龍美術館──「批判的プラグマティズム」としての大舎建築
Sep 8, 2018 · 2 min read
『世界』でつづけている中国建築文化論連載の第17回。
今回は上海ベースのユニット派建築家である大舎建築の代表作、龍美術館について。創設者であるコレクターはすでに有名だが、建築についてもチャレンジがあり、いま上海に行ってもっとも見るべき現代建築のひとつだろう。ただ、大舎建築の作品譜を概観してみると、端的に言ってしまえばまあ節操がないというか、歴史上の有名建築のアイデアを手際よく抽出しながら続々と規模の大きなプロジェクトを進めている。本稿ではこれを、彼らの出身校でもある同濟大学にいる評論家である李翔寧が提唱する「批判的プラグマティズム」の体現者として位置づけてみている。当然ながらその評価はアイロニカルなものにならざるを得ないが。しかし「批判的プラグマティズム」という概念、中国文化に伝統的な「非形而上学性」というべき特質を捉えそうでおもしろいのだが、李翔寧自身の定義がきっちりしておらず、とても曖昧である。こちらで有効に継承・変形してみたい。
ところで、「上海はBプラスの都市」と言ったのは磯崎新であった。世界の一線級の都市の出来そこない、というような意味だったはずだが、いま上海に行ってみてもその印象を覚えるから、なるほど的確な指摘だなと感じる。上海にはたしかに質量ともに優秀な建築が急速に増えているが極端なもの、ほかの都市で見たことのない/見れないだろうものが、ない。たとえば北京ではこういう気持ちにはならない、そこには紫禁城からCCTVまで、極端な歴史的モニュメントが立ち並んでいる(数年間生活をしていたことでの贔屓目があるにしても)。


