お止めいただきたいシリーズ第1話は「はじめてのおつかい?」

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Nilquebe Insider
Published in
4 min readNov 29, 2017

いつからか、私のインスタグラムは写真日記のようになり、ほんっとにもういい加減にしてくれという息子たちの言動も恥ずかしげもなく投稿し、「#お止めいただきたいシリーズ 」とタグをつけて世にさらしています。

今現在もいろいろあるけれど、小さい頃もいろいろあったよなあと思い返すと、長男が3歳(次男は0歳)の時にやってくれた「お止めいただきたい」ことがずるっと思い出されたと同時に、そのことをymotoが文章にしていたことも思い出しました。

その当時、われわれ家族は関東に住み、息子たちは自宅からすぐ近所の保育園に通っていました。その保育園が発行する月刊誌(先生や保護者が持ち回りで寄稿)にymotoが寄稿した、その時のエピソードを引用します。(個人情報にかかわる部分は、元の原稿を修正しています。)

「はじめてのおつかい?」 ymoto

ただ、「あー大変だったです」と書かれた妻からのメールに、妙な不安を覚えた。次男がまたミルクを吐いたのだろうか、あるいは長男がお漏らしでもしたのだろうか。いつもより足早に自宅までたどり着くと、ジャケットを脱ぐのもそこそこに、何があったのか聞いてみる。
「気がついたら長男がいなくなっていて、家の周りを探してもいなかったのよ。」妻の話しは、私の予想できる範囲をはるかに超えていた。

保育園から帰った後、長男はチョコレート菓子を買いに行きたいとせがんでいたらしい。食事前だからダメと言い聞かせ、そのまま夕食の支度を続けていた妻がふと気づくと、長男は見当たらなかった。
最近、自分でドアを開けて外に出られるようになった長男は、家の前の空き地で遊んでいることがある。またいつものように遊んでいるのだろうと思い、空き地を見回してみたが人影はなく、何度か名前を呼びかけてみても返事がない。昼から降り続いている雨は、心なしか強くなっていた。

長男が家の周りにいないことに、さすがに妻も焦ったらしい。自宅から保育園までは、ゆっくり歩いても5分とかからない。保育園に戻ったのかもしれないと思い行ってみたが、やはりいない。さすがに守衛さんも驚いたようで、一緒に探してくださった。

近くの小学校の角からコンビニへ向かう道を探していると、こちらに向かってひょこひょこと走ってくる小さな物体が見えた。果たして、それが長男だった。見つかってひと安心かと思いきや、手にはチョコレート菓子がしっかりとつかまれている。残念ながら、代金を払っていなかったのは明らかだった。

はじめてのおつかい?は、はじめての万引きとなってしまった。コンビニまで引き返したのは良いが、謝らないといけないと言いきかせても、長男は「恥ずかしくて謝れない」と泣きじゃくるばかり。顔見知りの店長さんは「もういいよ」と言ってくださったが、妻が許すはずもない。結局、長男が謝るまで「一緒に牢屋に行こうか」と演出までして付き合ってくださった店長さんには感謝の念にたえない。

帰宅してからも、ひとりで出かけてはいけない、お金を払わずに店から商品を持ってきてはいけないとこんこんと諭す妻に向かって、長男が返したのは次の一言だった。

「じゃあ、こんどいくときは、○○におかね、もたせてね。」 (注:○○ = 長男の名前)

それにしても、冷たい小雨が降る夕闇の中、だたひとり歩きながら、長男は何を思ったのだろう。

2006.6

ちなみに、この原稿、保育園の先生方にも好評でした(笑)。#お止めいただきたいシリーズは今後も続くよ、どこまでも?

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