていくという状態を変えたい。両親と一緒に子供が過ごせる社会にしたい。ビットコインで作るんだ。まだまだ始まったばかり。そして、オープンな世界で君も僕らもHappyになろう!

本当に力強く語ってました。

ここにはBitcoinで胸を張って語れる夢があり、本当に皆明るい未来を信じてBitcoinの普及に取り組んでいます。資産としての性質に注目がいく日本と非常に異なり、Bitcoinを通して価値のやり取りを行うことが至るところで行えます。Bitcoin開発に関わる自分としては非常に強いエネルギーを貰える訪問でした。

こちらはHopeHouseでBitcoin BeachのCapとBitcoinが法定通貨になった日の新聞をLightning Network払いでNayuta Coreから支払っている動画です。

ちょっとかばんに入れている間に折れ曲がってしまったのですが、この2つはLN払いで買ってます。

それからHopeHouseにはChivoブランド(El Salvador政府ブランド)のBitcoin ATMが置いてあり、こちらでBitcoinから20ドル引き出してみました。

https://www.youtube.com/shorts/Wh5cf5WZip0

こちら動画では簡単に引き出せているように見えますが、最後の引き出し部分のみです。実際にはかなり悪戦苦闘してお金を手にするまでかなりの時間を使いました。(ちょっとシーケンスの記憶は怪しいので記憶間違いがあるかもしれませんが一応書いておきます。)

Chivo ATMは現在まだLightning Networkに対応していません。引き出しは二段階になっていて、SMSに二回メッセージが来て認証する必要があります。SMSをKYCに使用しているイメージです。最初にSMSで認証してメッセージがやってくる番号を入力し、Bitcoin額を選択し、QRコードに対して支払いをします。そうするとコードが印刷された紙が出てきます。そこから支払いがブロックチェーンに取り込まれて1 confirmationになるまで待ちます。自分はBlockchain explorerを開いて待ちましたが、Geekじゃないとそんなこと多分できないだろうな〜と思いました。1 confirmation待ったのを確認して操作するとSMSに再びコードが来ます。その後、先程もらった紙に書かれたコードを入力すると指定した額のUSDが出てきます。

Hope Houseの前にはBitcoinマークがついたバスが置いてありました。これに乗ってみんなで出かけていくのかな?それとも家までの送迎?

その他、色々なところでLN払いを試しました。

こちらはちょっとリッチなホテルで飲み物を呑んだ時の支払いです。

元々El Salvador行きはMai Fujimotoさんから声掛けがあって行きました。と言っても自分ひとりで少し早く前について宿泊地が違ったりで、タイミングが合えば皆で集まってどこかに出かけたりしたという感じで、基本色々個人行動していました。(Bitcoin好きな人達は皆自由が好きなのです!)

で一度El ZonteからLive中継をしようということでホテルのカフェを訪問してLive中継したのが以下です。

https://twitter.com/missbitcoin_mai/status/1507028652319551490

こちらの中継ではEl Zonteのリゾート的な雰囲気が分かります。街全体としてはもっと漁村的な感じも溢れています。

そしてサーファーも沢山います。

Bitcoin本来の力が輝く街、El Zonte。みなさんも一度訪問されてみてはいかがでしょうか?

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