自分がマーケターだと思ってたのだけど

Goki Omata
office wade
Published in
4 min readMar 16, 2019

マーケティングが好きなんです。
大学ではマーケティングを勉強してました。サービス・ドミナント・ロジック、懐かしい。(いま思えば先見性のある考え方だった)

ただ、ウェブ業界(?)にいるいわゆるマーケティング担当者と話しても話が噛み合うことがすごく少ないです。「マーケティングの定義が違うんだろうなー。むしろ自分がマイノリティなんだろうなー」くらいに思っていたんだけど言語化できたので記念に書き残しておきたいと思います。

マーケティングは定義をはじめるとキリがない

ぼくの中でのマーケティングの定義は交換パラダイムで止まってます。マーケティングの定義といえばAMAの話がよく出るけど基本的にマーケティングにかかわる主体と価値観や経済活動のあり方の変化を反映したものなのであまり更新は気にしていないです。

自分の中ではマーケティングとは「複数の主体の間の交換行為を生み出すためのあらゆる活動の組み合わせ」を指します。企業だろうか個人だろうが関係なく交換を促すものはみんなマーケティングです。

価値の定義がスタート地点

マーケティング活動の中心にあるのは価値についての問いに対してマーケターなりのを出すもの、価値を定義することです。

価値については「価値論」という沼の分野があります。言及し始めると自分もよくわかんなくなってくるので今回は全力で回避しますが、この記事の中で取り扱う価値は顧客が主観的に知覚するベネフィット(=知覚価値)を指します。

知覚価値は製品やサービスを消費するタイミングのみならず、消費前後の体験にも強い影響を受けます。もちろん、広告のメッセージひとつをとっても知覚品質に影響を与えます。

レビットのドリル

「顧客はドリルがほしいのではない―穴がほしいのだ」という考え方を論文で発表したのがレビットで、彼はマーケティングの近視眼というコンセプトを広めたことで知られています。シーズではなくニーズを志向せよという考え方もこのコンセプトに則っています。

製品やサービスの価値を考える際に何を拠り所にするか?という話で、「こういう技術が当社にはあるからそれを使おうよ」ではなくて、「顧客のペインはなに?」で考えようよという話につながってきます。

ああ、聞こえてくるデザイナーの足音。

デザイナーという存在

顧客が本当に求めているものをうまく引き出す技術を持っているのはデザイナーだと感じてます。レビットが言っていることを忠実に実践しているのはデザイナーが多いなーというのが僕の観測範囲内での解釈です。

こうしてマーケターはその領域をデザイナーに食われていって、「価値が定義されたものをいかに伝えるか」ということを取り扱うことが多くなっているように感じています。

広告とPRの話ばかり

マーケティングについての話で流れてくるものを見てみると多くは「なにを伝えるか?」「いかに伝えるか?」という話に終始していることが多いです。

コミュニケーションの設計の前に「顧客に与えたい価値はなにか?」の定義が正しくできていないケースが多いのです。こうして誤った問題に取り組んでしまうことになるから「コピーが悪い」「配信面をかえろ」といった少ない変数の最適化に従事することが多いように見えます。

コミュニケーションは価値のアンプみたいなものだとイメージしてます。

デザインとコミュニケーションと事業戦略の組み合わせ

いま、自社の事業戦略と顧客課題/ソリューションとコミュニケーションの策定をやれる人が必要だと思っています。僕が勝手にイメージしてるのはLINEの枡田さんのような人。一緒にお仕事させていただいたことないので本当に勝手なイメージなのですが。

それでまぁこういうのやれるポジションってないのかなーって思いながらふらふら20代を生きてきて、結果的に見つかったのがProduct Managerという仕事。

PMの定義は本当にさまざまだけど僕が目指すPM像はこんな感じです。価値を定義して解決策を生み出すこと、それを伝えて顧客の手に届けるための設計をすること、それをビジネスとして儲かるように設計すること。

自分のことをマーケターって呼んできたけど、一般的な定義と違いそうだから切り替えます。はい。

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