オススメの本 第6弾

Matsuda
koushikai
Published in
4 min readDec 5, 2017

「子どものむし歯予防は食生活がすべて」

4人の子供に歯を磨かせなかった歯科医の話

著者:黒沢誠人・幕内秀夫

過日、風濤社の編集者から、「食生活と身体の退化」掲載の写真を転載したい旨の連絡をいただきましたが、出版予定の書籍の内容等をお聞きし、理事長と相談の上、承諾いたしました。

掲載希望の写真を見せていただきましたが、書籍からのスキャンでは不鮮明でしたので、こちらから、その数葉の写真をお送りしましたところ、先月、完成した書籍が事務局の方へ届けられました。

予防にとっていかに食生活が基本だといっても、現代の社会環境の中では、かつての原住民のような食生活に戻すことは困難です。

著者がとった行動とは?

もともとご夫婦が歯科医のこの家族には4人の子どもがいました。大学で教育されたことといえば、当然ながら、むし歯予防には歯磨きと甘味制限であり、それを固く信じていました。

患者さんにも徹底した歯磨き指導を行なっていましたが、中にはそれでもむし歯ができてしまう人がいるのに気づき、悩み、様々な講習会にも参加し、ついに「100%歯磨き」に行き着きます。

しかし、このような「100%歯磨き」が幼児とか小学生にできるだろうかとまた悩み始めます。

ちょうどそんな時、長男のアトピーがきっかけで、幕内秀夫先生(共著)の食生活の講習会に参加し、食生活の改善の必要性に気づきました。

それと同時期に出会ったのが、W.A.Priceの著書「食生活と身体の退化」。

そして、Price の言う「伝統食を守っている民族は健康な歯と大きな顎があり、近代色を食べ始めるとむし歯が増え、歯並びが悪くなる(小さく弱い顎になる)」ということに得心し、「歯磨きはもうしなくても良い。その代わりに食事を変える」と子どもたちに宣言するのです。

そうはいっても、こんな世の中で、現代の食文化の中で果たして可能だろうか、やはりむし歯ができるのではないか、顎は正常に成育するのだろうかと悩み続けます(著者も妻も歯列矯正治療の経験者)。

家庭内での子供たちの食べ物の管理は完璧にできても、子供たちが成長するにつれて「外の世界」が広がっていきます。

次から次へと襲ってくる困難に立ち向かい、奮闘する家族。

そして、それまでの体験から至った、むし歯予防のシンプルな3箇条。

おやつは時間を決める

夕食前の1時間前は飲食しない

甘い飲み物を冷蔵庫に買い置きしない

そして、成人に達した子どもたち。結末はいかに?

簡単に、著者が子どもの食育を通して「むし歯予防」を実践した経緯を説明しましたが、「大人も歯磨きは必要なし?」「スポーツ飲料の問題点」「咀嚼の勧め」「実践に役立つQ&A」・・・などの内容豊富な書籍です。

現在日本では7万人以上の歯科医がいます。「食生活と身体の退化」とともにぜひ読んでほしいオススメの本です。

W.A.Price著「 Nutrition and Physical Degeneration(食生活と身体の退化)」を翻訳・自費出版した片山恒夫博士は、ブラッシングはプラークを取るだけが目的ではなく、歯肉を鍛錬し、身体の抵抗力を増強させるためにあるのだし、問題は患者の生活習慣とりわけ食生活を改善させることだと力勢していた。

いくら歯科医が食べ物云々と言っても、患者は聞く耳を持たない。なぜなら、歯科医は信頼されていないから、いくら説明してもうるさがられるだけ。その時に必要なのが、世界的に著名で信頼できる素晴らしい書籍を読んでもらうことで、食生活の問題点を患者自身に気づいてもらう、そのために翻訳を行ったと・・・数十年前の話です。

NPO 恒志会

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