サラリーとトレードのルールからみたカズンズの移籍

Masashige Sato
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6 min readFeb 20, 2017

今回のトレードがチームサラリーに影響する点を、ここまでSNSに上がった情報を元に見ていきたいと思います。

まずメインのフレームワークです。

NOLA

カズンズ+カスピ

SAC

ヒールド+タイリーク+ギャロウェイ+NOLAの2017年1巡目指名権(Top 3プロテクト)+PHIの2巡目指名権

以上のトレードが行われました。まずはチームのサラリーと、各選手のサラリーを資料から見てみたいと思います。恒例のBasketball Insidersから拝借しました。

まずはNOLAから。

NOLAのサラリーは現在99.7M

Tyreke 10.2M×1.15=11.73M (トレードボーナス発生)

Galloway 5.2M

Hield 3.5M

次はSACです。

SACは現在96.2M

Cousins 17.0M

Caspi 3.0M

2016–17のサラリーキャップは94.1M、タックスラインは111.3Mなので、両チームともキャップオーバーはしているものの、タックスラインは超えていません。では、どのようなルールが適用されるか、選手のサラリー総額を出してみたいと思います。

NOLA 11.7+3.5+5.2=20.4M

SAC 17.0+3.0=20M

となります。ここで、キャップオーバーしているこの2チームのトレードが守るべきルールを振り返ってみます。

NOLAは20.4Mのサラリーを放出して、20Mのサラリーを獲得。上記だと3段目のルールが適用されます。獲得できる選手サラリーの上限は20.4M×1.25+0.1=25.6Mなので、クリアー。

一方、SACは20Mのサラリーを放出し、20.4Mのサラリーを獲得。3段目を適用し、20×1.25+o.1=25.1M。こっちもクリアー。

ちなみに、ドラフト指名権はサラリーの価値は0ドルですので、この計算式には算入されません。

次はトランザクションです。

NOLA側から見ると、タイリーク+ギャロウェイ=カズンズ+カスピの2:2トレードと、ヒールドと指名権の1:0トレードに分けて処理することができます。前者は2段目を使って処理可能です。

(11.7+5.2)+5=21.9M のサラリーまで引き受けられるので、カスピとカズンズを足した20Mの範囲内に収まってます。

これに、ヒールドと指名権のトレードを別個行いますが、先ほどのラリー・クーンのページの次の項目に考え方とやり方の記載があります。

私もこの項を理解するのは苦手でして、昨日kmさんに聞きながら少しずつ勉強してます。ありがとう、kmさん!

さて、こっちのトレードは相手からもらうサラリー総額が、ヒールドの額より下回った場合、利用することが可能です。ドラフト指名権とヒールドのトレードと考えると、指名権の価値は0ドルなので彼のサラリーよりも低く、成立します。

では、サクラメント側です。

カズンズとタイリーク+ギャロウェイ+ヒールドの1:3で成立が可能になります。こちらも2段目です。

17.0+5=22.0M のサラリーまで引き受けられます。上記の3人を足すと、20.4Mなのでやはり範囲内に収まるので、成立です。

そして、カスピのトレード相手は、キャッシュ、指名権、または指名したけど契約していない選手のいずれかに設定できればクリアーです。

NOLA側とSAC側でトレードの処理が異なるところが、NBAの面白いところですね。そして、ヒールドと指名権、カスピと何かしらのトレードを行なった後、それぞれのチームはトレードエグゼンプションを得ることができます。

上記の通り、NOLAの3.5Mはヒールドの分、キングスの3.0Mはカスピの分になります。

他にも、このトレードで波及した効果といえば、タイリークのトレードボーナスです。トレードされた場合、残り契約の15%の昇給が得られます。これは元のチームが支払いますが、サラリーキャップとしては新しいチームのSACに繰り込まれます。

タイリークは元のサラリーの10.2Mではなく、15%を増額した11.7Mのサラリーとして計算し直されるということです。

もちろん、まだこれだけで終わらず、SACはロスター枠を1人オーバーするので、このトレードを正式に成立させる前に枠を空けないといけません。誰かをウェイブするか、ほしいチームにトレードしてしまうかを早急に行う必要があります。もう数チームから打診があったり、SACから話を持ちかけたりもしているかもしれません。そして、NOLA側はカズンズが来たことになりテレンス・ジョーンズがミニッツ無くなり、トレードに出されるような噂も出ています。

大型トレードが行われるには、ルールをクリアーした状態でNBAに申請しなくてはいけないので、玉突きのように次々と別のトレードを誘発します。これがトレードデッドライン間際になると、どのルールで成立できるかパターンを複数一瞬で考え、さらには他のチームと駆け引きしながらディールをするという、考えられないほど気の遠くなる作業をすべてのチームが行なっています。

24日の早朝までに、もう一波乱あるのでしょうか。また大きなトレードがあれば、詳細を追ってみたいと思います。

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