ISEP Next Energy Transformation Micro Research

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オーストラリア初の共有コミュニティバッテリー

オーストラリアの太陽光発電は着実に成長しており、2019年には設備容量が 16.3GW に達しました。この結果、一人当たりの太陽光発電設備容量に関して、オーストラリア(600ワット/人)は、ドイツ(580ワット/人)を抜いて、世界第1位となりました。日本は一人当たり500ワットで3位に続いています[1]。

オーストラリアの太陽光発電市場は、他の多くの主要国と比較して、屋根上太陽光発電システムのシェアが非常に高くなっています。独立した世帯の4軒に1軒以上が屋根上に太陽光発電システムを設置しています。COVID-19が大流行していた時期でも、2020年には33万3,978台、設備容量にして2.6GWの屋根上太陽光発電システムが新たに設置され、前年に比べて約18%増加しています[2]。

Annual PV installations by sectors: residential, commercial & industrial, and utility (Source: IEA-PVPS)

それにもかかわらず、2019年のオーストラリアの発電電力量の79%は依然として化石燃料が占めており[3]、大企業による新たな化石燃料プロジェクトやフラッキングは、地域での幅広い反対運動にもかかわらず、いまだに政府によって承認されています[4]。

しかし、時にはそのような大規模な化石燃料プロジェクトに対する反対運動が成功し、地域での電力生産を根底から見直すきっかけになることさえあります。

ニューサウスウェールズ州のベントレーでも、2016年に多国籍の大規模なフラッキングプロジェクトに対する反対運動が成功したことをきっかけに、オーストラリア初のコミュニティ所有による電力小売事業者が誕生しました。Enova は、1,600人のコミュニティ投資家の支援を受けた社会的企業として設立され、地域所有のもとでオーストラリアの持続可能なエネルギーシステムを実現することを目的としています。

Enova は、利益の半分をコミュニティに還元し、コミュニティベースの再生可能エネルギープロジェクト、エネルギー効率化、教育活動を支援しています。同社は、現在の電力システムを改革し、持続的な変化を実現するため、革新的なアイデアとデジタル変革に取り組んでいます。例えば、同社は、バイロンベイでマイクログリッドのパイロットプロジェクトを開始し、オーストラリア初のソーラーガーデンでは、太陽光発電システムに適した屋根を持たない人々もエネルギー転換に参加できるようにしました。

ニューサウスウェールズ州政府が一部資金を提供している Enova の最新のパイロットプロジェクト[5]は、コミュニティで共有する蓄電池と、オンラインのP2P電力取引プラットフォームを組み合わせたアイデアを中心としています。Beehive Project と呼ばれるこのプロジェクトでは、初期段階では、屋上に太陽光発電システムを設置している世帯と設置していない世帯の合計500世帯が、このコミュニティバッテリーを利用できるようになります。

The Layout of the Beehive Project (Source: Enova)

このプロジェクトは、蜂の巣に似ていることから「Beehive Project」と呼ばれています。蜂は太陽エネルギーを生産・消費する家庭、蜜は貯蔵・共有される太陽エネルギー、蜂の巣はピアツーピアの電力取引プラットフォーム、そして最後の女王蜂は大きな共有コミュニティバッテリーです。

特に、共有コミュニティバッテリーのコンセプトは革新的で興味深いものです。大規模なバッテリーは、一般的な風力発電所や太陽光発電所に接続されているわけではなく、地域コミュニティの中で電気を蓄えたり、分配したりする中心的な役割を担うように設計されています。小規模プロシューマーが生産した電力が地域にとどまることを保証するとともに、各家庭には家庭用蓄電システムを設置するという選択肢を提供しています。

このパイロットプロジェクトの「女王蜂」として、容量1.07MW、2.14MWhのテスラ・メガパックバッテリーが設置されます。このバッテリーは輸送用コンテナほどの大きさで、ニューサウスウェールズ州のクリクリに設置される予定です[6]。スマートテクノロジーのおかげで、参加者は地理的にバッテリーの近くにいる必要はありません。

バッテリーはデジタルトランスフォーメーションの重要な要素であるため、できるだけ多くの人がこの技術にアクセスできるような革新的なソリューションを見つけることが重要です。コミュニティバッテリーの共有は、この目標を達成するための興味深いアプローチです。

参考:

[1] https://iea-pvps.org/wp-content/uploads/2020/09/NSR_Australia-2019.pdf

[2] https://www.pv-magazine-australia.com/2021/02/05/rooftop-solar-drives-australia-to-renewable-energy-record/

[3] https://www.energy.gov.au/data/electricity-generation

[4] https://reneweconomy.com.au/fracking-hell-gas-and-coal-projects-march-on-across-australia-12605/

[5] https://www.enovaenergy.com.au/wp-content/uploads/2020/03/RCEF016-Shared-Soalr-Battery-Announcement-NSW-Government.pdf?hsLang=en-au

[6] https://lp.enovaenergy.com.au/hubfs/The%20Beehive%20Project%20-%20Tesla%20Announcement%2011%20Feb%202021.pdf?hsLang=en-au

Text by Christian Doedt

Translation by Shota Furuya

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Shota FURUYA
Shota FURUYA

Written by Shota FURUYA

環境エネルギー政策研究所, 研究員/Institute for Sustainable Energy Policies, Researcher

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