Scalaでコレクションを前後処理しつつ走査する
関数型言語らしく書くには
はじめに
こんにちは。nextbeat 開発グループに所属している 久保 です。
nextbeat では保育園向け業務支援サービス KIDSNAコネクト の開発を担当しています。
現在 KIDSNAコネクト では主に保育園の 経営業務 が楽になるような機能を開発しています。
具体的には 労務管理、保育料金管理 等 バックオフィス系 の機能強化です。
連続するデータを１つずつ前後処理する
バックオフィス系の機能はビジネスロジックが複雑になりがちです。
手続き型言語ばかりやってきた自分としては、複雑な処理を関数型ライクに書くことに苦労していました。
つい先日も 連続するデータの差分を１つずつ取得する 処理で「なんとか綺麗に書けないか」と悩んでいました。
その際、諸先輩方にアドバイスを頂きましたので共有しようと思います。
今回はもっと簡素化した、
１年間の月次平均気温データから各月の気温差を取得する処理
を例に見ていきたいと思います。
その１：再帰とmatch式を使う
再帰 と パターンマッチ を使った関数型言語らしい書き方かと思います。
１つ目のポイントとしては match式 の部分です。
case head +: second +: tail =>SeqLike な値に対してこのようなパターンマッチを行うと、以下のように評価されます。
case １つ目の値 +: ２つ目の値 +: それ以降の残りの値 =>今回の場合、一番最初のループでは以下のように評価されます。
Seq(4, 5, 11, 17, 19, 22, 28, 28, 22, 19, 14, 7) match {
case 4 +: 5 +: (11, 17, 19, 22, 28, 28, 22, 19, 14, 7) =>
f(Seq.empty :+ abs(4 - 5), 5 +: (11, 17, 19, 22, 28, 28, 22, 19, 14, 7))
……head , second として取り出し、前後処理しています。
そして２つ目のポイントですが再帰関数(f)です。
第１引数は気温差のSeq、第２引数は残りの気温Seqを渡しています。
これを繰り返すと、tSeq の中身が１つになった時点で、match式１つ目のパターンにマッチしなくなります。
そして、最終的に今までの結果を集めた diffSeq を返すことで気温差Seqを取得しています。
ちなみに関数fの上にある
@scala.annotation.tailrecはその下の再帰関数が末尾再帰に最適化されているかどうかを、コンパイル時にチェックするためのアノテーションです。
末尾再帰として最適化されていないとコンパイラがコンパイルエラーとして扱ってくれます。
再帰関数は階層が深くなるとスタックオーバーフローする可能性がありますが、末尾再帰最適になっているとコンパル時にループへ変換されるのでこれを回避する事ができます。なので特殊な理由がない限りアノテーションは付けて末尾再帰にすべきです。
その２：前後の値を１セットにしたコレクションを使う
個人的には再帰処理の方が書き始め易いのですが、やはり最終的に読みやすいのは foldLeft でしょうか。最初は再帰で書いてその後 fold に清書する、というのもアリかもしれません。
まず最初に sliding を使い、先頭から2つずつ要素を取得したコレクションを生成します。sliding の返り値は Iterator[Seq[Int]] です。実際にどんな値が返ってきているか確認するために toListしてみると下記のようになります。
tSeq.sliding(2).toList
// -> res0: List[Seq[Int]] = List(List(4, 5), List(5, 11), List(11, 17), List(17, 19), List(19, 22), List(22, 28), List(28, 28), List(28, 22), List(22, 19), List(19, 14), List(14, 7))コード上ではSeqのままですが、これを foldLeft で回して、気温差を取得していきます。
まとめ
関数型言語に慣れた方々からすれば大した内容ではなかったかもしれませんが、PHPerだった自分としては目から鱗でした。
今回はその１とその２の違いについてまでは踏み込めませんでしたので、今後はそういったパフォーマンス等の違いも調べたいと思っています。
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