全事業・全部署のデータの利活用を担うデータサイエンティストに求めること

ネクストビートのデータに関する課題と取り組み、データサイエンティストに求めることについてCDSO(Chief Data Science Officer)の烏谷にインタビューを実施しました。

執行役員 CDSO(Chief Data Science Officer)烏谷 正彦

慶應義塾大学総合政策学部卒。アクセンチュア株式会社に入社し、システムコンサル・CRM業務コンサルなどに従事。2015年、株式会社True Dataに転職。購買データの分析業務を推進するとともに、データサイエンスの組織・仕組みづくり、システム開発、新規ソリューション立ち上げなど、データサイエンス業務全般を担当。2022年4月、CDSOとしてネクストビートに入社。

データを活用して、サービスの質向上と業務改善を実現したい

ネクストビートは創業9年、全9事業を展開しているベンチャーですが、データの活用に関して様々な課題があります。

その課題を解決すべく、2022年4月にCDSOとして就任しましたが、私がデータを活用して実現したいことは大きく分けて2つあります。

(1)サービスの質向上

ネクストビートでは「保育士バンク!」ブランドという、保育施設のHR領域における課題を包括的に解決していくことを目指すプラットフォーム(※)を展開しています。

※累計35万人(有資格者27万人)以上にご登録いただいている日本最大級の保育士・幼稚園教諭向けの就職転職支援サービス「保育士バンク!」、保育施設向け業務支援システム「保育士バンク!コネクト」を含む5事業と、保育業界に特化した調査・研究機関「保育士バンク!総研」の総称です。

その中でも、保育士・幼稚園教諭向けの就職転職支援サービス「保育士バンク!」は業界最大級の保育士や保育園のデータを保有していますが、これらのデータを利用規約に則り有効に活用できているとは言えないのが現状です。

例えば、保育士バンク!のような転職支援サービスにおいては、キャリアアドバイザーが求職者様の希望する条件と園の欲しい人材条件をヒアリングし、適切なご提案をすることがサービスの質を維持する上ではとても重要です。

しかし、入社間もないキャリアアドバイザーは知識量が少なく、また経験則による判断もできないため、入社後しばらくは、先輩社員の助言やサポートが必要です。

そこで、過去の登録者データやマッチングデータに基づいて求人を提案することができれば、入社間もないキャリアアドバイザーも独力で最適な求人を提案できるようになります。

これは一例ですが、ネクストビートには、データを活用することでサービスの質が向上する課題がたくさんあります。

例)通電率を高めるデータ活用プロジェクト

【保育士バンク!のサービスの流れ】

①転職を希望する方が保育士バンク!のサービスに登録

②キャリアアドバイザーが連絡(電話・メール)を行い、希望条件をヒアリング

③希望条件に合う園を紹介

「②」の動きに関して、就業中の方は通常業務で忙しい場合が多く、なかなか連絡が取れない場合があります。適切なタイミングでご連絡できれば、求職者様のためになる電話やメールであっても、逆効果になるリスクもあります。

そこで、過去データから、求職者様の年齢や地域毎に連絡が取りやすい時間帯や曜日を分析し、適切なタイミングと手段で連絡が取れるような業務フローに変更する取り組みを行っています。

(2)社内の業務改善

ネクストビートでは複数のtoC向けWebサービスを運営しています。

Googleアナリティクス等を用いたアクセス解析や分析データに基づくサービスの改善は常に行っていますが、分析データの活用はまだまだ十分ではありません。

過去から比較したときにデータがどう変化しているのか、データを見やすくダッシュボード等を用いて整理し、何が課題なのかを分かりやすく、見える化を進めていくことで、業務効率化を図っています。

例えば、toC向けのKIDSNAプラットフォームに、KIDSNA シッターという、保護者とベビーシッターさんをマッチングするサービスがあります。

マッチングサービスなので、保護者とベビーシッターさん両者に高い満足度をもって使い続けていただくことが非常に重要なのですが、いつの間にかヘビーユーザーの保護者・ベビーシッターさんが利用を停止していたということがあります。

そういった状況をデータの見える化によって早めに検知することで、サポート業務の改善につなげていっています。

他にもデータを活用することで、社内の業務改善につながる課題がたくさんあります。

例)人事部における採用データダッシュボード化プロジェクト

人事部では、採用管理システム(ATS)を用いた候補者管理を行っていますが、システムの仕様上、レポート機能では欲しいデータが上手く抽出できなかったり、データの比較ができなかったりしていたため、手動でデータの抽出や成形を行っていました。

そこで、システムから出力されるデータを基に、どのようなデータを用いて何を見たいのかを採用担当者とすり合わせ、ダッシュボード化を行ったことで、採用担当が実施していたデータ成形の業務効率化に繋げることができました。

データサイエンティストに求められること、大切にしたい考え

分析データを用いたビジネス課題分析と、ビジネス課題をデータを使ってどう解決できるか、課題解決に向けた提案がメインの業務です。

各事業・各部署において、現場のメンバーとディスカッションをしながら課題を明確化して、どんな分析やデータが必要か、分析設計やデータ設計も行ったり、機械学習で予測モデルを作ったり、音声データやフリーテキスト等の非構造化データをディープラーニング使って分析したりもしています。

対象となるのが全事業、全部署なので、できることの幅はかなり広いですね。

もし、この記事を読んでネクストビートのデータサイエンティスト職に興味を持った方がいたら「分析データを用いたビジネス課題分析、課題解決に向けた提案」を私と一緒に担っていただきたいです。

また、業務は現場メンバーと密にコミュニケーションを取りながら進めますが、現場の肌感を理解することを心がけています。

データ起点で自分よがりになってしまうと、的外れな提案になってしまったり、実際の業務プロセスの中では使えない仕組みになってしまうからです。

現場の肌感を大切にして、実際の業務プロセスの中で簡単に使える仕組みにすることで、より大きな効果を出せると思っています。

ネクストビートでデータサイエンティストとして働くことの魅力

(1)業務に即反映、成果のフィードバックも得られる環境

私自身も過去に経験しましたが、データサイエンスの領域は「なんとなくPoCやったけど結果が上手くいったか分からない」「上手くいったように見えたけど続かなかった」ということが多いです。

ネクストビートの場合は、分析した結果に納得を得られることができれば、すぐに業務に反映して成果をフィードバックしてもらえる環境なので、その後の改善もしやすいです。

また、現場メンバーは、データの利活用のディスカッションに積極的に応じてくれるため、業務が進めやすいのも良い環境だと思っています。

(2)様々なビジネスモデル、様々な部署のビジネス課題をデータで解決できる

ネクストビートでは、BtoB,BtoC,CtoCといった様々なビジネスモデルの事業を展開しており、営業、マーケ、開発、人事、情シスなど10以上の部署で運営されていますが、データサイエンティストが扱う対象は、それら全ての事業・部署です。

そのため、扱うことができるデータの種類も様々です。

例)顧客の属性データ、顧客の時系列情報、社員の行動(架電履歴等)データ、WEB広告の配信成果データ、テキストデータ、音声データ、サイトのアクセスログデータ 等

また、各事業・各部署の課題を小さい視点でなく、全社的な大きな視点で見て動くことができるので、各施策の繋がりを感じながら業務に取り組むことができます。

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