1 たす 1 が 2じゃない世界

Matsuda
koushikai
Published in
4 min readNov 12, 2016

藤卷 五朗

2014 恒志会会報 Vol.9 より

オバマ大統領も訪れた日本科学未来館で“1たす1が2じゃない世界” の展示が2014年2月~9月まであり、NHK TV視点・論点でも取り上げられた。

そこでは 、日常の身の回りには1+1=2ではなく、1+1≠2の世界が多いことや、自然は1+1≠2の世 界であることを楽しく学べるようになっていた。

以下は私の意見であるが、もともと1+1=2という数式はヒトが人間的社会利便性のために作り上げた規則である。便利に、都合よく、快適な生活にと便宜的に作り上げた産物であり、文化である。

その文化の中でも最も基本で、単純な規則なので、自然界での原則であるかのように錯覚して、現代人であれば誰でも、全く疑う余地なく1+1=2は正しいと答えるし、科学性の礎にもしている。

それは誰でも生れてすぐに、両親からすり込まれ、 保育園から大学への教育各段階の度に強化され、規律化して、正義になる。

故に、その文化生活では1+1=2なのは当然だし、その頭でなければ、人間としておちこぼれて、今ここにはいない。

自然界ではあり得ない1+1=2であり、真理の世界では、初めの1と後の1は同じではない。これを同じものとしたのは、人間特有の便宜性である。

加えて2と決めた規則は、ヒトが個として生きるよりは、複数で周囲との人間社会を形成して、そこでの人間関係を円滑にするために、自然と自己を無視して、人間が便宜的に十把ひとからげにして、勝手に規則化したもので、文化とした。

その文化を受け入れて生きるほうが便利であり、快適であるが、その世界では人間は病むことができる。ヒトは人間が作り上げた便宜的社会の中で病む。

それは元の心身(ヒト)は真理の自然界で生まれたのに、人間社会を生きていくために、人間が作り上げた便宜的社会を受け入れて、文化生活をする。その自然と人間便宜性とのギャップが、そのひずみこそがヒトを病める人間にさせるのである。

W. A.プライスは地球レベルで調査して、その著書“食生活と身体の退化”の中で“先住民は白人文化が入り込むことで病む”ことを真実と伝えている。

好んで病むヒトはいないが、無自覚に、無意識的に病人になっていく。病識がないのも当然である。 そして病態が自己管理能を超えたとき、他者に身をゆだね、治療を受ける患者になる。

ヒトは文化の中で病人になり、次いで患者になるのである。

そして病んだ人間は必ず治りたがる。それも人間便宜的社会の中で治って、さらに 、なお利便生活を謳歌できるように求める。

この1+1=2の上に成立する歯科医学での診療は対症療法でしかないし、それを超えることはできない。それは修理作業をしているに過ぎない。

1+1=2では治癒しないが、1+1≠2の世界であれば自然治癒すらも起こり得る。例を挙げる。

中村天風は1906年結核を発病し、 日本・米国・欧州にて医療を受け、医学を修めても治せなかった重度の肺結核を、ヒマラヤ山中でヨガの聖人カリアッパ師の指導のもと、文化人であることが心身の病気の治癒を妨げていることを諭されて、文化人から脱皮し、天の声を聴くほどに自然に溶け込み、自然と自己が融和した結果、医学では不可能であった結核を自然治癒に導き、完治させて、2 年7ヶ月後の1913年帰国した話は有名である。

真理を生きるのであり、デカルトのいう“人類は病むことを通してこそ道理を学ぶ”のだ。

今年のフォーラムの特集は『口と脳』である。文化をどう使いこなすかの問題であるが、口腔管理のブラッシングは即時に脳に影響を与え、また、 重力に沿っている噛み合わせも歯根膜反射での判断で、即時に脳に影響を与える。

歯肉マッサージブラッシングと生理的下顎位での噛み合わせは副交感神経系を優位脳にして、心身を健全化する。

しかし、歯磨きと、ミクロン単位変位した非生理的下顎位での噛み合わせでは交感神経系を優位脳にして、種々の病気を発症させるようになる。

自然と自己が融和する正しい脳内生理は副交感神経系優位脳であり、ストレスすら自己制御できる。

最も恐ろしいことは、人間が作り上げた便宜的社会での不正な文化人脳は、自らがヒトを絶滅危惧種に追い詰めていることすら気づかないで、快楽を追及していることである。

これは歯科が参加することで改善可能である。

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