エキスパートレビュー(ほいプロレビュー)と社外ユーザビリティテストを新規機能開発で導入してみた

Shinya Morikawa
nextbeat-engineering
Aug 23, 2022

こんにちは、”保育園・幼稚園の『タイヘン』を『カンタン』に”をテーマに保育士バンク!コネクトでテックリードをしている森川です。

保育士バンク!コネクトは、労務機能や児童台帳、職員の方が利用する職員Webアプリなどの機能を持つ保育業務の課題を解決するために作られたICTシステムです。

今回は、保育士の方と保護者の方とのやり取りを担う保護者Webアプリについて、エキスパートレビューとユーザビリティテストを実施したのでその紹介をしたいと思います。

背景とこれまでの課題

現在、保護者Webアプリでは新規機能開発に着手しています。これまで、新規開発を行うにあたり、以下のような課題感を持っていました。

  • 長期開発になるにつれて、各フェーズのスパンが長すぎて実際にユーザが求めている機能・UI/UXと乖離が発生する。
  • スプリントレビューで、ステークホルダーやビジネスサイドに機能仕様や画面操作イメージについて共有するが、このタイミングではレビュアーが実際に機能に触らないため、リリース間近の実際に操作するタイミングで仕様の認識相違に気づく。

開発に携わる中でこのような経験がある方は多いのではないでしょうか。

このような課題感を持っている中で、社内研修でScrum Inc. Japan 様の Licensed Scrum Master Training を受講しました。この時、解決策としてインクリメンタルリリースやMVP(Minimum Viable Product)について紹介されていました。

(Scrum Inc. Japan 様の Licensed Scrum Master Trainingについては、弊社エンジニアリングマネージャーの上原が執筆したブログでも紹介しています!)

細かなサイクルでリリースを実施し、ユーザ検証を行うことでフィードバックをいただき、より満足してもらえるようなサービスを提供できるようにする。

今自分自身が感じている課題を解決する考え方だと思い、今から着手する新規機能開発にも取り入れたいと考えました。

とはいえ、いきなりプロダクションに対して、これらをすべて導入するとなると既存ユーザへの影響やビジネスサイドとの調整が必要でハードルが高いです。

そこで、まずはβ版アプリを実際に社内で触ってもらい、フィードバックをいただく形で今回の新規機能開発に導入することにしました。

では社内のどのような方に触っていただくか。と考えた時に、社内レビューの一環として行っている”ほいプロレビュー”の場を利用できないかと考えました。

ほいプロレビューについて

ほいプロレビューとは

「ほいくpro」は、社内の保育士・幼稚園教諭の資格・免許を持っているメンバーで組んだチームです。”保育現場を知るメンバーに意見をいただきたい”、”提案、企画の参考意見を聞きたい”と言った時にこれまでアドバイスをいただいていました。

保育士バンク!コネクトでは、「ほいくpro」のメンバーにご協力いただき、要件定義中に要件の不確実性を落とすためのスプリントレビュー by ほいプロを隔週で実施していました。

これまでのレビューは、要件決めやデザインレビューなど上流工程でのレビューが多かったのですが、今回開発中の保護者アプリを実際に触ってフィードバックをいただくことができました。

ほいプロレビューを実施して

レビューでアプリを実際に操作してもらうにあたり、あまり具体的な操作手順は用意せず、簡単なユーザストーリーに沿って、保護者側、保育士側の立場でアプリを触っていただく実手順を取らせていただきました。

具体的な操作手順を用意しなかった理由としては、実際に操作する中で、直感的な操作を行うことができるか、機能内で使用する用語感に違和感がないかなどをレビューしいただきたいと考えたからです。

操作に詰まっているところが無いか開発メンバー、デザインメンバーが横で見させて頂き、触ってみて良かった点、悪かった点の意見出しを実施しました。

意見出しは口頭でのヒアリングだけでなく、オンラインホワイトボード機能を利用できるGoogle JamBoardを使用しました。(多くの意見をいただくことができました!)

ほいくProの皆様のような様々なバックグラウンドを持ったドメインエキスパートの方が社内に在籍しているということも、弊社の強みだと感じました。

社外ユーザビリティテストについて

背景

上記ほいプロレビューを実施するにあたり、保育士バンク!コネクトのCS(カスタマーサクセス)チームの方から「社内レビューだけでなく、実際のユーザ様の意見をいただいた方がより現場感に近い良いサービスにできるのでは?」とご意見いただきました。

CSチームの方のご協力もあり、保育士バンク!コネクトを導入している2法人様にご協力いただいて社外ユーザビリティテストを実施することができました。

これまでもユーザヒアリングの機会はありましたが、実際にアプリに触れて意見をいただくことは初めての経験でした。

ユーザビリティテストを実施して

ユーザビリティテストの流れとしては、まずはじめに簡単なユーザストーリーに沿ったデモ操作を見ていただき、その後実際に開発中の機能を操作していただきました。

実施前はご意見をいただくことができるか心配だったのですが、想像以上に多くの意見をいただくことができました。

特に既存機能を考慮した機能開発や、実運用でのお話を直接伺うことができたことはとても貴重な経験でした。

事前に準備していたアンケートにも丁寧に回答頂き、既存機能や現在の実業務で困っていることなどをチーム内でも共有しました。

実施後の振り返りでは事前準備や訪問体制を整備することでよりスムーズにインタビューできるポイントもあったという意見もありました。それらは反省点として今後の改善に役立てていきたいと思います。

新規導入したJiraレポート

弊社ではプロジェクト管理ツールとして、Jiraを導入しています。

日々の業務でもカンバンボードを利用しての開発や、スプリント完了後にバーンダウン チャートを確認してスプリント内での進捗状況の振り返りを行っていました。

今回、β版レビューを行うにあたり、チームベロシティから期限までの機能スコープ管理をより明確にしたいと考えました。

そのために利用できるJiraの機能を探したところ、リリースバーンダウンチャートというレポート機能があり実際に利用してみたところ、作業進捗の計測に便利だったので紹介したいと思います。

リリースバーンダウンチャート

あらかじめリリースバージョンの開始日と終了日を指定しておき、リリースバージョンに含めておきたいエピックやチケットを登録しておくことで、そのエピックやチケットに紐づくストーリーポイント数とチームベロシティから、 すべてのタスクが完了するまでの残スプリントをレポート出力してくれます。

また、下記の公式引用文にもある通り、スプリント間の追加となった割り込みタスクがわかるようになり、スプリントへの影響を可視化することができました。

以下に、リリース バーンダウン レポートを利用する方法の一部を紹介します:

チームがバックログの作業に取り組む速さを表示する。

スプリントの間に追加または削除された作業が、チームの全体的な進捗にどのような影響を与えたかを表示する。

過去のスプリントとスプリント期間中の変更をもとにして、バージョンの作業を完了するのに要するスプリント数を予測する。

開発途中からこちらのリースバーンダウンチャートを使用し始めたこともあり、上記の公式サイトのグラフのような綺麗なチャートグラフにはならなかったのですが、ある程度チームベロシティが安定してきた辺りから、リリース終了日までの残タスクが定量的に見通せるようになりました。全体を通して、進捗状況を可視化しての管理が行いやすかったです。

課題としては、初期見積もりと比べて、プロダクトバックログリファインメントでストーリーポイントが上振れするチケットがいくつかあることで、当初想定より全体のストーリーポイント数が増加したことです。

全体を通して

このような貴重な体験ができたのは、日々の業務にお忙しい中、快くレビューに参加いただけたほいくProの皆様、またユーザと日々良好な関係を築いて下さっているCSチームの皆様のおかげだと思います。

またユーザビリティテストを通して、実際にユーザの方々の意見を聞き、保育士バンク!コネクトを使って業務効率を実現したいという期待を改めて感じました。

今回の経験とフィードバックを活かして、より価値の高いサービスを提供できるよう開発チームとしても機能開発に全力で取り組みます!

また、一緒にユーザビリティテストに参加した弊社デザイナーが執筆したnoteもあるので、ぜひそちらもご覧ください。

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