アプリのアンバンドリングはまだ通用するか
アプリのアンバンドリングとは、機能ごとに別のアプリに分割することです。
FacebookやFoursquareがアンバンドリングをした時は、これからはアンバンドリングだ!という声が多かったような気がするのですが、最近はアンバンドリングは終わったという声や、中国のアプリにみるような「1アプリに全部載せ」の傾向が強くなっている気がしているので考えてみます。
アンバンドリングの例
2014年頃はアンバンドリングがトレンドでした。
- FacebookとFacebook Messenger
- Google DriveとDocs, Sheets, Slides
- FoursquareとSwarm(アンバンドリングの議論に必ず出てくる!)
なぜアンバンドリングするのか
ユースケースが異なる
UberEATSは当初、Uberの中にバンドルされていましたが、今は別のアプリとなっています。移動するのとご飯を食べるのは全く異なるユースケースなので、この2つを分けるのは理にかなっていると思います。
Foursquareの場合、チェックインのみをしたいユーザにとって、スポット情報の閲覧は不要な機能だし、逆も然りです。私自身チェックインでしか利用していなかったので、同じようなユーザが多かったと思われます。
明らかに使う人が住み分けされている
ユースケースが異なるかつ各ユースケースを跨いで利用する人が少ない場合も別アプリが向いています。
Uberのドライバーとライダー向けのアプリが別なのは、大多数のライダーはドライバーにならないので、ドライバー向けの機能が不要だからです。
先日、Spotifyが音楽をアップロードしているアーティスト向けの分析機能を、別アプリでリリースしました。この例も、Spotify利用者のうち自ら音楽をアップロードしている人は少数なため、分けた方が最適だと思います。
アンバンドリングのメリット・デメリット
メリット
- 最適なUXの提供
ユースケースが異なる場合、ユースケース毎にアプリを用意することで、オンボーディングからページ遷移、メニュー構成まですべてを各ユースケースに最適化することができます。また、機能や画面をシンプルにできるのでユーザにとって分かりやすくなります。
- 開発難易度の低下
システムの作りによりますが、各ユースケースが疎結合になることによって、開発難易度は下がり、保守性は向上します。
デメリット
- 新たにダウンロードしてもらう必要がある
これが結構大きな問題だと思っていて、最近、新しいアプリが落とされにくくなってきていると思います。アメリカでは、約半数の人が月に1つも新しいアプリを落とさないという調査もありますし、FacebookやGoogleなどの一部アプリに利用時間が集約されていっているというデータもあります。そんな中、新しいアプリを認知してもらって落としてもらうというのは、段々とハードルが上がっていきそうです。
- ユーザに複数のアプリを行き来してもらう必要がある
機能分割した場合は特に、各アプリ感をディープリンクでシームレスにつなぐ必要があります。
結論
アンバンドリングはまだ通用すると思います。ユーザ目線では、各アプリを分ける納得感のある完成度(ユーザがわざわざアプリを新たに1つ落とすメリット)と、既存アプリ間の行き来を意識させないディープリンクの設計が重要になります。
運営者目線では、既存アプリからのアナウンスやプロモーションによって、新しいアプリを認知してもらう、落としてもらう設計が大切です。