アプリのアンバンドリングはまだ通用するか

Kei Kinoshita
No Products No Life
4 min readOct 16, 2017

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アプリのアンバンドリングとは、機能ごとに別のアプリに分割することです。

FacebookやFoursquareがアンバンドリングをした時は、これからはアンバンドリングだ!という声が多かったような気がするのですが、最近はアンバンドリングは終わったという声や、中国のアプリにみるような「1アプリに全部載せ」の傾向が強くなっている気がしているので考えてみます。

アンバンドリングの例

2014年頃はアンバンドリングがトレンドでした。

  • FacebookとFacebook Messenger
  • Google DriveとDocs, Sheets, Slides
  • FoursquareとSwarm(アンバンドリングの議論に必ず出てくる!)

なぜアンバンドリングするのか

ユースケースが異なる

UberEATSは当初、Uberの中にバンドルされていましたが、今は別のアプリとなっています。移動するのとご飯を食べるのは全く異なるユースケースなので、この2つを分けるのは理にかなっていると思います。

Foursquareの場合、チェックインのみをしたいユーザにとって、スポット情報の閲覧は不要な機能だし、逆も然りです。私自身チェックインでしか利用していなかったので、同じようなユーザが多かったと思われます。

明らかに使う人が住み分けされている

ユースケースが異なるかつ各ユースケースを跨いで利用する人が少ない場合も別アプリが向いています。

Uberのドライバーとライダー向けのアプリが別なのは、大多数のライダーはドライバーにならないので、ドライバー向けの機能が不要だからです。

先日、Spotifyが音楽をアップロードしているアーティスト向けの分析機能を、別アプリでリリースしました。この例も、Spotify利用者のうち自ら音楽をアップロードしている人は少数なため、分けた方が最適だと思います。

アンバンドリングのメリット・デメリット

メリット

  • 最適なUXの提供

ユースケースが異なる場合、ユースケース毎にアプリを用意することで、オンボーディングからページ遷移、メニュー構成まですべてを各ユースケースに最適化することができます。また、機能や画面をシンプルにできるのでユーザにとって分かりやすくなります。

  • 開発難易度の低下

システムの作りによりますが、各ユースケースが疎結合になることによって、開発難易度は下がり、保守性は向上します。

デメリット

  • 新たにダウンロードしてもらう必要がある

これが結構大きな問題だと思っていて、最近、新しいアプリが落とされにくくなってきていると思います。アメリカでは、約半数の人が月に1つも新しいアプリを落とさないという調査もありますし、FacebookやGoogleなどの一部アプリに利用時間が集約されていっているというデータもあります。そんな中、新しいアプリを認知してもらって落としてもらうというのは、段々とハードルが上がっていきそうです。

  • ユーザに複数のアプリを行き来してもらう必要がある

機能分割した場合は特に、各アプリ感をディープリンクでシームレスにつなぐ必要があります。

結論

アンバンドリングはまだ通用すると思います。ユーザ目線では、各アプリを分ける納得感のある完成度(ユーザがわざわざアプリを新たに1つ落とすメリット)と、既存アプリ間の行き来を意識させないディープリンクの設計が重要になります。

運営者目線では、既存アプリからのアナウンスやプロモーションによって、新しいアプリを認知してもらう、落としてもらう設計が大切です。

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Kei Kinoshita
No Products No Life

メルロジでCPOとしてリペア店舗向けの予約プロダクトと集荷物流網プロダクトを統括しています。 メルカリUS/UK PM, JP Head of Product ←ランサーズ ← NTTデータ