ジョージ・E・マイニー博士(歯科医師)へのインタビュー

PPNF財団機関紙「HEALTH & HEALING WISDOM」2007年春号vol.31 N0.1

2007 恒志会会報 Vol.2 より

マイニー博士は歯の根管治療に潜む危険性を公にするにあたって、きわめて微妙な立場に立っている。50年前には、米国歯内療法協会(根管治療の専門家たち)の創立メンバーの一人だったのだから! つまり、膨大な数の根管治療を手がけてきた。そして、根管の充填をしていない時は、週末のセミナーや臨床講義の場で全米の歯科医の技術指導に当たってきた。

約2年前、引退したばかりの博士は、ウェストン・A・プライス博士(歯科医師)の研究を詳細に述べた1174ページの本を読破しようと決心した。 驚愕と衝撃に襲われた。そこに収められていたのは、充填が施された根管に潜む潜在的感染から生じる全身性疾患についての、信頼に足る記録であった。マイニー博士はその後、「Root Canal Cover-Up,」を 執筆し、現在は、一般の人々に警鐘を鳴らすために、ラジオやテレビに出演したり、さまざまな集まりに顔を出したりしている。


聞き手:MJ / マージョリー・ハート・ジョーンズ(登録看護師)

最初にお断わりしておきますが、わたしの本は、ウェストン・プライス博士の25年にわたる綿密で非の打ちどころのない研究を土台にしたものです。博士は60名のチームを率いて研究を進め、 その研究結果は − これまで公表を禁じられてきましたが − 史上最高の医学的発見としてランクされるべきものとなりました。重い病気を引き起こす発見困難な病原体を長期間にわたって探し求めるというような、よくある医学研究の話ではありません。何百万もの細菌がいかにして歯の構造内部に潜入し、単独の病原体に起因するものとしては最大数の病気をもたらす結果となるかについて、述べたものなのです。

MJ:どのような病気でしょう。いくつか例を挙げていただけますか。

GM:はい、慢性退行性疾患のうち、かなりの割合が、根管充填の施された歯から生じているといえましょう。 もっとも多いのが心臓・循環器系の病気で、プライス博士はそれらを引き起こす病原体を16種類も発見しました。次によく見受けられるのが、関節炎やリューマチといった関節の病気です。3番目は − といっても、2番目とほぼ同数ですが − 脳と神経系の病気です。4番目以下も同じで、名前を挙げることのできるどのような病気も、根管充填の施された歯から生じる可能性があります(そして、一部の症例では、現実にそうなっています)。

研究そのものについてお話ししておきましょう。 プライス博士は1900年に研究に着手しました。 研究は1925年まで続けられ、1923年にはその成果を2巻本にして出版しました。1915年、全国歯科医師会(数年後に米国歯科医師会に改称)が博士の業績に大きな感銘を受け、プライス博士を初代リサーチ・ディレクターに任命しました。博士の諮問委員会はまるで当時の医学会と歯科学会の紳士録のようです。細菌学、病理学、リューマチ病学、外科、化学、心臓病学の分野を代表する錚々たる人材がそろっていたのです。

著書のなかで、プライス博士はこう述べています。「連鎖球菌による病巣感染が全身に及ぼす影響の深刻さにいち早く気づいていた点で、おそら く、フランク・ビリングズ医学博士がアメリカの他のいかなる内科医よりも大きな賞賛を受けるべきでしょう」

ここでじつに不幸なのは、病巣感染学説を信じない、もしくは、理解しきれない少数の独裁的な医師グループによって、約70年前にきわめて貴重な情報のもみ消しが図られ、完全に隠蔽されてしまったということです。

MJ:“病巣感染”学説とはどのようなものですか。

GM:原感染病巣 − 歯、歯根、炎症を起こした歯周組織、扁桃など − に潜む細菌が、心臓、眼球、肺、腎臓、その他の臓器、腺、組織へ移動して、同じ感染を伴う新たな二次疾患を作りだすという説です。単なる学説ではなくなり、何度も立証され、論証されてきました。現在では、100パー セント受け入れられています。

しかし、第一次大戦中と1920年代の初めのころは、革命的な考え方だったのです!

今日、患者も医師も“洗脳”されて、今の世の中には抗生物質があるから感染症は昔ほど深刻な問題ではなくなった、と考えるようになっています。まあ、イエスともいえるし、ノーともいえるでしょう。根管充填が施された歯は、もはや生きている歯ではないため、内部への血液の供給が断たれています。従って、抗生物質が血液内を循環しても、歯の内部にまでは到達しえないため、そこに生息する細菌を死滅させることができないのです。

MJ:根管充填の施された歯のすべてに、細菌と他の感染病原体が、もしくは、そのどちらかが潜んでいると、先生はお考えなのでしょうか。

GM:そうです。どのような充填剤もしくは技術を使おうとも − この点は現代でも変わっていませんが − 充填された部分はたぶん、顕微鏡的な比率でしょうがわずかに縮みます。

また、ここからが大切なことですが、堅固に見える歯の多くを占める象牙質と呼ばれる部分は、実際には、何マイルにも及ぶ細管によって構成されています。迷路のような細管内に潜む微生物が歯の内部を移勤して、そこに棲みつきます。充填が施された根管は新たな繁殖地を作る場所として好まれているようです。

この事実を理解しにくくしている要因のひとつとして、次の事実が挙げられます − 口腔内に常住する比較的無害な大型の細菌が変化して、新しい環境に適応するのです。窮屈な棲み家に合うようにサイズを縮小し、さらに、ごくわずかな食物だけで生存することを(そして、繁栄することを!) 学びます。酸素を必要とする細菌が突然変異を起こして、酸素なしでも生きていけるようになります。こうした適応過程のなかで、以前は友好的だった“正常な”微生物が病原性(病気を引き起こす能力)と毒性(より強力なもの)持つようになり、 はるかに強い毒素を放出するようになるのです。

今日の細菌学者たちは、プライス博士の研究チー ムの細菌学者による発見を正式に認めています。 どちらの学者たちも、根管から、同じ種類の連鎖球菌、ブドウ球菌、スピロヘータを検出しています。

MJ:根管治療を受けたことのある人は、誰もがそれによって病気になるわけですか。

GM:いいえ。あらゆる根管充填にはすきまからの漏れが見受けられ、細菌がその構造に侵入することを、我々は現在、確信していますが、そこには個人の免疫系の強さという変動要素が介在します。健康な人間であれば、歯から抜け出して身体の他の場所へ移動した細菌を抑制することができます。なぜそういう現象が起きるかというと、たぶん、免疫系のリンパ球(白血球の一種)や病気と戦う因子がそれ以外の慢性的な病気によって弱められていると言うことが無く安定しているからでしょう。言い換えれば、健康な人々は、体内の他の組織が新たな病巣に支配されるのを食い止めることができるのです。

しかし、歳月がたつにつれて、根管充填された歯を持つ人々の大部分が、 以前にはなかったなんらかの全身症状を見せはじめるようです。

MJ:硬くて頑丈そうな歯の構造の奥深くに細菌が入りこむということが、どうも理解しにくいのですが。

GM:そうですね。医師や歯科医も理解しがたいと思っています。歯の構造を思い浮かべてもらう必要があります − 象牙質を構成している顕微鏡でしか見られないほど細い管のすべてを思い描いてみて下さい。健康な歯の場合は、この細管のなかを液体が循環して、歯の内部へ栄養物質を運びます。わかりやすく説明するなら、単根歯(前歯)の細管を地面の上で延ばすと、3マイルもの長さになるのです!

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ジョージ・E・マイニー博士

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