家を探してて詐欺にあいそうになった話

ナイスな雰囲気の家に住めるかと思ったが…

進学先が決まると、山のようにやることがでてくるが、その中で大きなファクターを占めるのが住居さがしだ。いい大人なんだから、家を探すぐらいでそんなに大騒ぎをするなよ、という気もするがなかなか大変だった…。

まず大学寮に入ろうとした

通常、ハウジングを探す場合、大きな大学であればUniversity Housingといって、大学寮に入ると便利な場合が多い。大学院院生であれば、独身用部屋から家族用の部屋までいろいろ用意がある。学部時代にUCLAに留学した際も大学寮に入り、大変楽しい2年間をすごしたので、今回も家族用の大学院寮に入ろうと思っていた。いろいろ探してみると、例えばPeabody Terraceというところがあり、子どもが遊べるような施設があり、またNurseryも近くにあり、授業が行われるGSDの建物であるGund Hallまでの徒歩約15分。

ただ、この大学寮のエントリーシステムがトリッキー過ぎて機会を逃してしまった。まずオンラインで申し込むのだが、その後事務局が連絡が来て、指定された日時と期間でしか物件が見れない、というシステムらしい。しかもその設定された期間が1日半とかぐらいしかなく、仕事や家事で疲れていたので「まぁ、大丈夫だろう…」と放置してたら締め切られてしまい、二度と申し込むことができなくなってしまった…。事務局に電話で問い合わせ、「風邪で寝込んでいたので見れませんでした」と白々しい言い訳をしてみるもなしのつぶて。これで、大学寮に入る、という選択肢は消えた。あっけなく消えた。

大学寮に決まっていれば、スムーズに住居を確保できたはずだったが、この機会を逃してしまったことで後に大幅に労力を使ってしまうことになる…。

Craigslistを頼るも…

そこで、次に頼ったのがCraigslistだった。ロスに留学していた頃とほとんど変わらないこの武骨でシンプルなUXがアツい…。…まぁ、それはさておき、このCraigslistで地図と物件情報をにらめっこする日々が始まった。

そんなときにSommerville近辺で見つけたとある物件…。スーパーも近い。GSDまで徒歩約15分。公園とかもそこそこ近い。

「めちゃええやん…。」

思わず画面の前でつぶやいてしまった。妻にも言った。「妻よ、俺は最高の物件を見つけたかもしれない…!」と。しかもあろう事か、このナイスな物件が近隣にさらにもう一軒あった。写真を見る限り、室内の環境は素晴らしい。早速Craigslistページに記載の会ったEメールアドレスに2通メールを送る。

そして、いきなりここからが怪しかった。このナイスな物件を見つける前にも、いくつか良さげな物件はいくつかあったので、手当たり次第メールを送っていた。が、大体がメールの返信がなかったなり、もしくは遅かったりで全然話が進まない感じがあったのだ。ところが、このナイスな物件(たち)はどうだ。自分がメールを送った数時間後には即、返信が来た。しかも2通とも一気にきた。

「どれどれ…」と期待を胸にメールを読んでみると…。なんと2通とも!文面が!一緒!もののみごとに、テンプレでもあるのかというぐらい全く同じ文面だった。

これが最初に来た1軒目の物件のメール
そして、これが2軒目

ここで、私は「???」となった。何かCraigslistでポストしている人が使う共通のフォーマットみたいなのがあるのだろうか?だが、そういうわけでもないらしい。幸か不幸か、私はこの時点で怪しいと感じていた。逆にいうと、メールが1通しかこなければ確実に騙されていただろうと思うと恐ろしい…。ただ、不思議なもので、せっかくのいい物件なので、スキャムでないことを信じたい心境も少しだけあった。

だが、残念ながらこのメールを読み解けば読み解くほど疑念を払拭することはできなかった。他にも怪しいポイントはいくつかあった。まず、メールの送り主の名前とドメイン。どうしてもスキャムではない、ということを信じたい私はメールの送り主の名前をGoogleで検索してみた。

そうすると、一人はボストンに実在する不動産ブローカーと、もうひとりはMITを退官した教授の名前がヒットした。悪くない。ボストンの不動産ブローカーとMITのリタイアした教授。どちらも物件の募集をかける人としてはありえそうな話だからだ。

…だが、よく出来すぎている。なぜならアドレスのドメインがaolだったからだ。aolのメールアカウントはその気になれば誰でも取得できるフリーメールだ。そのメールアドレスで「あえて」氏名を使っている。その名前で検索されることを見越したかのように…。

これだけだとグレーだがもう一つ決定的に怪しいポイントがメール本文にあった。メール本文を読むと、リース契約は1ヶ月契約から12ヶ月契約までフレキシブルにできると書いてある。また、12ヶ月契約にすると20%もディスカウントする、とまで書いてある。

ハーバードやMITが隣接するケンブリッジエリアは近年不動産価格の暴騰が凄まじい。Zillowを見ると、ここ10年で不動産価格が2倍になっているようなエリアである。そんなエリアで、契約期間がここまでフレキシブルなのはさすがにおかしい。これまで他の物件を見てきたがどれも基本的には1年のリース契約だった。1年以下にすると、月額の家賃が上がる。あまりにも短いリース契約だとそもそも貸してすらくれない。そんな中、加えて1年契約すると20%割引???

さすがにこれは話がうますぎる。なお、”Craigslist Housing Scam”で検索すると、これに類する話がたくさん出てっくるので完全にアウトだと悟った…。

写真を見る限り、素敵な家ではあったが、そもそも住めない家では意味がない。名残惜しいが、Craigslistよりスキャム報告を行い、画面をそっと閉じた(ちなみに、もうこの物件のリスティングはスキャムとして処理されてしまい、もう存在しない。)

最後はブローカーを通じて手配

で、失意の底、結局不動産ブローカーに頼ることにした。自分で物件を確認できない以上、仕方がない。不動産ブローカーを解する場合、大体家賃一ヶ月分のフィーを払うことになるが、これが結局一番確実だった。そして、やっぱりお金を払う分、すごく便利。

自分の場合、ハーバード大学が運営する物件募集サイトで記載のあったブローカーとコンタクトをとり、まずブローカーライセンスを見せてもらい、身分を確認。次に、こちらから物件の条件を提示し、物件を探してもらう。3つほど物件の情報を送ってもらい、1軒目の物件で契約した。

現地での確認はできないが、物件内の様子を撮影した映像を送ってもらい部屋の感じを確認した。オンラインで契約書にサイン、デポジットを入金し晴れて契約が終了。冒頭の大学寮選定プロセスのミスをしてから約1ヶ月半経過するも、ようやくケンブリッジでの住居を確保した。

これで、このブローカー自体が詐欺師だったら、ひっくり返る。