MulteFire Works Report

Yohei Motomura
nttlabs
Published in
7 min readFeb 28, 2019
Promotional Image by Official Twitter Account of MulteFire Alliance (https://twitter.com/Multefire/status/1095155576596844549)

こんにちは,NTT研究所の本村です.

MulteFireに1.9GHz帯(shared eXtended Global Platform:sXGP)が正式にサポートされたことを記念し,MulteFire Worksというイベントが開催されました. 今回はMulteFire Worksにおける展示や発表内容について,いくつかご紹介したいと思います.

MulteFire Worksの会場の様子:品川プリンスホテル

■ MulteFire Worksの概要

MulteFire Worksは02月13日(水) に東京の品川プリンスホテルで開催されました.私の目測にはなりますが,国内外から80名前後の方が参加していたようです.また,MulteFire関連企業(ATHONET, Baicells, QUCELL, Qurtus, NOKIA, DEKRA, SANJORE)による展示ブースもあり,各社が開発している基地局やEPC(Evolved Packet Core),試験機などの製品紹介がありました.

(左) MulteFire AllianceのPresident, Mazen Chmaytelliさんによるショートトークの様子,(右)Live Technology Demonstration実施企業

■ そもそもMulteFireとは何か?

MulteFireとは,無線局免許が不要な帯域(アンライセンスバンド)を利用してLTEシステムを構築する技術で,現在話題となっているプライベートLTEを実現・構築するための1つの手段です.MulteFireは既にMulteFire Release 1.0の仕様で5GHz帯や3.5GHz帯(CBRS)を技術的にサポートしており,これらの帯域を利用したLTE環境構築が可能となっています.ただ,これまで日本国内ではMulteFireに関連する法整備等が追い付いておらず,正式に利用することはできない状況になっていました.

一方で,既に日本国内にはアンライセンスバンドとして法整備済みで,かつ商用利用も可能となっている規格:shared eXtended Global Platform(sXGP)があります.sXGPは PHSの標準化等を実施していたXGPフォーラムが自営通信用向けとして規格した方式で,規定周波数帯はこれまで自営PHSで使用されていた帯域(1893.5-1906.1MHz:1.9GHz帯)です.

MulteFireは最新の仕様であるMulteFire Release 1.1において,従来の5GHz帯や3.5GHz等に加えてsXGPも正式にサポートすることを決定しました.前述のようにsXGPは既に法整備済みであるため,sXGP規格に準拠する範囲においては日本国内でもMulteFireを導入可能となっています.また,現在はsXGPのみが利用可能であり日本ではMulteFire Release 1.1=sXGPという状況ですが,将来的に法整備が進めば5GHz帯等も使用可能となり様々なユースケースへMulteFireを適用することが可能となります.

(参考) MulteFire AllianceによるMulteFire Release 1.1紹介動画

Live Technology Demonstrationsについて

sXGPに関しては既に技適取得済みの基地局や端末が存在しているということもあり,MulteFire Worksの会場では実際にsXGPの帯域を利用した様々なデモ・展示が実施されていました.簡単にいくつかご紹介したいと思います.

Baicells社は既にsXGPの技適を取得済みのBaicells社製基地局とBaicells社製のEPCによるLTE環境を展示していました.LTE環境を構築する上でEPCと基地局をどのように接続するかは重要な要素となります.Baicells社はEPCを搭載した機器を用意する形態に加え,パブリッククラウドにEPC環境を用意し提供するEPCaaS形態や基地局自身にEPC機能を搭載する形態も提供可能になっているとのことでした.

ATHONET社は ATHONET社製のEPCとBaicells社基地局によるLTE環境を展示していました.Ahonet社もBaicells社同様に実機でのEPC提供に加え,パブリッククラウドによるEPCaaSも既に提供可能になっているようです.また, Multi-access Edge Computing(MEC)を実現するためにEPCにローカルブレイクアウト機能を実装しているとのことでした.

Quortus社は Quortus社製のEPCとQUCELL社基地局によりLTE環境を構築し,端末の位置情報管理デモを実施していました.EPCの管理画面から端末側の位置情報(GPS情報)の一覧を取得できる仕組みを端末/EPCに導入しているようで,ドローンなど位置情報管理が必要なユースケースでは非常に有効かと感じました.

Live Technology Demonstrationsの様子

sXGPとの相乗効果もあり日本国内においてもMulteFireが盛り上がりつつあるため,MulteFire(sXGP)対応の基地局も今後増えていくと予想されます.ただ,実際にMulteFire Worksでデモや展示を拝見していると,基地局側の整備はもちろんですが,EPCをどのように提供するか・EPCにどのような付加価値を付けられるかといったEPC側の対応が今後のMulteFire・プライベートLTEの市場で重要になるのではと感じました.

■ おわりに

私たちNTTはプライベートLTEについて共に活動する仲間を募集しています.ぜひ弊社 ソフトウェアイノベーションセンタ紹介ページ及び,採用情報ページをご覧ください.

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